2019年 段談
2020-01-14T10:28:49+09:00
-
text/html
2020-01-14T00:00:00+09:00
12月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1248
1
<div> 11月下旬、『正直、夏前には10月頃に原紙は下がるとみていた』とは大手エンドユーザー。思いのほか、原紙メーカーの強硬な姿勢に驚きを覚えたという。某飲料大手の値下げ要求にも全くの無回答だったとの噂を交えて話す。今後も共同調達や、ビッグユーザーの年契約の進捗を注意深く見守りつつ、購入先の見直し含めて機会を窺うというが、全体のトーンとしては〝原紙強し〟だった。<br />
『今は各社ベクトルが同じ方向を向いているのでは』とは大手製紙メーカー。専業か一貫か、輸出重視か等々、原紙メーカーもそれぞれ置かれた立場は異なるわけで、戦略は当然違うのだが、『むやみに量を追ったとして、失うものが大き過ぎる』との認識は大枠では同じだろう。それは(大きく伸びた)大手一貫の原紙子会社の中間決算をみても一目瞭然だ。一方で、一歩間違えば、原紙に留まらず、段ボール製品、古紙含めて、一気に業界の利益が外にダダ漏れになる可能性は大いにある。年末年始の生産調整も各社相当規模に及ぶようで、引き締めに躍起だ。<br />
来年以降、原紙設備の新増設に、古紙価格の行方、そして東京五輪後の段ボール需要等々、懸念材料を挙げれば切りがない。段メーカーからすれば、強い原紙は複雑ではあるが、エンドユーザーに対する交渉含めて原紙メーカーに一貫性があれば、今は〝まだ〟我慢するのではないだろうか。 (浮)</div>
-
text/html
2019-12-24T00:00:00+09:00
12月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1246
1
<div> ▼ボックスの得意先にまで手を伸ばす段メーカーが増えている。ボックス同士の取り合いも耳にする。『時間を掛けて転嫁した価格、崩すのはあっという間』『数段遠いあの距離で』と嘆く。掻き乱し『根こそぎ狙ってくる』と言う。奪われる方は量を追うような事を一切しない会社が多く、他社にも手出しはしない。結果、仕事が大きく減ってしまう。こんな異常な事態、点で終わらせたい。<br />
▼量が減り続ければ『従業員の士気も低下する』これが経営者には一番辛い。義理も人情も無い業界(仲間)とは思いたくないが、普通の商売が出来ないのだろうか。日経に『段ボール古紙、安値』の4段抜きで『断続的な古紙価格の下落で、原紙や段ボールの価格を維持できるかは不透明』(11月29日)と出ていた。『憶測で書いて、大きなお世話だ』と思ったが、最近の一部段メーカーのやり方を見聞きすると、本当になるようで怖い。<br />
▼先月から話題になったのが〝増量キャンペーン〟を張った段メーカー。期間は年末まで。FAXを受け取ったボックスはそれを見せながら『ここで価格を崩す意味が分からない』と言う。別の会社も『下げたところで利益が増える事も無いだろうに…』とした。一貫の戦略もあって苦しいのは分かるが、今は下手な動きなどせず、我慢のしどころではないだろうか。<br />
▼あの手この手で攻めるユーザー。指定紙の攻防では強い要求に対し踏みとどまっているようだ。ここで崩せばこれまでの苦労も水の泡、中小も成り行きを見守っている。(山)</div>
-
text/html
2019-12-16T00:00:00+09:00
12月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1244
1
<div> ▼『数量など今は考えている時では無い。仕事に自信を持たなければ』こう話す人がいる。『愚痴を言っても、誰も助けてはくれない』とし、値上げでも自らやらなければ先は見えて来ない。得意先との交渉にしても、キチンと話の出来る営業マンと理解ある経営者がいるかどうかでその差は大きい。『合理化提案に取引条件の改善を加えて、ユーザー側の負担最小化が計れればすんなり要求が通る事も』と言う。これならば売る方・買う方ともにメリットがある。現実にそれで伸ばしている中小もある。しかも『中小の方が営業マン教育もされているので優秀、目も行き届く』こんな見方もある。<br />
▼『大手とは同じ土俵で戦わない』こう話す経営者もいた。『大手が導入する機械を入れても意味が無い』とし、たとえ人海戦術であっても独自の生産スタイルとそれに見合った営業を構築する。一方一貫はナショナルには原紙と加工を絡めてあの手この手で攻める。これでは専業は堪らない。飲料では大手の中でも選別が進む、と見る関係者も。ある中小は『大手も中小も同じ』、肝心なのは今ある量に対してそれに見合った価格設定が出来るかどうかだ。これが出来ない事にはいつまで経っても良くなる事は無い。<br />
▼関西のセミオートフィーダ会社が行き詰った。名門直系で台数もそれなりに出ており今後のアフター等が気になるところ。 (山)</div>
-
text/html
2019-12-06T00:00:00+09:00
11月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1242
1
<div> ▼全段連が昨年末に予測した2019年(暦年)の段ボール生産量は、前年比101・3%で過去最高の146億平米である。しかし8月は94・2%で、年初めからの数字も見劣りする。9月にしても月からの消費税駆け込み需要があったのか106%だが、稼働日は前年よりも一日多いので、これを考慮すればほんの僅かな伸びに留まる。この伸びにしても仮需ならば10月にはその反動が出る事も十分にあり、帳消しになってしまう。現に中小段メーカーやボックスは100を割った会社が多く、二桁マイナスも。大手の対前年比も2社が101、100で、他の6社は100を割った。東日本を中心に続いた災害もあり、今年はリーマン以来、伸び続けた数量に陰りが見え始めている。<br />
▼前に理不尽な下請け仕事を書いたら読者から『こんな事があった』と電話を頂いた。大手段メーカーが製造する飲料用ケース。ワンロット数千から1万以上で、使うマシンはハイスペックなFFGである。先日、カウントミスから納品枚数に不足が出たのだが、近くの提携するボックスにやらせる場合があるらしい。その数わずか10枚以下。ボックス曰く『精度には厳しく、価格は段メーカーの受注額に毛の生えた程度』。1ケース納品ならば『数千円頂戴してもおかしくない』が、そうもいかないらしい。仲間は大切にしなければ。 (山)</div>
-
text/html
2019-11-28T00:00:00+09:00
11月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1240
1
<div> ▼9月、10月、東日本を立て続けに台風が襲った。15号では千葉を中心に強風による農作物被害があり、親しい先輩の大きな畑は全滅した。19号は想定外の大雨が広域に渡り多くの河川が氾濫、各地で水害が発生した。地元を流れる荒川は氾濫危険水域を超え、河川敷のゴルフ、サッカー場、テニスコートは水没、娘のマンション近くではパトカーが走り回った。長野、東北では『幸い工場は免れたが、お客さんが被災した』ようで、段ボール需要にどの程度影響があるのか分からない。被害総額は1千億円以上と報道されているが、その後の大雨も重なり更に増えていくだろう。<br />
▼多くの中小はここ数年、量への期待はしておらず10月も100を割った会社が多い。経営者の頭にあるのは『今ある量で、上がった運賃や人件費含め会社がやっていけるようにしなければ』だけだ。〝価格を大切に〟が身に染みている。一方の大手はどうか。一貫△は最近の需要を見てかI県での計画を塩漬けしたと流れたが、直後からグループ大手子会社のK工場でコルゲータリニューアルが噂に。時期は来年夏過ぎで他の工場でも古いマシンから順次更新するらしい。値上げでは悪い動きは無かったが、この県では同じグループ企業のRT社のコルゲータも更新される。日本で一番段ボールが生産される県らしいが、能力過剰が気になるところである。(山)</div>
-
text/html
2019-11-19T00:00:00+09:00
11月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1237
