2021年 段談
2022-01-14T14:08:09+09:00
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2022-01-14T00:00:00+09:00
12月27日号
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1411
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<div> ▼レンゴーがセッツを吸収した頃、中堅段メーカーの社長がこんな話をしてくれた。『製紙から段ボールまで一気通貫でやる会社が力を付ける。対抗するには専業(製紙)は専業(段ボール)同士で手を結ばねばならない』、『例えば中小の〇製紙、うちはそこから多く買う事を決めている』。段原紙は段ボールにしか使えないのだから一蓮托生、紙が儲かった、段ボールが儲かったでは無く、『ともに組まないと生き残って行けない』との考えからだ。<br />
▼それから20年余り製紙、段ボールともに中小専業の会社数こそ減ったが、原紙と段ボールの構図はたいして変わっていない。特に値上げスタート時、専業製紙には『専業段メーカーの事など頭に無くなる』(中小社長)、『上げる事だけ』のように感じる。しかし値上げが浸透して、そろそろ量確保の動きになると『専業の味方的な言い方』が出始める。見え透いていれば段メーカーだって、仕入を揺すりたい気持ちになる。自分だけ良くなる事は無い。〝同じ産業〟もう少しどうにかならないか、と思う。<br />
▼ここ数年の段ボール生産量は、誰が見ても一貫系のシェアアップが目立つ。ただし一貫2社のシェアには変化がある。王子が森紙業を買収した時点(05年)でほんの少し上回っていたが、この15、6年でレンゴーが圧倒し、その差は8ポイント以上まで広がっている。 (山)</div>
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2021-12-22T00:00:00+09:00
12月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1409
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<div> ▼コロナ2年目が終わる。昨年とは異なり年末の慌ただしさを感じる。感染者が減り、ワクチン普及や治療薬開発などから落ち着きを取り戻しつつある。段ボール業界はどうか、中小段メーカーやボックスは『販売数量を落としているものの販売価格は維持、何とか乗り切っている』大まかに見ればこんな感じだろう。ただしこれが『自助努力しての結果』と言えば、半分そうで半分は違う。コロナの影響で『営業活動が制限された事が一番の要因』、こう見る経営者が何人もいる。今後、営業活動が活発になると価格は下降傾向に入る懸念がある。価格だけで勝負する大手の営業マン、動かない方が利益を高めるなんて…、あり得ない。<br />
▼キナ臭さが増している段原紙値上げ。『あるか無いか』はともかく、その理由として・石炭やガスなど燃料費高騰、・環境含めた設備投資、・古紙価格などがあげられる。聞いた中で最もまともな意見は中小社長が言った『従業員確保のために、給与を上げるために値上げする』ではないか。『上げるならば、正々堂々とやってもらいたい』と言う訳だ。大手数社は別にして紙パ、加工産業の賃金水準が高いとは言い難い。板紙・段ボールの必要性、価値を考えて値上げを宣言すれば、『業界の地位向上として前向きな活動になる』。<br />
▼このコラムを書いた後に親しい社長から『レンゴーが2月1日から原紙で動く。明日にでも出るようだ』と知らされた。その通り11月30日、10円以上の値上げが発表された。少し早い感があるが、『どこが先陣か時間の問題』と見ていた人も多いだけに段ボール側の受け止めは冷静。やるならば先の洋紙のようにばらけ無いで、製品まで一気に推し進めたいところ。原紙トップ王子については『気配を感じない』『乗る気あり』など色々聞えて来るが、さてどう出るか。原紙が上がれば、紙代プラス上がった副資材分の転嫁が始まるが、大事な時期に安値で競り込む事だけは避けなければ。 (山)</div>
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2021-12-14T00:00:00+09:00
12月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1407
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<div> ▼ある大手段メーカー営業が『中小に比べ、これだけ投資し機械化しているのだから生産性、ひと箱当たりのコストも違って当然』と話していた。昔、シート販売でキャンペーンを張ったM紙業がよく言った『安く売っているのでは無く、これがうちの適正価格』と同じ理屈なのであろう。<br />
▼大手と中小・ボックスのテリトリーには大手しか手が出せない市場と、中小と競合する分野がある。大手の一部の市場は極限まで加工賃を無視した結果、大手でもより強い数社にしか手が出せなくなっている。やっている本人が『紙代が出るか出ないか』と言うほど怖い市場であるが、大手間だけの競争であれば周りは何の問題も無い。<br />
▼『海外は段原紙が上がれば、段ボール製品も連動して上がる』と聞く。その海外で製品の拡販が問題になった事があるそうだ。段原紙が年に何回も上昇し『さぁ製品も』とローカル企業、日系含めて動き出そうとした時に、日系一貫系が量確保に走り、取引きが無かったユーザーに競り混んで来たそうだ。結果は誰もが分かる通り。ローカルの経営者には驚きしか無かったらしいが、幸い日系にも同調者はいなかったと言う。<br />