1
<div> 高水準な原紙在庫と古紙の状況を踏まえ、今の原紙価格を問われた時、説得力ある回答を持ち合わせているか否かとなればなかなか難しい。そこを真正面から突いてくるのがエンドユーザーだ。特にこれから本格化してくる来年の支給・指定紙交渉は相当タフなものになるだろう。<br />
インパクトが大きいだけにここから大きな風穴が開いてしまうのは避けたいが、『どこまで原紙が耐えられるのか』との声も強くなる中、『一気に崩れてしまうなら、軟着陸を』との意見まで聞かれる。<br />
段ボール生産量がほぼ前年並みに推移しているものの、予想よりはかなり低調、先の台風19号の被害は言うに及ばない。特に中小への影響が大きいとなれば、今後シート、ケースでも利益度外視とまでは言わないまでも、設備を安定して回すためにも量を欲する動きが広がってもなんら不思議ではない。まして支給・指定の結果次第では下期のさらなる軟調を見越した大胆な動きも危惧される。<br />
無論、値上がった製品価格はまだまだ維持されている。ようやくその効果が数字にも表れてくる時期となった。プラスとなる外的要因が見つけづらい状況なのでどうもヤキモキしてしまうが、冷静にみれば、製品はやっと適正価格に近い水準に近づいただけ。必要とされるものを、適正な価格で製造しているに過ぎない。今が踏ん張りどころだ。 (浮)</div>
-
text/html
2019-11-11T00:00:00+09:00
10月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1234
1
<div> ▼伸ばす大手系中小の中でも目立つ存在の関東地区△段ボール、周りからの声に『利益を出しているから何を言われても構わない』そうだ。コルゲータも数年前に高速・幅広化し、最新製箱機の導入も検討、設備投資額は数年で〇〇億円に達する。△段の親会社も過去最高を更新し続ける一貫直系で、こことの相互補完も万全のよう。関係者は自信満々『紙が上がっても転嫁できて黒字。ユーザーへの提案力も大手並』とした。一方、同じ県でも中小の生産量が伸びる事は無く、中には100万平米近く減らした会社もある。落としたところの品質やデリバリは定評あるだけにどこに差があるのだろうか…。それぞれの地域で同じような事が起きている。『限界ギリギリ』の会社も出てきた。とても段ボール産業全体が明るくなるようには思えない。<br />
▼9月の生産量、皆さんはどうだっただろうか。1日稼働日が多いとすれば最低105%で考えたくなるが、大手7社を見れば110が2社、107、106と続き105は2社、97も1社あった。中小の話では『仮需はあった』『うちは無かった』で最高は112だが、マイナス企業も。中には『仮需があっても前年並み』しかも『仮需があったなら10月の反動が怖い』だ。取材で回った感触で言えば、盛り上がりに欠ける上、先の見通しも視界不良である。値上げ効果が出てきたのがせめてもの救い。(山)</div>
-
text/html
2019-10-31T00:00:00+09:00
10月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1232
1
<div> ▼ある寝具メーカーが東京オリンピック・パラリンピックの選手村で使われるベッドに関してコンペを行ったようだ。ベッドフレームは段ボール100%とあり、ちょっとした話題になった。メーカーのHPには〝再生可能な素材を使用。高い耐久性、衝撃試験に合格。撥水加工。難燃性試験に合格〟と良い事が書かれていた。総数はオリンピックで1万8千、パラで8千台。『へぇーオリンピックで段ボールベッドが使われる』と、こちらまで嬉しくなった。<br />
▼ただ周りの話を聞くと喜んでばかりもいられない。1台当たりの金額は〇千円ぐらい。作るまではいいとしても、保管から組立て、更には撤去まで段メーカーが受け持つらしく、運賃や保管費を考慮すれば『割に合わず、適正価格は3割増し』と見る人も。一方、コンペ参加企業ではないものの『これでも合う』とする会社も存在する。部外者が個人的に思うに〝オリンピックに協力するボランティア精神でやって下さい〟ならば、協力する段メーカーの名前ぐらい見える位置に入れて欲しい。<br />
▼小紙記者がその寝具メーカーに電話取材した。『段ボール新聞です』と言うと、殆どの方が『えっ』と聞き直す。確かに段ボールの新聞なんて想像もつかないだろう。本業の『マットレスについても書いて下さい』と頼まれたらしいが、そこは段ボールの新聞だからカットした。 (山)</div>
-
text/html
2019-10-18T00:00:00+09:00
10月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1229
1
<div> ▼今年の夏も暑かった。7月が長雨で低温だっただけに8月前半から9月初めの暑さは堪えた。段メーカーを訪問時、工場見学を終えた高校生と出会わせた。『超暑っ。いられね』こんな話し声が聞こえた。蒸気を使って貼り合せる工場内は気温以上に不快指数が高い。慣れたオペレーターでも熱中症になる危険がある。親しい会社でも具合を悪くした人は複数いる。『もっと涼しい時に見て欲しかった』、段ボール工場を敬遠されては困る。経営側も手を拱いている訳では無い。ペットボトルや塩飴から屋根への散水、大型扇風機、スポットクーラーなど等、手を打ってきた。『暑さ対策展にも行って良い方法があるか探して来ました』こんな社長もいる。それでも追い付かない。<br />
▼8月の大手段メーカー生産量を見ると、一貫1、一貫系列4、専業3社全てが100%を割った。最低は85で、92、93・・・最高でも99%だ。もっとも稼働日が1日少ないのでマイナス5%で考えれば、それなりの数字の会社もある。大きく減らしたメーカーは、某飲料の仕事を価格面で辞退した関係らしいが、『飲料はやれる工場とそうで無い工場にはっきり分かれる』と他の大手経営者は言う。そうなれば戦うステージを変えるのだろうか。段ボール産業全体でもリーマン以来続けてきた伸びに陰りが見える。大手が持つ計画の中には塩漬もあるらしい。 (山)</div>
-
text/html
2019-10-08T00:00:00+09:00
9月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1227
1
<div> ▼何号か前に『古紙が上がれば原紙も、原紙が上がれば製品も、それぞれ連動して上がるのが海外では一般的。日本でもそうなれば』・・・『調整などで誤魔化すのではなく、古紙に連動するならば今は下げるのが正論』と、段ボール側考え方の一例を書いたが、原紙サイドから色々と反応があった。ある会社の営業幹部は『原紙が下がれば、製品まで下がってしまいますよ』と言う。もっともなご意見ではあるが、ちょっと上から目線、製品を下げるかどうかは段ボール会社の決める事であって、姿勢でもある。紙側の人が言う事では無いように思うし、今の段メーカーから『下げる』気持ちは感じない。<br />
▼将来に渡って両業界の安定を願うAさんからは、こんな指摘もされた。『そもそも段ボールの経営者が連動性を望んでいない』と。またここでこう書いたから紙が下がる事を望んでいる、と思われたらちょっと違う。原紙の苦労も知っている。紙がいくら上がっても製品へ転嫁できれば、少々のタイムラグがあっても誰も、何も言わない。ただ紙だけ上げて製品は…、を実際に見聞きしているから、つい書きたくなる。段ボール側にしてもまだまだ変わる、是正する、事もありそうだ。〇〇金の話にしても、無造作に出してしまえば〝麻薬〟になる恐れだってある。前だけを見ている中小経営者はたくさんいる。しっかり見極めなければ。 (山)</div>
-
text/html
2019-10-01T00:00:00+09:00
9月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1225
1
<div> ▼いつの値上げでも、『原紙を上げるなら段ボール製品も』、いや『原紙を上げるからこそ真っ先に製品を』。この気持ちが段ボールメーカーには強くあり、原紙と製品を同一事業とする一貫企業には業界に対する倫理観とも言うべき姿勢を求める。結果は地域や得意先によってもバラつきがあるが、総じて『大手と競合する客先は上がっても、紙代に届かない』(中小段メーカー社長)、この繰り返しだ。そして値上げの度に、中小オーナー系は生産量、売上高を落とす。特に前回、今回、この2回の値上げはその傾向が強い。<br />