▼中小段メーカーと競合する市場では、紙を武器にした戦略で長年築き上げた加工賃を壊す事が問題であり、よその国の話も事実だとしたら…、日本人の商売の〝品格〟まで疑われてしまう。 (山)</div>
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2021-12-06T00:00:00+09:00
11月27日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1405
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<div> ▼日本製紙が11月4日『1月1日より印刷用紙15%以上、情報用紙15%以上、産業用紙15%以上の値上げ』とHPで発表した。産業用紙の中に段ボール原紙は含まない、と言うが、段原紙は産業用紙に含まれると思う人も何人かいた。この書き方には『直ぐに追加する?』など憶測も呼んだ。ある段メーカーは日本の印刷用紙を使う印刷会社から『次は段ボール、と聞いている』と耳打ちされたそうだ。一貫系段メーカーも『春には上がるから』と複数の客先に話しており、きな臭い言動が増えている。<br />
▼少し前に書いた段ボール原紙値上げ。古紙や燃料代高騰を考慮しあるか無いかと言われれば、個人的な感覚では秋口までは2:8ぐらいだったが、来春、となると6:4まで迫った感がある。もし段原紙が15%なら、段ボールは原紙以外の副資材もほとんど値上がりしているだけに、同率という訳にはいかないだろう。と、こんな話を段メーカーとしていたら『コロナでダメージの残る得意先がある中で、最高益の製紙会社』、しかも『今でも一貫系は安値で拡販している。これで原紙値上げされたら、お客さんにどう説明すればいい』、こう言われた。<br />
▼我が国のコロナは落ち着いてきたが、主要貿易国で拡大している地域も多くその余波を感じる。まず需要は工業系が半導体の影響でブレーキがかかる。段ボール機械メーカーにしても部品手当が大変、しかも機械を使う側は修理が滞りロスが増えたり、残業でカバー。多少増えても利益が飛ぶ…。 (山)</div>
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2021-11-26T00:00:00+09:00
11月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1403
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<div> ▼紙を作るのに燃料問題が重くのし掛かっている。最近、製紙の主力燃料である石炭、天然ガス価格が高騰、環境面から他の燃料に転換するにも莫大な費用が掛かる。この状況の中、原紙側に実施するかどうかは別にして『本体価格とは別に燃料代をサーチャージ化したらどうか』、こんな考えがある。サーチャージと言えば航空運賃が頭に浮かぶ。仕組みは同じで、基本的にサーチャージの値段は燃料の価格によって変動する。一定の金額まで下がれば負担は無いが、『価格が高騰すればその分は段メーカーに』と言う訳だ。<br />
▼いちいちユーザーに説明する段ボール側は大変になるが、こんな考えも〝あり〟だろう。この話を聞いた時、思い出したのは一部で持ち上がった原紙から連動しての価格修正だ。海外では原紙が上がれば段ボールシート、ケースまで次々にエスカレーター式に上がっていく。物を作る原燃料や材料が上がれば、転嫁せざるを得ないし、同じ理由で自社製品を上げている大きなユーザーが段ボールを拒むのもどうかと思う。まぁ気運が上がらなかったのは段ボール業界にその気が無いのが1番かもしれないが。<br />
▼一貫2社のシェアは段ボールでは5割を超える。一貫内部でも一連した値上げは、『海外では当たり前な話』と出るが日本でこうならないのは、最終製品を取るために敢えてそうしたくないのだろうか。改革、変化はこの2社が本気でやる気になれば。ただし今までの政策、戦略にしても、双方に大きな違いがあるし、特に1社は紙産業の盟主でありながら、段ボール業界全体の安定・成長に〝我関せず〟に見えるのだから、困ったものではないか。 (山)</div>
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2021-11-16T00:00:00+09:00
11月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1401
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<div> ▼一貫や系列が拡販に走り始めた時、専業段メーカーは『量を増やしてからの値上げ、相変わらずこの戦略』と、勘ぐるだろう。『年がら年中の事だけど』と続くように、同じような事は多々あったが、最近ちょっと目立つのかも。段ボールの値上げ、上げなければならない時があるとすれば、段原紙がそれなりに上がった時だ。<br />
▼段原紙値上げの可能性はどうか。年始め、夏前、幾度か製紙側からアドバルーンが上げられた気がするが、ここに来てさすがに年内は。燃料、古紙価格の上昇、副資材や環境対策費などコストアップ要因はあげればきりが無いのだから、製紙側から見れば『いつ動いても』だし、内心は『増え過ぎた〇〇金をどうにかしたい』。<br />