▼大手段メーカーの伸びについて、〝客先の違い〟と指摘する人がいた。『中小の得意先を荒らすよりも、飲料や通販関係の増加が原因』とした。更に『伸びを期待できる分野は大手関係のみ』であり、『中小の客先はますます萎む』と見る。中小の仕事を奪った大手は間違いなく存在するが、客先の違いはそれほど的外れでは無いのかも。量を期待できないならばどうする?<br />
▼最近は普段の会話や取材の中で、単純に売上げを減らすのではなく〝戦略的縮小〟、自社がその量で繁栄できるように〝ダウンサイジング〟する方法、を耳にする。昔から言われ続けている〝量よりも質〟に通じるものでもあり、無理して安値を追うよりも将来の選択肢の一つとしてみてはどうだろう。<br />
▼ここで、偉そうに書いても記者の方がどっぷり浸かり、原紙価格の先行きや生産量に目が行きがちだ。大きな宿題を抱え込んだ気がする。じっくり考えねば。 (山)</div>
-
text/html
2019-09-20T00:00:00+09:00
9月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1223
1
<div> 『流石、トーモク』。ベトナム工場(ビンズン省)をひと目見た瞬間にそう感じた。外壁上部に浮き立つロゴマークと社名、工場全体のシルエット、工業団地の中でも際立っていた。〝最高の物を作る〟その拘りこそが、トーモクの精神であり伝統だ。<br />
6年前、『次世代に残す』と齋藤会長の肝いりで東南アジアへ進出した。『ベトナムで最初の日本スペックの工場。大手建設会社も苦労した』と言う。地震の無い国だけに、ブロック積みなどラフな作りが一般的だが、日本から船で資材を持ち込み職人達も1から指導した。エントランスの階段も支えが無く〝トーモクらしさ〟を見せる。現地スタッフも素晴らしい。事務所では笑顔で迎えられ、場内を見学時には必ず挨拶される。経営側とワーカーの垣根が無く一体感を感じるのも、この工場の特色である。<br />
『礼儀、礼節、モラルを重んじるトーモクイズム』、ベトナムでも育ち開花した。朝のラジオ体操に始まり、工場内からは働く誇り、熱意が伝わってくる。実際、ここで教育された人材は他社から羨望の的、〝プレミア〟まで付いている。<br />
国内主力工場と同様に自然力を活かし、空気の流れから暑さを感じない。天井は高く採光により隅々まで明るく、食堂はレストラン並み。他の段ボール工場との違いに『そこまで立派に建てなくても』との声が外野にあったが、遅れての進出だけに他社との違いを出す必要もあった。1度見学すれば『ここで作ってもらいたくなる』、そんな声が顧客側からあがる。段ボール箱に大差は無くても作る現場の差は一目瞭然。狙いは当たり、工場自体が優れた営業マンとして機能、昨年から利益を出し始めた。<br />
ゼロからスタートした生産量は月産600万平米まで増加した。東南アジアの工場は中古や台湾製が多くここもコルゲータ、フレキソグルアやプリンタは同国製。『スタート時こそ現地の需給環境にマッチした設備を導入』したが、フル生産になった現在『2号機増設か、国内同様の最新鋭機か、どちらかを考える時期』と話す。いずれにしてもトーモク独自のノウハウを詰め込んだ設備投資が次のステップだ。 (山)</div>
-
text/html
2019-09-10T00:00:00+09:00
8月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1220
1
<div> ▼『古紙が上がれば原紙も、原紙が上がれば製品も、それぞれ連動して上がるのが海外では一般的。日本でもそうなれば』、こんな話を2回の段原紙値上げ前後に何度か聞いた。原紙だけは上がっても、製品への転嫁がスムーズに出来ないから出てきた話で『理論的、ユーザーにも分かり易い』と理解を示した段メーカーは何社かあった。では現状はどうだろう。古紙の輸出価格がここまで下がり、国内価格に至っては買い支え状態。『原紙メーカーは儲かっている』、と段ボール側は誰もが思っている。<br />
▼『9月には?』なんて声も聞こえなくは無いが、現在も原紙側の価格に対する姿勢は当初と変わらず強気のまま。先日『市況は変わらなくてもいくらか調整があれば、疲弊した段メーカーも少しは息がつけるのではないですか』、こう話を向けたら『いや誤魔化すのではなく、古紙に連動するならば、今は下げるのが正論』と切り返された。この真っ当な意見、製紙メーカーにはどう聞こえます?<br />
▼数量が伸びない中小段メーカー、価格を守る事に全力だ。みな『価格まで下げたらどうしようもない』と言う。実践している会社が増えている事は業界にとっても素晴らしいが、一部段メーカーがこれをぶち壊すようなシート価格を出すのだから困ったもの。『旧値?』『〇〇円引き』、ある段メーカーの関連ボックスにまで手を出す一貫系。嘘のような話まで飛び出すが、運賃も出ない価格が提示させる事には、買うボックスでさえ『いいのか…』と、戸惑ってしまう。 (山)</div>
-
text/html
2019-09-02T00:00:00+09:00
8月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1218
1
<div> ▼地方で取材後に『関東はどれだけ伸びるのでしょう』と聞かれた。大手の新工場計画にしても『まだまだ増える、取れる』と頭にあるから出て来るのだが、先ほどボックス社長にした返事は『増えるのは、飲料や通販関係が多く、中小には全く関係ありません』。何でも作れば売れる時代とは違う。この2回の値上げで量を追求する一貫とその系列、収益追求型の中小・ボックスでは目指す方向が変わったのだから。<br />
▼『うちは一生懸命に取り組んだ』とは、どこの一貫系でも口に出す言葉である。確かにやったのだろうが、工場別にみるとだいぶ違う地域がある。『□地区ではやったが、△では…』こんな事例が散見される。会社やグループ全体で計算できる大手と違い、中小はそこだけでの競争になるのだから、まともに戦ったら勝負にならない。『紙代、運賃引いたら利益はゼロ』も実際にあった話なのだ。しかも先月中旬からキナ臭い話も出ているのだから困ったもの。<br />
▼『〇〇金含めて原紙は弱含んでいるんですか』と聞かれた。環境が環境だけに期待感を持つ人もいるだろうが、中小段メーカーを回っても大手専業で取材しても、原紙側の強さは変わっていない。古紙価格、原紙への増産・参入計画など等、今までならばヨタヨタしてもおかしくないのだが、意外にしっかりしている。段ボール側にも『紙は踏ん張らねば』との声は多いし、記者も堅くあるべきだと思う。だからこそ、シート販売で『工場が暇だから』と量など狙っていては…。中小の□社にしても、一貫系と同じ事をしてどこにプラスがある?それとも系列入りが前提?<br />
▼校正していたら武田紙器買収のニュースが入った。大手で優良ボックスだけにインパクトは段メーカー並み。この他にも数社が噂にあがる。それにしてもレンゴーはブラックホールか…。 (山)</div>
-
text/html
2019-08-21T00:00:00+09:00
8月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1216
1
<div> ▼昨年は理事長経験クラスの老舗段メーカーが相次いで大手の傘下に入ったが、どちらかと言えば今年の方がその傾向にあるのでは、と見ていたし、取材してもそんな話題が多かった。諸々の要因から『段ボール会社が疲弊した』のが理由の一つだが、『後継ぎ、後継者がいない』よりも、大きく売り負けている会社がやり玉に上がる。これも〝段ボールは量〟神話がこびり付いているからだろうか?<br />
▼〝GW枯れ〟から〝梅雨枯れ〟そして今は〝夏枯れ〟、中小各社はコルゲータが回らない。ボックスの多くも仕事量が大きくマイナスだ。収益性の良い顧客を残しても『その中で率の良い仕事は大手系に、悪い物ばかり回ってくる』事もあると言う。ケースを買う側は値上げを渋々認めたが、その中で優劣を付けている。不足気味だったトラックさえ余りだした会社もある。<br />