▼10月初め、ある中小段メーカーが、一貫系と入れ合うエンドユーザーから『製紙一貫系が来春には原紙価格が上がるから、と話していった』、そう言われたそうだ。ユーザー担当者、予防線を張った積りなのか『1年間ケース価格を変えないと約束してくれるか』と中小の営業に持ち掛けた(即座に断った)。この他にも一貫系列の段メーカー幹部から、同様の話を直接聞いた人も。<br />
▼〝たられば〟の話になって恐縮だけど、原紙値上げに動くならば製品との同時値上げはもちろん、製品も先頭に立って邁進してもらいたいものだ。日経に『段ボール代が上がり産業界の輸送コストが増えれば経済活動の足かせになる恐れがある』(10月14日付)とあったが、ずいぶん舐められたように感じるのは記者だけか。(山)</div>
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2021-11-08T00:00:00+09:00
10月27日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1399
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<div> ▼老舗ボックスがあった。過去形で書くのはだいぶ前に破綻したからだ。この会社はA式以外のケース、特にC式を主力にして作り方から保管まで工夫、段メーカーの請負仕事が多いもののそれなりに利益も出していた。家族的な経営で現場含め、雰囲気の良い会社だった。破綻の切っ掛けとなったのは、シート値上げ。段メーカーから請け負うため、使うシートはそこから買わねばならない。シートを上げられたら箱の加工賃も値上げすればいいと思うが、上げ幅が違った。社長はその狡さを嫌い『利益が目減りするなら引き受けない』と大きな仕事を断った。近隣にそのケースを作れる同業がなかった事も強気の一因に。収入は大きく減った。設備投資もしただけに機械を動かし償却も必要だ。悪循環が続いた。古くから付き合いのある〇さんは『バランスなんだ。切るだけじゃ』。これが難しい。まぁ最近増え始めた某筋からの大量受注にしても、似たようなものか。<br />
▼さて、9月の大手段メーカー生産量。一貫子会社1社のみ前年比110%と頭ひとつ抜けた。他社は100前後を確保。中小やボックスも同様のよう。ここ最近コロナが落ち着いている。経済も動きだし段ボール関係でも期待が高まっているが、実際、10月に入っての荷動きはどこも良い。しかし『疑心暗鬼と仕事量確保でスポット価格が軟化』、『特値シートが、安値更新』こんな声もある。ちょっと良くなれば量に走る、ある社長が言った『コロナで営業が動けない方が安定とは皮肉』は〝言い得て妙〟だ。なお各地の親しいボックスに、売り込みに熱心な段メーカーを聞いたところ、予想通り一貫系□社の名前をあげた。 (山)</div>
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2021-10-29T00:00:00+09:00
10月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1397
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<div> ▼昨年度(20年4月から21年3月)の通信販売市場の売上高は前年度比20・1%増の10・6兆円。無論、長年右肩上がりで推移しているとはいえ、大幅に増加した。コロナ禍の後押しは言うに及ばないものの、一過性の勢いというよりは、『通販で購入可能ならば通販』との動きは今後も変わらないだろう。<br />
一方で昨年(20年1~12月)の段ボール部門別消費量で、「通販・宅配・引越し」は前年比横ばい。状況を考慮すれば、引越し用途はかなりの減少と推測されるが、通販市場の伸びと比べても明らかに見落とりする。<br />
要因には、通販でも飲料や電化製品などはメーカー箱のままが多く、それが反映されない点、通販メーカーのケースがより内容物に合わせたサイズとなり、平米数と箱数にギャップが生じている点などは挙がるが、どうなのか?<br />
ただ、巨大通販メーカーBのケース使用量は、既に国内需要家の最高峰という。その過半の商権を商社と大手段メーカーAが分け合うようだが、Aはもちろん、商社経由で製造を受注する、やはり大手段メーカーの量的な堅調さをみれば頷ける。<br />
▼需要期および指定・支給の来年交渉を考慮すれば、9月頭までに発表、10月半ば以降の実施とのスケジュールかと、勝手に想像していた原紙の価格改定の行方。結果論だが、年内は…。『大手一貫の拡販ぶりを見ると、先に量を確保し、値上げで引き締める戦略かと』とは、段メーカー幹部だが、続けて『そもそも年がら年中か』と苦笑い。 (浮)</div>
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2021-10-18T00:00:00+09:00
10月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1394
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<div> ▼地方のボックスに大手段メーカーが、シート値上げについて曖昧な話をしたそうだ。この時期に、まして周りの動きを見ても値上げの気配はサラサラ無いだけに、『相手にするもしないも…』でその場は終わったよう。『大手段メーカーは製紙部門から原紙の動向(圧力)を聞いて、それに連動した動きなのだろうか』としながらも、『それ以降何も無いのだから余計どうかと思う』と言う。古紙から原紙を含めた先行きは分かりづらいにしても、探りを入れたのか、ただの雑談だったのか。なお関東でも、社名を聞けば〝ええっ〟と思う段メーカーが値上げに近い話をしているとか。<br />
▼地域は違うボックス、『今年前半は昨年同期を超えたが、一昨年にはまだ届かない。しかも8月後半から失速した』とする。シートについて話を向けると、『この地区には段メーカーが〇社しかない狭い商圏ですが、売り込みは入れ替り立ち替りあります』、『どちらか言えば凪だったのが、今は弱含みかも』と言う。一方の段メーカー、原紙は相変わらずガチガチで、原紙側から見れば原紙市況は強含み。シートをこれ以上安くは出来ないだろうし、かと言って、上からは『量は落とすな増やして来い』なのだから、現場の営業マンはやりにくいだろうと同情する。<br />
▼最後は情け無い出来事。『A社から買っているのですか、値段は?うちはそれ以下でやりますよ』、もっと酷いのは『いくらならば良いのですか、値段を書いて下さい』。こう言われたのはあるボックス。耳を疑ったが『こんな営業では、長続きするはずがない』、『相手にしなかった』と、取り引きする段メーカーに伝えてきた。どこですかと聞いてみれば、2社の名前を挙げた。よく出る一貫系と中小だった。シート価格が強含みか、弱含みなのか、肌感覚で分かる。 (山)</div>
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2021-10-08T00:00:00+09:00
9月27日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1392
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<div> ▼巷で噂になるC5の最安値、〇円ぐらいかと思っていたら、昨日聞いた価格はそれを大きく下回っていた。中小段メーカーに競り込んできた包装資材会社(ブローカー)が出したケース価格は〇円、C5に換算すると〇円以下でないと出来ない驚きの値段だ。もちろんバックにいるのは一貫直系段メーカーC社。『紙代以外に何も残らない、段ボール業界をバカにした価格』だが、『このグループの悪いところはそれを全く気にしていない点』と言う。『コストアップ要因が山積、この先協力金に期待してもらっては困る』こんな意見があったにしても、肝心要のケースを蔑ろにされては、誰だって製紙側の話を聞く気になれないのは当たり前。<br />
▼『関東は需要があったにしても大変ですね』とは地方の中堅ボックス。関東でのシートやケース価格を聞く度に『たとえ量が少なくても、大きくぶれず安定が一番』と話す。月に数千万平米需要が伸びたにしても、貼合機の高速・幅広化に、工場リニューアル、大型の新工場が2つも出来た(出来る)状態が数年続けば、供給過多に陥るのは間違いない。『中小は仕事しにくい時代になっている』とし、小さな会社にも見合った仕事があるはずなのに…。ボックスの淘汰、廃業が一段と増えてきた。『長い間、読ませて(新聞)頂きましたが段ボールを止めるので』とは40年来の読者である。 (山)</div>
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2021-09-29T00:00:00+09:00
9月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1389
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<div> ▼『前月まで良かったと思ったら、今月はまるでダメ』、『昨年悪かった分、7月までは昨対比で伸びたが、後半の見通しが立たない』、『他の産業と比べればましだけど、客先も業種によって予測さえつかないでいる』など、期待と不安がごちゃ混ぜの中小段メーカー。それでも『出来る事を地道にやるしかない』と日々、業務改善に取り組んでいる。<br />
▼さて最近、耳にする事が増えたのは、『製品市況の維持からか数量を減らした一貫本体、特にシート販売でその傾向が顕著だ』。周辺でも『いくらなんでも落とし過ぎ。この先回復に動く時が怖ろしい』と言われる事も。もっとも『日本一安い〇〇社の段ボールシート』、こんな陰口があるぐらい伸ばす複数の子会社群。聞けばボックス巻き込み色々な動きが出始めている。今や子会社グループの方が販売量も親会社より多いし、たとえ本体が大きく減らしても均せばトントン以上なのだから、中小段メーカーの比では無い。<br />
▼ちなみに7月(稼働日マイナス1日)の大手段メーカー8社の生産量を見ると一貫本体は約96%、子会社2社は107、102だ。別の一貫系も102、104と良い数字であるが、専業大手は3社ともに100以下と伸ばせず。この月は中小もまあまあだった。ただ8月もこの傾向が続くかと思っていたらとんでもなかった。中小はお盆明け以降伸びず、中には『最悪に近い』との声があり、『大手の生産量を聞くのも嫌になるほど』と言う。その大手、最高が一貫系の113%で、8社中4社が110以上。他の4社も100を超えた。『2年続けて悪かったから』もあるが、それにしても中小との差は開くばかり。 (山)</div>
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2021-09-16T00:00:00+09:00
9月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1387