▼あるボックスが入れ合う中小段メーカーを『あの会社、大丈夫かね』と言っていた。営業メンバーがちょくちょく入れ変わり、今では内勤者など経験不足な人員もいるらしい。もっとも仕事が減っている会社はここだけでは無い。10年程で2倍近くまで増やした段メーカーでさえ、社長自ら『伸びない』と言う。耳にするのが某地域での一貫系工場の〝単価据え置き〟『これでごっそりやられた』中小は数社に。得意先自体の優勝劣敗はあるにしても、価格だけで、大手に取られる事例だって少なくはない。皆が〝業界の正常化〟を待ち望んでいる。<br />
▼某専業大手の決算はあれだけ工場を閉鎖し量を落としたにも関わらず、営業利益が黒字だった。同社は小紙記者に『売上げ(量)は見ない』とはっきり言ったそうだ。中小オーナー系でも同様の事例は多い。やる事や苦労も多いだろうが、量からの脱却を掲げる会社こそ頑張って欲しい。 (山)</div>
-
text/html
2019-08-07T00:00:00+09:00
7月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1214
1
<div> 『価格は古紙市況ではなく需給で決まる』。現状に対する原紙サイドの返答はこの言葉に集約される。全く持ってその通りである。経済紙の古紙価格からの単純な上げ下げ理論の繰り返しには、気持ちはわからないでもないが、少々辟易する。半年ちょっと前の古紙輸出価格を考えれば『今はガタ下がり、今後も…』という状況としても、そう易々動かすべきではなし、これまでの原料高の穴埋めをする猶予期間があってもよいはずだ。<br />
ただし、肝心の需給はどうか。GW明け以降、段ボール需要に明るさは見えない。そうなるとエンドユーザーはともかく、段メーカーの『6月までは我慢した。9月にはどうにか…』との声が大きくなるのも頷けるのだが、それはそれで再び逆行して良いのか。かりに原紙が下がっても上がったシート、ケース価格が崩れなければ良いというのは理想論か?<br />
多くの段メーカーの前期決算が出揃ったが、黒字転換した会社、業績を大きく伸ばした会社も思ったより少なくない。今期も下期以降、値上げ効果が更に表れてくる。前期赤字幅を縮小した大手一貫もしっかり黒字化するはず。守るべきは今の価格だ。<br />
続々と動き出す原紙の新設・増産計画。全部足したら80万㌧は下らない。ここに来てAが子会社マシン停止を撤回するのではとの噂は少々眉唾ものだが、一方で転抄するBが同地域の工場閉鎖を発表するとの噂には、それは必要との意見が多数。いずれにしても最大手が見す見す需給バランスを崩すことはしないはずだ。 (浮)</div>
-
text/html
2019-08-01T00:00:00+09:00
7月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1211
1
<div> ▼段ボールの価格修正、上げ幅全て転嫁出来ただろうか。振り返ってみれば原紙は期日に容赦なく満額取り切られ、シートも地域によっては瞬く間に上がった。受けた段メーカー、ボックスにとって将来を大きく左右する顧客との攻防だった。『あそこが動かない』『いやそっちだろう』こんな話も相変わらず多々あったが、他社をみている余裕は無かった。やらねば中小は潰れてしまうのだから。走り過ぎた会社だってあったが『これを生き残れれば少しは明るさも』、この気持ちも強かったに違いない。<br />
▼何号か前にここで理不尽なユーザーを書いた。その後何人かから『同じような事があった』とメールを頂いた。仕入れる商品が安ければ安いほど自分の得点になる、と勘違いし、とにかく買い叩くと言う。売る側にしても『うちの量は増やして下さい』この気持ちが見え隠れするから『余計につけ上がる』らしい。ある段メーカーは『一貫系も加工で儲けなきゃ、とは言うが、親の紙を少しでも多く使う習性が染みついている』と指摘する。<br />
▼利益が自分の財布である中小と、出世が頭にある大手系営業マン、これに一貫と専業大手の戦略が加わって複雑化する。有名食品会社との攻防では『一貫系は〇円、専業は△円』と、何故か上げる額に差をつけた。ちなみに〇円も△円も8円には届かないものの△円の方が若干高い。もちろん専業は8円頂戴出来ないのだから断ったが、某一貫系は〇円で飲んでしまった。これだって『紙さえ潰せば』と、とられても仕方がないだろう。(山)</div>
-
text/html
2019-07-19T00:00:00+09:00
7月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1209
1
<div> ▼動かなかったと回りの中小・ボックスが口を揃える一貫系段メーカーは決算も赤字のよう。片や4月に子会社はもちろんグループ全体でも過去最高の量を集めた最大手、子会社も売上を伸ばし利益を出しているようで流石に力を見せ付ける。<br />
▼大手の数字を見て『どこまで伸ばせば』こんな声も多々聞かれるが、5月も前年よりも休みが多かった割に100%を超えた一貫系がある。ここは4月も114稼いだ。中小は4と5を足して2で割っても過去最低だった会社があるなど『全体に悪い』中で。原紙を持つ、持たない、だけで差が広がっているのだろうか。それとも大手と中小の得意先の違いだろうか。<br />
▼ある地域のある段メーカーの事だが、1社は一貫で1社は中小、ともに20年前は約250万平米、影響力に至っては中小の力の方が強かったように思う。それが現在はどうだろうか。一貫は400万近くまで伸ばし、中小は100万強まで減らしてしまった。ここまでではないが、他の地域でも大手との差は開く。量からの脱却を目指した会社でさえ『段ボールは量の商売、バランスが最課題』と改めて感じるそうだ。『仕入よりも、売りでどう儲けるか』、今後の最大の課題である。<br />
▼中小はいう間でも無く、専業大手のM&Aも色んな名前が飛び交い、絶え間なく取沙汰される。最近も『えっ』と驚く老舗の名前が出た。そんな中、中小同士でアライアンス含め色々な動きが加速している。小さな会社でも集まれば優れた知恵だって出るはずだ。ここらで中小含めて専業の意地をみてみたい。段ボールの縁の下を支えている中小企業が良くなってこそ、と思う。 (山)</div>
-
text/html
2019-07-10T00:00:00+09:00
6月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1206
1
<div> ▼段原紙への増産計画は、一般紙や経済誌にも取り上げられ、取材先では挨拶代りにこの話題が出る。株式市場は、下がってもいない原紙を先読みして反応した。『段ボール側からすれば、どう映っているのでしょう』『選択肢が増えて喜ばしいのか、悪影響か』こうも、何度か聞かれた。親しい段メーカーは『足らないよりは』としながらも『増え方によっては。製品価格への波及が心配』と言う。この先、万一紙が余りだし、たとえ弱含んでも『材料は安く買い、製品は現状維持』これが理想なのだろうが、過去を見てもそうならず、安く買った分だけ安く売ってしまう会社がある。原紙需給はパンパンで、当面原紙が下がる事は無いだろうし、製品で量を求めても良い事は無い。<br />
▼『古紙の状況を考慮すれば原紙は現状維持』『この先何年かはさすがに値上げは無い?』、昨年からこんな見方が川上から川下まであった。しかも前記のような状況。しかしあくまでも原紙業界の事情である。段ボールとしては物流問題がより深刻化している中で、材料代とは別にこれら経費の上乗せ、納期やロット等それぞれの得意先へ個別の改善も地道に続けていかねばなるまい。まだまだ気は休まらないかもしれないが、この積み重ねが大きな保険、財産になる。『買いで儲けるより、売りで』行かねば。段ボールの方が先に大きく変わってみようではないか。(山)</div>
-
text/html
2019-07-01T00:00:00+09:00
6月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1204
1
<div> 大手6グループのシェアが80%に迫る。今後もこの割合は増えることはあっても減りはしないはず。それはそれで業界の安定につながる面はあるが、多くの中小段メーカーにとっては、自らの将来を考える上で決して無視できない状況である。<br />