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<div> 段ボール原紙価格の日経市況は現在、中しん(特しん)ならば㌔71~73円だが、普段気にしている、もしくは取材で追っているのはこの価格ではなく、より実勢に近い価格およびその変動動向である。<br />
今であれば、関係者の話を総合すると、これから△円程度かい離した〇円あまりのようだ。そしてより言及すれば、そこから概ね半年の間隔で、需要動向等を見ながら見直される、いわゆる協力金◎円の動きがどうなっているのかも気になるところだ。<br />
のっけから○◎△と何とも読みづらい文章で恐縮ではあるが、分かりにくいという点では、日経市況と、実勢の関係性も相当なものだ。<br />
もちろんエンドユーザーの指定・支給、一貫メーカーのグループ企業向け、そして専業段メーカー向けと、多種多様な販売ルートがある中、『一概に実勢価格がこれとは言いきれないし、日経市況が完全に違うわけではない』との指摘もある。さらにいうなら、日経市況が実勢により近づくことは、製紙メーカー、段メーカーにとって〝一長一短〟であることも重々理解できる。価格の安定化や長年の商習慣などなど、様々なファクターが複雑に絡み合っている。<br />
ただ、その影響力を鑑みても、もう少し本来の市況を反映した状況への移行が、将来的に、業界にとっても良い方向性に寄与するのではないか。 (浮)</div>
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2021-09-08T00:00:00+09:00
8月27日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1385
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<div> ▼7月日付けコラム【ケース価格の修正、段原紙やシートが上がった時だけで良いのだろうか】。インキやコーンスターチを始めとする副資材、また燃料が次から次に値上がりし、まとまれば月に数10万円ものコストアップになっている状況から、この分を製品に反映する事はどうなのだろうか、と書いてみた。読者の皆さんから『段原紙以外に変動費なんてあります?』を始め『気づかされる点もあった』など色々とご意見を頂いた。ありがとうございます。<br />
▼何を書きたかったか、ひと言で言えば段ボール業界にどっぷり浸かった人達はみんな平米で、ものを見る事にある。例えばコンスが㌔10円アップすれば、200万生産する平均的な工場で月に16万円のコスト上昇だ。しかし平米で見ると、5~8㌘使うとして0・08円ぐらい、シート価格が60円とするならば、コンスの占めるコスト割合も極々僅かだ。平米に置き換えると『微々たるもの』となる。他の資材や燃料費も同様で、一つひとつでは価格への転嫁など思いもしない。<br />
▼しかし、ただでさえ低い利益率、給与面での待遇が他産業より良いはずも無い。そんな中で月に数10万ものコストアップ、この分をカバーするにはどれだけの段ボールケースを売ればいいのか、また切り詰めなければならないか。絞り切った中での努力は並大抵では無い。業界の目指すところはワンステージ上のはずである。『この程度ならば吸収する』と考えずに、一方では長年染みついた『平米に置き換えての考え方』を少し変えてみるのも必要で、安く売ることへの抑止につながって行けば、と思う。勿論、皆がそうならなければ何の意味もない。 (山)</div>
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2021-09-07T00:00:00+09:00
8月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1381
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<div> ▼ある一貫系の段メーカーグループ、事あるごとに、リモートでも対面でも、相手は変わっても、色々と言われるようだ。『なんでうちだけ』そんな思いもあるらしいが、やっている営業マンを見れば、多少文句を言われても仕方がない。<br />
▼『以前からそうだったが、最近は特に目に余る』とは中小段メーカー。首都圏で新設した大型工場が近く2直体制に入る事から、シート販売でもケースでも影響を受ける会社が増えている。『1割、いや2割安の見積もりだって出される』とはある経営者で、グループの原紙メーカー含めて申し入れもしたが『改善しなかった』。勢いある中小でさえ攻め込まれているようだ。これは全国的に起こっている案件ではあるが、関東では来年秋にそのグループのより大きな工場が動き出す予定。『ただでさえ量を減らした我々からまだ持って行こうとする』、周辺では危機感を募らせる。<br />
▼『段原紙の価格修正が現実味をおびている』、古紙動向や環境対策等々を背景に製紙・流通側ではこんな見方も出て来ている。製品価格の堅持がもっとも大切なのは誰にでも分かるし、死守するのが一貫の使命だ。〝紙だけ上げて、製品は…〟幾度となく繰り返されるようでは、何を言われても。『極々簡単な話で、理解していた時期だってあったのに今はできていない』(中小経営者)、全く不思議である。<br />
▼なお仮に今後、段原紙が動く事があるとすれば、専業段メーカーは『製紙、段ボール業界が良くなるのであれば、原紙の修正があっても構わない』。また、下手に協力金をいじられるよりも『正攻法で紙、製品ともに上げる事がベター』である。 (山)</div>
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2021-08-16T00:00:00+09:00
8月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1380
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<div> ▼コロナ禍になって1年半以上、まだまだ終息は見えていない。もろに影響を受けた飲食や観光産業に比べ、段ボールは落ち込みも少ない。巣篭り等から好調な業種さえある。それでも中小やボックスから『好調』と言った話はあまり聞く事が無い。『戻ってきた』とは言うものの、今年1月からの半年均せば『104、5あれば御の字』(段メーカー社長)。前年が良かった大手と違い、大きく落ち込んだ中での数字だから〝良くなった感〟が無くて当然か。しかもボックスにおいては企業規模によって仕入(シート購入)に大きな差が出ている。<br />
▼シート販売の価格も色々、中小は高め、大手は低めと決まっている訳では無いが、会社によって価格帯に違いはある。『どの段メーカーでも、売り先で10円の格差はありますね』、と話したA社長、横で聞いていたB社長『そんなもんでは無いよ』とした。いくら箱の売価を高く設定しても『あの値段でシートを買っていれば儲けなんて…』と付け加えた。しかも『工賃の高い仕事ほど狙われる』、こんな困ったオマケ付き。<br />
▼年々シート販売を減らす中小段メーカー、数年前と比較すればいかに生産平米を落としたかがよく分かる。以前コラムで『シート売りは、極一部の中小を除けば手が出せなくなる』と書いた事があったが、一貫系からギリギリ紙代しか出ない価格を出されれば…。こんな話も聞いた。ある地域の大手ボックスが材質、ロット、配送条件など様々な要求を出したが、一貫系や製紙系は『素直に従う』と言う。『それは…』こう返事をした途端、減らされた中小C社。『この量ではもうやる意味も無い』、と断るつもりらしい。 (山)</div>
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2021-08-06T00:00:00+09:00
7月27日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1377
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<div> 6月の段原紙出荷は前年比、前々年比でみても10万㌧以上多い。前年比で7割近く増加した輸出を差し引いても、国内出荷はほぼコロナ以前の水準。ワクチン接種の進捗などにもよるが、年末に近づくほど、状況は上向くとの期待は高まる。<br />
段ボールも大手をみると、グループ内企業を子会社化した一貫系が10%以上増加と突出しているが、5%増以上が大半、どこも100は超えている。大手と中小では差があるものの、数量面では、それほど悪くない。<br />
一方で、原紙市況は強含み気配が濃くなっている。表面上、市況は堅持されているし、国内古紙価格も変化はないが、内実をみれば、18年の値上げ以降、徐々にではあるが調整はみられるし、輸出が上昇基調にある古紙の動向も気になるところだ。環境投資の面では、政府の30年CO2排出量削減目標がこれまでの13年度比26%減から、同46%減へと変更された。これが喫緊のコストアップ要因として影響してくるのか。黒液利用や森林資源の価値化といった相殺要因の有無は各社異なるが、製造面でバイオマスボイラー化などを急ぐ必要が出てくるとしたら、数百億円規模の投資が今後年に一気に前倒しになる可能性も。これらを踏まえても原紙価格が現状以下にはならないことを前提とした舵取りが求められる。少なくとも少し前に聞いた『原紙が安くなるから製品も…』なんて提案はなくなるはず。(浮)</div>
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2021-07-27T00:00:00+09:00
7月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1375
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<div> ▼〝ケース価格の修正〟、段ボール原紙、シートが大幅に上がった時だけで良いのだろうか。段ボールの経営者ならば大小問わず、常に感じているだろうが、最近の副資材や燃料、配送関係のコスト高を目の当たりにして、〝適正な価格〟とは、また上昇したコスト分を製品へ転嫁(スライド)する事について考えてしまう。<br />
▼200万平米生産する平均的な工場でインキがキロ30円アップすれば、月に約5万円、コーンスターチにしてもキロ10円上昇すれば16万円程のコスト増になる。酢ビ系接着剤、ベーラー番線からPPバンド、ストレッチフィルムなど等、工場で使うあらゆる資材が上がっている。『積み重なればボディーブロー以上に効いてくる』(中小段メーカー)のは間違いない。燃料に配送コストも上昇。加工賃よりも高い運賃を聞いた事もあるが、100%料金に反映できなかったそうだ。<br />
▼世間には二桁の利益率が多々ある中で、段ボール産業の利益率は製造業の中でも下位レベルだ。記者が業界に入った昭和50年代前半、『3%あれば立派』こんな話を聞き、実際に業界大手企業もこの程度だった。今もって数字が改善した、とは思えないし、逆に加工賃の目減りさえ耳にする。業界を想うHさんが言った『各業界の適正取引の自主行動計画が進み、働き方改革や資材等のコストアップを反映できる場が自然と持てる環境になれば』この言葉が頭にこびり付いてしまった。<br />