そんな中、全国各地のオーナー系段メーカーと有力ボックスによるアライアンスの芽が育ち始めている。従来から存在するつながりをベースに、BCP(事業継続計画)の観点から、不測の事態における相互協力が最大の目的。さらに日常的には地域や仕事内容に応じた業務連携、懸案の物流では共同配送や他社便ルート活用、そしてより大きなうねりとなれば、特徴ある海外原紙の共同調達も視野に入れている。<br />
この動き、大手への対抗を前面に出したものではない。各社が従来からの強みを発揮しながら、時には互いに切磋琢磨するも、規模で劣る中小単独では解決できない、また、弱点になりかねない部分では大胆に手を組み、共に生き残っていく―。そんな絵を主導する段メーカー社長は描いている。同様の考えはこれまでもなかったわけではないが、今後強く推進していく意向で、既に20社以上の加盟が見込まれる。具体的な名称等をあげてお伝えしたい所だが、より形になってからにしたい。まずはこのような取組みがあることが少しでも中小段メーカー、ボックスの〝希望〟になればとの思いで書いた。 (浮)<br />
▼大王・三島工場に続き王子が苫小牧のマシンを段原紙に転抄する。生産量は年間30万㌧。『飽和状態にならないのですか』と段メーカーから聞かれても、『段原紙はまだ伸びる』『フル操業、ちょっとした事故でも安定した供給体制が崩れる』(原紙側関係者)、こんな言い分を紹介したりもしていたが、さすがに5月28日発表の北越・新潟工場の中しんへの新規参入(年間13万㌧)には驚いた。いくら古紙価格が落ち着いたとはいえ、『今さら中しん?』と段メーカーは言う。更に『中しんだけでは儲かる訳が無い』とし『ライナも視野に入れているはず』と見る原紙関係者は多い。<br />
▼儲からない商品から儲かる商品へのシフトは企業にとって極当たり前かもしれないが、通達一本で満額期日に上がる原紙に比べ、数カ月努力して転嫁できた段ボール。原紙がダブつく事を見越してか、ある地域では『ブローカーに安く供給する段メーカーが出始めている』と言う。前記2社には失礼だが、『印刷用紙からの転抄であり、段原紙としての品質はどう?』、『古紙調達や製品販売での輸送コスト高は?』、こんな声もある。なお記者の頭にこびり付いているのが昨年の原紙値上げ時にある段メーカーが言った『いつまで足りない?いつまで追い風?』。原紙側の動きに目が離せない。(山)</div>
-
text/html
2019-06-20T00:00:00+09:00
6月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1202
1
<div> ▼ホワイト物流=政府の資料には『深刻化が続くトラック運転手不足に対応し・・・物流を安定的に確保するとともに・・・経済の成長に寄与・・・』とある。運送会社、発荷主、着荷主の三社が一体となり進めなければ達成は出来ない。板紙、段ボール関係でも推し進める動きが活発になっている。<br />
▼たとえば製紙側ではGW前から、原紙の締め切りを納期の1週間以上前に設定した。早めに受注が確定していれば、余計な原紙を作る必要がなくロスも減るが、配送関係を考慮したのも大きな理由だろう。トラック確保、配車手配は今や〝作る〟〝売る〟以上の大切な仕事とも言える。段メーカーからすれば『めちゃめちゃ締め切りが早い』。急がされ連休前に取り過ぎキャンセルもあったようだが、特に問題もなかった。<br />
▼ただ段原紙は着荷主が段メーカーなので進めやすいが『段ボールケースは着荷主が大手ナショナルユーザーになるので思うように進められず、中には中小段メーカー向けにごり押ししてくるのでは』、こんな見方も存在する。ちょっと相手を思いやる事で前進するのだが、自社の製品は諸々の理由を付け上げ最高益を確保しても『段ボールの値上は…』、とごねる大手ユーザーのやり方を何度となく聞かされてきただけに、少し心配になってしまう。<br />
▼同じように働き方改革では箱屋さんへの負担増な事例も見られる。休日出勤や残業など大手自工場で出来ない仕事を小さな会社に押し付ける。特に人手・手間の掛かる製品や得意先への面倒な配送条件で、多々発生するらしい。自社の改革はもちろん必要だが小さい方、弱い方へ皺が寄ら無いように大企業は考えて頂きたい。<br />
▼王子・苫小牧、28日には北越・新潟工場の段原紙(中しん)参入計画が発表された。『えっ』と思った人が多い。昨年の大王あわせればある程度は影響ある量になる。『儲かる物には群がる』言い方は下品だが、記者にはそう見える。原紙側には『まだ伸びる。足りないから』と言う意見もあるだろうが、ようやく段ボール製品の目処がついた矢先に。ケースへの影響が無い事を願う。 (山)</div>
-
text/html
2019-06-11T00:00:00+09:00
5月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1200
1
<div> ▼『やるだけ赤字が増える』、『買っている原紙代しか出ない』、どこにでもこんな仕事はあるが、『あわないから出来ない』と断っても、その先から別の会社が引き受ける。拡大路線で知られる大手ボックス、取るだけ取って工場はパンパン、機械もフル稼働。処理しきれなくなった社長は採算の悪い受注から裾切りを始めた。その後、社長の口から出たのが『うちが断った仕事を引き受ける所があるんだよ』。冗談では無く、最近あった話である。<br />
▼これも今回の値上げ時での事。一般紙にもよく名前が出る超一流企業H、先日は過去最高の営業利益を出して話題になった。ここがある会社を買収し、資材交渉窓口も変わった。ここからが酷い話でHの担当者は、『前回値上げを認めなかった紙代分〇%のみ、今回認めましょう』と恩着せがましく発言したという。合計18円上がってもたったの〇%、本来ならここできっぱり断るべきだが、一貫を始めとする大手段メーカーは軒並みOKを出し、中には量まで減らされた大手系列まであったから驚きだ。<br />
▼『〝値上げは無理だろう〟と思い込む事で本来なら高く売れるものを安く売っている』、ある産業の人が話していたが、『段ボール業界の』と勘違いするほど当てはまる。『上げられなかった製品の30~50%は上乗せできる』とも指摘されたが、中小段メーカーでも動きが悪い会社は存在する。仲間内から『大丈夫?』の声が出ているが、可能性を放棄する事は自社の将来を間違いなく危うくする。<br />
▼中小の社長が『量を増やせば会社の能力を超え、現場が疲弊するだけ』『材料が上がった中で、製品を上げずに量を増やしても意味が無い』と言う。一昨年に生産していた量を今の配送体制では運べないとも。増収・減益よりも減収・増益(出来れば増収・増益と笑っていたが)を狙い、利益が上がれば従業員に還元する方針だが、それを実現するためにも、早期にやり切らねば。 (山)</div>
-
text/html
2019-06-03T00:00:00+09:00
5月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1197
1
<div> ▼『中部や関西で輸入紙が増え始めている』と耳にした。韓国や台湾品などを積んだ船が3月頃から着き始め、理由として『中しんが入りにくくなった時の対応策』『価格面で』をあげる。段原紙は一昨年10円、昨年8円と立て続けに上がり高値で貼り付いたまま。しかも『一歩も引かない』中で、製品への転嫁(金額ベース)は思うように進んだのだろうか。そうで無いならば、たとえ僅かな量にしても〝原紙側への牽制球〟、段メーカーとしてはこんな意味合いでも『使いたい』気持ちはよく分かる。<br />
▼地方のある段メーカーの話。取引先のボックスが『営業部長クラスは定年まで無事に過ごせればなのか気迫がまるで無い』と言う。その下の人が育っているかと言えば『そうでも無い』。今回もユーザーから揺すられれば『分かりました』と直ぐに折れて値上げを引っ込めてしまった。他の大手と差が付くばかりだが、取り引きを止めたくても『(シート購入の)選択肢が限られ、仕方がない』。更に『系列入りを検討する段メーカーがある』らしい。地域によって、ますますシートは買いづらくなる。<br />
▼原紙が上がった直後から製品値上げに邁進してきた専業各社。5月時点で殆ど終わった地域もあり関東でも〝終結〟した会社が増えている。但しやった会社とそうで無い会社の差は歴然。もっともやればやるほど失った現実も。特に中小のシート売りは痛手が大きい。『このままダラダラ続けられる訳がない』と見る社長もいるが、一部青果物など遅れを最後まで取り切れるか。このところ仕事量がいまいちのように感じる。原紙在庫も増えているが『(言うだけ無理と思ってか)戸惑うほど要求は無い』(流通幹部)そうだ。記者も空気が変わったように思えないが、この先、潮目は変わるのか、変わらないのか、注視したい。 (山)</div>
-
text/html
2019-05-22T00:00:00+09:00
5月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1194
1
<div> 働き方改革の一環として実施された改正労基法。時間外労働の上限規制、年次有給休暇の義務化等が盛り込まれ、違反した事業者は公表…厳しい罰則付きである。中小企業は来年4月からだが、少しずつ影響が出ている。<br />
取材した複数段ボール会社では「外注で入ってくる仕事が徐々に増え始めた。おそらく大手を中心に残業を減らしている影響で、対応し切れない分だろう」という。ありがたい面もあるものの、今後の不安も大きい。ただでさえ人手不足が深刻化している。これまでも繁閑期の差が大きいため人員のコントロールに苦慮してきた。<br />
その上、来年4月以降は…。「自社で手一杯。さらに外注するしかないが、どこも余裕はないだろう」。下請法で不当な納期、金額などは禁止、より一層気を遣う。<br />
あるボックス営業担当者からは「この潮目を機に、これまで遠慮してきたエンドユーザーに現状を訴え、超短納期などを見直させるべきでは」という声も。TFPとして取り組んではいるが、納期に余裕を持たせることで残業を抑えられ、ドライバー不足で激しい争奪戦のトラックも計画的に確保し易くなる。<br />
より良い産業にしてゆくために働き方改革が必要であることは間違いない。ただ、これによって業界全体が苦慮している矛盾のようにも見える現状。避けては通れぬプロセス、過渡期であり生みの苦しみ…と受け入れ、前進するしかない。(菅)</div>
-
text/html
2019-05-13T00:00:00+09:00
4月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1191
1
<div> ▼少し前になるが、大手エンドユーザーから指定紙で『今回の原紙値上げは認めざるを得ない。ならば最終のケース段階でより有益な条件を提示した一貫メーカーを優先する』との提案があったという。半信半疑ではあるが、これが本当なら何とも不思議な話だ。<br />
そもそも原紙の量をまとめコスト削減効果を狙うとともに、その価格を明確化することで、ある種のブラックボックスを無くし加工賃を白日のもとに…というのが取り組みの目的だったはず。最終のケース価格が安ければというのであれば、従来の方法に戻すということなのか?これでは結局のところ、段ボールに求められるのは価格の安さだけということになる。<br />
無論、使い易い価格が特徴の包装材であることは、段ボールの大きな長所ではあるし、それゆえこれだけ普及したのは紛れもない事実だ。ただし、購入する側の『原紙の値上げが盤石なら、ケースではどうか』との姿勢はあまりにひどいし節操がない。結局、この提案は成立しなかったと聞いたが、段ボール側からすれば当然だろう。<br />
象徴的な例ではあるが、ケース値上げはそんな厳しい交渉が会社規模や量の大小問わず、幾千、幾万と繰り返された末に達成されるものなのだと改めて痛感した。経験がないからこそ、なお更、その大変さに頭が下がる思いだ。 (浮)<br />
▼3月末、ある段メーカーが『製品値上げは4月までに終了させるべく年明けから取り組んで来たが、何だか…』とぼやいた。同社は得意先が大手段メーカーとかぶる。それゆえ、想定通りに進んでいないのだ。しかも1~3月、値上げに邁進した中小オーナー系は軒並み数量を落としている。『殆どの会社が100%を割った』と言う流通幹部、中には『100万平米以上減らした』『価格改定日にケース大口納入先をごっそり取られた』所もある。日本を代表する日用品メーカーのケース値上げに対する対応も酷いものだが、立ち向かう前に、力をあわすべき同業者が信用できないのだから話にならない。<br />
▼一方の大手段メーカー、4月の生産量は1日稼働日が少ないこともあって8社中6社が前年割れ、その中でもここ何年も伸ばし続ける一貫系Yは1人勝ち(103%)。中小はいくら値上げで改善しても、それ以上に平米を失い、二進も三進もいかないメーカーが増えている。中小と大手の得意先に差があるにしても、『年々ジリジリと生産量が落ち、雑巾も絞れない。やれる事にも限界がある』のだ。期待された大型連休の仮需が入っている話もそう聞かれ無い。『また、失敗ですか』、こう問われた事もあるが、それはまだまだ早過ぎる。一部青果物をはじめ未決分を継続して勝ち取ればプラスになる。総力上げてこれをやるしか無い。 (山)</div>
-
text/html
2019-04-24T00:00:00+09:00
4月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1188
1
<div> ▼若干、環境が変化しても『原紙は強い』と誰もが感じている。『□せ』『□せない』、大手段メーカーと専業原紙メーカーとの激しい攻防があった事もパッと流れた。ここでも原紙側は強気を通したと言う。長年の悪癖を是正し、変わった理由を『そこまで追い詰められた結果』と表現した人がいた。古紙価格の高騰が続いた時期には作るだけ赤字が増え、会社によっては『製造を止めたい』事もあったそうだが、ずっとこのまま行ければ原紙のプラットホームは強固なものになり、安定につながる。<br />
▼段ボール生産の半数以上は一貫及びその系列で占める。原紙部隊が変われて何故、同じ会社の段ボールが〝強く〟なれないのだろう。後が無いのは一緒〝やるしかない〟中で、やらない(やれない)中小はどこへ行く?また『会社としてまとまりが無い』『業界に対する熱意が感じられない』、ある大手段ボール会社をこのように指摘した社長がいた。其れゆえ周りの段メーカーも引き摺られ、『進めている価格交渉にしても、経営層が思っていた通りに進んでいないのだ』。段ボール特有の量志向にいくつもの要因が混ざり、旧態依然のままなのか?<br />
▼ここ数年間の生産量を見ても周りの評価でも、大手の一部は量への執着がありあり。しかも考えていた以上にコルゲータが増える、と話す人がいた。もちろん全て大手関係だ。その数〇台。この台数が数年の間に関東で本当に増えたなら中小は大変だ。なお中小段メーカーの若手経営者(創業家)が2人も3月いっぱいで段ボールを離れた。時代の流れとは言え、仲間は非常に寂しいだろうし、記者も同じ想いでコラムを書いている。(山)</div>
-
text/html
2019-04-16T00:00:00+09:00
4月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1184
1
<div> ▼3月も中旬を過ぎた頃、ある段メーカーから『値上げ、本当に進んでいます?』と聞かれた。他社から『終わった』『あと僅か』と耳にしたものの、自社のケースの進捗が足踏み状態にあり疑心暗鬼になっているそうだ。各地域の親しいボックスは一様に『シートは満額上がったが、ケースは鈍い』、中小段メーカーとメールやラインでやり取りしても、そう良い返事は聞かれない。『進んでいる』と信じたいが、あの大手の生産量を見ると、最終目標は違うのかも。紙の値上げが浸透した事について、『各社がそれほど追い詰められた結果』とあったが、紙(原紙)業界が変われて段ボールが未だに変われないなんて、情けないではないか。ちなみに値上げの進捗状況、各地でバラつきがあるものの中部地区が最も進展していると言う。オーナー系が多く努力の表れか。<br />
▼『この周辺で小さなボックスが2社廃業した』と聞き、事務所に戻ったら昭和40年代からの地方の読者から廃業通知が届いた。年々こんな手紙が増えている。『廃業した先の小さな仕事が入って来たが、とても出来る内容じゃない』、と何度か聞いた事がある。特有の細かなロットや手間ひま掛かる仕事、多少価格が取れたとしても段メーカーでは、そう簡単に熟せるものでは無い。設備だって必要になる。ボックス社長が『協力工場を育成していかないと、手加工の製品をやる会社は無くなってしまう』と話す。生かさず殺さずでは無く、きちんと協力工場にも利益を分配しないと廃業ばかり増えて、ひいては大手段メーカーだって困るだろうに。 (山)</div>