▼一方、こんな見方もあった。『段原紙とシートは時期から上げ幅まで一律だが、資材や運賃はバラバラで足並みが揃いにくい』『ユーザーサイドが理解を示しても、段メーカー側がひるんでしまう』、更に『価格(安値)でシェア拡大を狙う大手がいる限り、〝絵に描いた餅〟で終わる可能性も』『営業に〝取って来い〟、この感覚を捨てない限りダメだ』など、一部段メーカーの行動を問う声も多かった。何をするにも、まずは業界を良くしたい気持ち、姿勢が大事なのだ。(山)</div>
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2021-07-19T00:00:00+09:00
7月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1373
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<div> ▼ある社長からのメールに、『営業はいかに高く売るかを、必死になって考えなければ』と書かれていた。・提案、・サービス、・情報、等などライバルよりも一歩先に、濃い内容で提供し満足してもらわなければ、とても作り手側の値段で箱を売る事は出来ない。『そうすれば考える力も自然と鍛えられる』。反面、安く売り始めると一切考えなくなり(考えなくても、安くするだけで相手は満足する)、営業マンとして成長しない、と言う訳だ。大手段メーカーは資金力にものを言わせ生産性を高められる。それが出来ない中小は営業マンの〝力〟を鍛えなければ、「どこで作っても同じ段ボール箱」では勝負にならない。前にも書いたが、『あの営業マンなら』『あの会社なら』と認めてもらえば、こっちのものだ。<br />
▼少し前に話題になった王子グループの日光・宇都宮における段原紙・段ボール一体型工場。一貫メーカーの王道を行くスタイルであり生産・コスト面ばかりか環境性にも優れている。今、ちょっと噂になっているのが、同グループの苫小牧工場。抄いていた新聞・印刷用紙から段原紙に転抄する計画で進んでいるが、『釧路工場内の段ボール工場をここに持ってくる』、いや可能性ならば『岩見沢にある札幌工場は老朽化も進み、マシンも1800』と言う人も。しかし北海道に新工場に見合う程の段ボール需要があるとは思えないのだから、噂で終わるのかも。一方、関東では最新のデジタル機を2台設置するようで、今後の使い方に注目。 (山)</div>
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2021-07-07T00:00:00+09:00
6月27日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1371
1
<div> ▼『原紙価格の引き締め』とも取れる発言が春先から聞かれるようになった。『海外は原紙高』『古紙動向』『輸出の活況』など等、『いやいや国内価格は調整・協力の増やし過ぎ』『環境関係での投資増』こんな声もある。実際はどうなのだろうか。1つの状況と言うよりも複合的に要素が絡み合って、原紙側の思惑は動く。2度の値上げで18円上昇、その後もかつて無いほど足並みが揃いガチガチだった価格だが、『引き締め』なんて言葉が出て来るようでは、『安くなっている?値上げのアドバルーン?』、段ボール側の疑心暗鬼は強くなる。<br />
▼『原紙価格は乱高下せず、盤石な方が良い』、ある中小段メーカー経営者は言う。原紙が崩れれば必ず製品も良からぬ影響を受けるからだ。『黙って儲けにすれば良いものを、毎回それが出来ない』、下降幅に対応して量狙いに走ってしまうのが情けない。今、製品価格がある程度保てているのは原紙がしっかりしているからで、段メーカー側もそこはよく分かっている。だからと言って『価格が再び上がることを素直に受け入れられるか、と言うとそんな事は無い』。原紙は通達1本、段ボールは18円アップを少しずつ数年掛けて転嫁した。この苦労とエネルギーは比較になるまい。まして、製品軟化があるとすれば、原因の発端は一貫段ボール部隊と上層部の管理にあるのだから。<br />
▼静岡県で『コルゲータが1台止まる』、と流れている。出ては消えていた話なのだが、どうも秋には現実に…。 (山)</div>
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2021-06-30T00:00:00+09:00
6月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1369
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<div> ▼コロナ禍で仕事の仕方が大きく変わった。小紙みたいな小さな会社でもそうなのだから大会社はどう変化したのだろう。会社の規模は関係ないのかもしれないが。人との接触が減り、得手不得手はあるにしても、パソコンで取材先を探しZOOMなどで行う方法が格段に増えた。『治まれば元に戻る』と言う人もいるが、今の働き方の方が、働く人にとっては快適なのだろうから、『そう簡単に戻りはしない』と思っている。個人的には面談の方が、雰囲気、相手の熱量から小さな発見まであるので、話は顔をあわせてしたい。<br />
▼飲食店でもデリバリ対応、ランチを強化、朝から営業など変化するお店があちこちに。『どれだけ売り上げるかは手探りだが、やらなければ潰れる』、と居酒屋店長がテレビに映っていた。店は生き残る事に必死だ。『今日もお客が一人も来ない』、また紙器関係ではインバウンド需要を見込み増産体制を敷いた直後に、『包む商品そのものが消えた』など、コロナ禍、社会の変化、はたまた自然災害…。何かが起こった時こそ、経営者の対応力がより問われるようだ。<br />