-
text/html
2019-04-09T00:00:00+09:00
3月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1181
1
<div> ▼ポジティブな中小経営者から、珍しくため息が漏れた。2月の大手段ボール生産量を見て『別の業種のよう』だと。そこには数社を除き109、105%と絶好調な数字が並ぶ。今作っている量だけでは無い。『これから関東で増えるであろう生産能力を考慮して、我々の生き方を考えねば』と言う。それでも『愚痴を言っても始まらない』、そう、最後までやり切らねば。<br />
▼『ボックスが中小段メーカーより安い価格のケースを出す』以前の話じゃなく現在進行形の事例である。この時期にまたかと思うが、2月から殆どのボックスが規模を問わず平均してシングル〇円、ダブル□円上がったはずだ。『いったいそのシート価格はいくらなんだろう』誰だってそう思う。あるボックス経営者から『安く買うのも力の差』、こう言われた事もある。確かにそうだが、たとえ材料は安く買っても内部留保に回し、ケースは適正な価格で売らなくては。運べなくなるような価格は自滅につながる。<br />
▼地方のボックスから『古紙、原紙状況を教えて欲しい』こんな問い合わせが、今年に入って大幅に増えた。納入先から上がった価格や上がる前との対比など、詳しい説明や資料提出を求められる事もあるらしい。使う側の大半が理解ある企業なのは分かっているが『(加工賃はダメで)紙代だけは認める』、こんな大手ユーザーも中にはある。段ボールをバカにした話ではないか。『取り引きしてもらわなくて結構』こう言い切った大手専業も。そう、断る勇気が必要だ。 (山)</div>
-
text/html
2019-03-29T00:00:00+09:00
3月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1176
1
<div> ▼テレビで飲料や食品など様々な商品の値上げのひとつの要因として、段ボール価格の上昇をあげる事が多々あった。『段ボールがそれほど(上がって)影響』しているならば嬉しく思うが、それはさて置き、値上がりの度に毎回、毎回、同じような内容が繰り返し放送されているようにも感じる。ただ今回は『米中貿易戦争で中国が段ボールをアメリカから輸入せず日本から爆買い』と、いつもとはちょっと違う見方をしていた。ネットの広がりで中国でも需要が増大、日本の段ボールが中国に吸い取られ不足して値上がりに、という訳だ。ただ最近は段ボール箱の話を耳にしない。古紙からの一連した絡みが複雑でお茶の間番組では説明しにくいのかも。<br />
▼一般の人達からすれば、古紙も段ボール原紙も段ボールシートもケースもみんな段ボールで一括りである。段ボール箱が値上げに苦労している事など、きっと理解できないだろう。業界内の人でさえ『古紙が弱含めば原紙まで下がる』と思う人がいるようだが、これは間違い、今はそんな状況では無くなっている。2回目の原紙値上げの背景、取り巻く環境、まして配送に苦しむ事情はどこも同じだ。段ボール箱の価格修正にリンクさせ、上手にユーザーへ説明しなければケース値上げは貫徹しない。<br />
▼古紙価格がキナ臭い。これも中国絡みだが段ボール側は古紙の乱高下に振り回される事無く、下がり続けた〝加工賃の復活〟を進めねばなるまい。ユーザーの中には古紙価格を口に出す人もいるそうだが、段ボールの主原料は古紙では無く原紙で、古紙高騰時は赤字を垂れ流した。未だに蔓延する〝安売りの危険性〟等についても営業マン教育を徹底しなければ。年初めにGのO社長が『買いでは無く、本来の売りで儲ける事が大切』と話していたが、皆がそうする事を願う。 (山)</div>
-
text/html
2019-03-19T00:00:00+09:00
3月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1173
1
<div> ▼『本当に値上げしているんでしょうか』とは、中小段メーカーの声では無く原紙側の営業マン。何でこのような話になったかと言えば、107や108%と稼ぐ1月の大手生産量を見てから。値上げがスタートした昨年11月から今年に入っても伸び続ける前年対比を不思議に思ったのである。西の方で被災した一貫系工場が失った量を取り戻そうと動き『足を引っ張る』と話題になっているが、『この数字では全国的に同じですね』とも。『値上げしても量は落とさない』(大手営業幹部)と反論された事もあるが、大手ユーザーとの駆け引きが激化する中、どの程度の値上げ、なのだろう。件数ベースはともかく金額ベースでの転嫁率は、自信を持って人に言える数字?<br />
▼〝最大たらんよりは最優たれ〟とは別業界の経営者だが、これを教えてくれた段メーカーA社長が『規模よりも質を求めるのはどの産業でも同じ』と言った。大手段メーカーだからこそ、〝質を兼ね備えた量〟を追求しなければならないが、果たして…。また『2月9日の日経新聞トップ〝銀行(地銀)融資、危うい復調〟は段ボールと同じですね』とは中小B社長。記事には、多数の地銀があり激戦とされる地域ほど競争が激しく経費を考えると赤字になるぐらい金利が下がっている、と書かれていた。『貸せば貸すほど利益は低下する=売れば売るほど利益は下がる』、『お金に色は無く、段ボールも品質に差が無い。いきおい金利勝負、価格勝負になってしまう』。う~ん、全く同じだ。 (山)</div>
-
text/html
2019-03-18T00:00:00+09:00
2月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1170
1
<div> ▼18年の段ボール生産量(速報値)は143億9430万1千平米で、出荷量は37億5268万4千平米。段メーカーの他社購入もあるが、単純計算で、シート販売率は約26%。これが08年は同33%、1998年は同39%なので、この10年で7%、20年では13%減少した。段メーカーの製箱比率上昇、ボックスメーカーの減少が主な要因として挙がるが、どちらが先かは意見が分かれるだろう。ただ、現状の磐石な原紙価格に加えて、配送問題などが顕在化する中、なお一層、シート販売の舵取りは難しさを増しているのが現実だ。だからといって、原紙のように、有無を言わせない値上げで良いわけではないはず。少なくともケース値上げも同様な状況にならなければ、最終的に誰が割を食い、誰が得をするかは明白だ。<br />
▼『バラエティでも取り上げられるのにね』と段メーカー幹部。2月初めの日曜、人気番組で、中国の通販爆買いに端を発し、日本の段ボールが値上がり、飲料はじめ様々な商品が上がるとの主旨で特集していた。引越し業者は購入するケース代が17%以上も上がったと実値を挙げていた。同様の特集も多い。広く認知してもらうチャンスだ。実際、『今回の値上げが過去、最もやりやすい』と断言する段メーカー社長もいる。昨年末以降の古紙下落を受けた製紙一貫の動向が多少気になる所だが、価格改定もしくは取引条件改善の理解を得るべく、今は前を向くしかない。 (浮)<br />
▼関東は大きな市場であり、『まだまだ伸びる』と誰もが思う。が、それにしてもこの先数年間で、コルゲータ更新を含めいくつ新工場ができるのだろうか。正式に発表された森紙業の千葉県船橋以外に、耳にしているだけで埼玉のRT、群馬のOI、茨城では土地を取得したRにTに、Dが更新と計画がひしめいている。もちろん噂の範疇ではあるが、大手の工場だけにコルゲータは300㍍以上だろうし、生産能力は中小段メーカーの比では無い。『大手の陣取り合戦、中小は蚊帳の外』とある社長が話していたが、1月の大手生産量を見ても、新工場分を今から埋めようとしているのだろうか。<br />
▼『中小はシート販売から引き始めている』、地方のボックスからこんなメールがあった。大手2社、中小2社と取り引きしているが、中小からは昨年末に『申し訳ないがこの値段でしか売れません』と言われたそうだ。価格面もそうだがニュアンス的に『(運ぶのが大変)売りたくない』みたいだ、と言う。一方の大手、シート値上げの案内配布はいの一番だったが以後、音沙汰なし。ボックスでは『いずれ上げて来るだろうが』とは見ているものの、『(一貫と中小)置かれた環境が違うようだ』と感じている。一昨年このコラムで、〝シート販売は中小では出来なくなりつつある〟と書いた事があったが、現実にそうなってしまうのだろうか。 (山)</div>
-
text/html
2019-03-04T00:00:00+09:00
2月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1167
1
<div> ▼『これだけ厳しい状況は今まで無かった』とは、段メーカーの会長。『良い時も悪い時もあったが今回ばかりは』と話す。原紙側の強さから、同業の出方など待つ余裕無くシート値上げに邁進したが、早く動いただけに『かなりのダメージ(量)がある』と言う。全体で見ても、2月に入ってシートは前進した。『2月1日から〇円以下では売れません』西でも東でも、ある大手は1歩も引かなかった。1月中旬にはシートを終わらせた中小もある。懸命に動いた会社でさえ『余裕など一切無い』のだ。とは言ってもシートを買うボックスから『(自ら安値を出し)今の時期にいくら何でも…』と諭された一貫系もあるとか。呆れてしまう。<br />
▼動いた会社と鈍い会社の差は歴然だ。転嫁率(上がった原紙価格、製品価格ベース)で見れば倍以上は違う、と聞いている。有力段メーカーが、シートを上げるにしても原紙の手当てにしても『ここまで状況が変われば一貫系列に入った方がずっと楽』と冗談交りに笑ったが、『あそこは〇に、あっちは△に』、こんな噂話も案外、早めに実現するのかも。もっとも傘下入りと言っても人気は見事に偏っている。今後はケース価格の交渉が本格化する。『お客さんの方が理解している』、まともなユーザーも多い。大小問わず毅然とした姿勢で交渉しよう。『これを乗り切れれば、明るさも戻る』のだから。 (山)</div>
-
text/html
2019-02-20T00:00:00+09:00
2月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1163
1
<div> ▼コンセンサス、コミュニケーション等が足りない、取れていない、こんな声を休み明け早々段ボール側からよく聞く。古紙が諸々の事情から高騰、配送などその他のコストも上昇し原紙メーカーはそれを価格転嫁、2年続けて紙は上がった。この値上げの背景は段メーカーだって理解はしている。お腹にあるのは『一方的過ぎる』(専業大手)、『交渉にならない。冷たく機械的』(中小)と感じてしまうその手法、上げ方だ。過去ずっと段ボール側にスタンスを置いていた原紙専業も、別の顔を見せるほど。集約淘汰が進んだ上に外にいくらでも売れる時代、日本だけでの需給(古紙、原紙ともに)も考えられない。『環境がガラリと変わったんだ』、そう言われればそれまでだが…。<br />
▼3団体新年会で齋藤全段連副理事長が、『お尻を叩かれている製品値上げ、段メーカーは頑張り第4コーナーを回ったが、ムチばかりでは…』と話した。その場で参加者から賛否両論耳にしたが、記者が思うに大切なのは段ボールと原紙は一体ということである。ともに無ければ成り立たない存在だ。それが最近はちょっと違う気がする。片一方ばかりどんどん先に駒を進めても。もっとも段ボール側も環境の変化について行かねば、厳しさから脱する事は出来ない。〝他社が〟よりもまず自社で動かねば。なお専業大手○、茨城・阿見に工場用地を取得したもよう。 (山)</div>
-
text/html
2019-02-12T00:00:00+09:00
1月27日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1160
1
<div> ▼某大手ユーザーに値上げで動いた一貫子会社の営業マン、資材担当者から『〇〇が儲かっているのに、上げるのですか』と聞かれ、反論出来なかったそうだ。ユーザー自身は立派な収益を上げている。全くおかしな話だ。また原紙部隊に段ボールの営業マンが『(古紙に引きずられ)原紙も弱含みか』と尋ねたと、嘘みたいな話まである。もう少し学ばねば、顧客にやり込められてしまう。<br />
▼一方シートの交渉で『〇円以下では売りません』と強気で切り出した大手段メーカー、ここまでは立派だがボックスから『ケース価格は?』のひと言に無回答だったと言う。仕入先を変えない優良ボックスが何故こんな事を口に出したのか。前回値上げ時にこの段メーカーから痛い目に合っていたのだ。シートを満額上げておきながら、入れ合うユーザーにはボックスの提示額より下げた価格でネゴ、結果その価格に落ち着いてしまった。ボックスにしてみれば『シートを上げておきながら、全額転嫁できないケース価格を提示するとは』。この一件が無ければ、このような言い方はしなかった。原紙もシートも同じである。最後の製品までやらないと後々まで悪影響が残る。<br />
▼量を睨みながら『赤字で無ければ』位の気持ちでは、11月に原紙をあの値段で仕切られた専業は満足しない。それでもじっとしていれば財布からお金が出て行くばかり、色々な動きがある。南九州でのM&A、関東で駆け巡った噂話。板紙・段ボールを取り巻く環境は様変わりしたが、いつの時代も変わらないのはやれば必ず結果は残るという事。シートは件数ベースではそこそこ進んでいるのだから、もうひと踏ん張りだ。 (山)</div>
-
text/html
2019-02-01T00:00:00+09:00
1月17日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1157
1
<div> ▼ある経営者と話をしていて『段ボールは数社で7割を占めるんでしょう。儲かりますね』と言われた。自分の経験(他業界)から、『大手がしっかりリードできている状態で価格も安定』と見ていたのだ。しかし現状はどうだろうか。宅配便の成功事例を目の当たりにし、原材料の高騰を受けながら、今一歩、踏み込めないのが実態だ。中小の経営者に取材してもほとんどの人が『何故できないのか』と呆れている。しかも中小の一部の動きが鈍い。自分の財布から毎月大きなお金が出て行くのに、周りは『理解できない』でいる。<br />
▼12月、関東での出来事だが一貫の子会社が大きな得意先に『今回は前回値上げできていない会社に対する値上げであって、御社は値上げ交渉の対象外』と言ったニュアンスの説明をしたそうだ。その後、入れ合う中小がその納入先に値上げのお願いをしたところ『価格を上げずに量を維持するか、価格を上げて量を失うか」になった。しかも前回の価格だってまともじゃなく、資材担当者の上から目線での言い方に我慢も限界、一貫からの紙の買い方を変えるか思案中。上層部はより現場に目を向けなければ、前に進むものも進まない。<br />
▼この状況を『どう見ますか』と聞かれる事が増えた。多少遅くても近く挽回できるものと信じている。やらなければ中小は大手と違い会社が無くなってしまうのだから。(山)</div>
-
text/html
2019-01-23T00:00:00+09:00
1月7日付
http://itadan.com/publics/index/70/detail=1/c_id=80/p_id=70/r_id=1154
1
<div> 人手不足が深刻化する中、多くの外国人労働者が段ボール工場で働き、貴重な戦力として活躍している。ただ、急激な外国人材拡大等が生産設備の自動化など技術向上に影響を及ぼすという意見もある。段ボール産業ではどうなのか。<br />
昨年10月の段ボールセミナー18では、関連産業の発表でコルゲータやFFGの自動運転等がテーマとなっていた。東日本段ボール技術委員会は「IoT化で将来的に業務全体の74%が削減可能」との試算を発表。大きな数字だと感じた。<br />
専門家の中には「外国人労働者や経験の浅いオペレータに配慮した使い易さや操作性、いわゆる〝ユーザーフレンドリー〟は良い方向性だろう。ただ、オートメーション技術は人間の手や眼に替わる物。IoTやロボット等の最新技術は、現在も日本が強みを持っている分野であり、単に安い労働力で賄おうとするのであれば時代に逆行し、国際競争力低下にもつながりかねない」と懸念する声もある。<br />
ボックスメーカーに訊いてみたところ、「人の手で行うからこそ利益が取れる細かい仕事もある」、「自動化できてもコストメリットがあるのか」。さらに「どちらもコストがかかる。まずは、しっかり製品値上げを進めなければ」、「いくら外国人材が増えても魅力ある産業にならなければ、どっちにしても入って来ない」とも。…確かにその通りだ。 (菅)</div>