▼大手製紙メーカーの決算説明会、今年はオンラインで行われた。その場に直接参加はしていないが、資料や担当記者から話を聞くと、会社によって大きな違いがあった。A社はスマートな話題を並べ、足元を見詰めればその内容は絵空事とまでは言わないが、ちょっと現実離れしているように思った。一方、地道に今伸び盛りで収益を上げられる板紙・段ボールに力を注ぎ込む大王製紙。あらゆる手を使ってでも伸ばそうとする意欲が伝わって来る。さて結果は数字となって表れてくる。 (山)</div>
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2021-06-18T00:00:00+09:00
6月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1367
1
<div> ▼親しい段メーカーを訪問時、社長が『段ボール産業、そう悪くは無いよ』と言った。交通系・観光や飲食を始め激変する産業が多々ある中、『コロナ禍の1年、大きな儲けは無いが、大きく沈みもしていない』、常に『水面スレスレ、低空飛行だけど安定している』、と言う訳だ。ただし『コロナの影響も多少はあるのだろうか、仲間意識が希薄になってきた』点が気になると言う。大手に限らず中小同士でもそうだが、自分さえ、自分の周りさえ良ければ的な、微妙な空気を感じているのだろう。<br />
▼最近よく耳にするのが、一貫Aの『同じグループ会社の行動に無関心』、『紙と製品、動きがバラバラ』。これらはまだしも、枯れても日本を代表する製紙会社、なのに『リーダーたる姿勢、矜恃が全く感じられない』こんな声もある。新聞・印刷用紙主流の時代は〝段ボールはガミ〟と軽く見ていただろうが、板紙と段ボールはグループの稼ぎ頭、その傾向はより顕著だ。業界全体が良くなれば儲けは人一倍大きいはず、『もう少し』『邪魔だけは』と思う人は何人もいるし、渋沢栄一翁の経済思想『みんなが豊かに』が霞む。<br />
▼『段ボール原紙、段ボール需要が好調』こんな見出しが経済紙にも載るこの頃。確かに4月の大手段メーカー生産量を見ると、一貫子会社の108、107が並び、8社全て100を超えた。中小も似たような数字をあげているが、『昨年が悪かっただけ。一昨年と比べれば良くてトントンだ』。戻って来たのは喜ばしいものの〝量に頼り過ぎても〟と思うし、改善すべき事柄はまだまだある。インク等副資材がじわり上がってきた。気を引き締め地道に一歩ずつ前に。 (山)</div>
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2021-06-07T00:00:00+09:00
5月27日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1365
1
<div> 『まさか段ボールのテレビCMが流れる日が来るとは』。業界関係者が一様に驚いただろうネット販売専門会社のそれ。毎朝天気予報を汐留から伝えてくれる人気タレントを起用、頻繁に目にする。<br />
地方ボックスを最終的に買収し、ネット販売を急激に拡大。あえてテレビでPRする戦略からも窺えるが、個人や小規模事業者の需要が大半のようだが、販売量は優に月数百万平米には達する模様。自社製箱能力を大きく上回る量であり、他の段ボールメーカーに広く委託しているはずで、これをお読みのメーカーでも取引がある所はあるだろう。各地域のメーカーとの連携は、いわゆるシェアリングエコノミーとも通ずる動きで、歪な力関係などが生じないならば、有効な手段であるし、それに目を付けた点も流石だ。印刷で同様の展開を図る会社と資本提携を締結したことも、拡大路線を後押したはずで、CM放映開始も合点がいく。ましてネット広告では既に多大な投資を行っていると想像する。<br />
段ボールに限らず製造業の立ち位置、サービス産業との距離感は、急激に変化している。自社製造を大切にしながらネットでの有効な展開を同社よりもはるか前に始めているところはあるし、大胆な業態変革を目指し動き始めたところもある。サイトを覗いて『こんな値段!』と唸る気持ちもなくはないが、新風の刺激も必要かもしれない。 (浮)</div>
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2021-05-28T00:00:00+09:00
5月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1363
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<div> ▼加速するデジタル化と技術、通勤電車内では液晶画面に流れる広告、駅構内でもポスターはデジタル広告に変わっている。新聞に折り込まれた大売出しのチラシ、そのチラシに付いていたクーポン券は今やスマホに届く。印刷業界は段ボールに比べ、変化の度合いや進歩が一歩も二歩も先を行く感がある。『在宅、リモートでの仕事により、デジタルに馴染が薄かった人達も接触する機会が増えた』、段ボール業界でもこんな声を度々聞く。それでも記者にはほど遠く、スマートウオッチを買おうか迷った時期もあったが、時計でしか使わないのだから止めにした。<br />
▼段ボール工場でも徐々に使われ出したデジタル、面白そうなのがフレキソグルアの進化系とも捉えられるハイブリッドタイプ。完全なデジタル機では無く、一部ユニット置き換え、一部工程にデジタルユニット追加など等、進め方は色々あるようで、機械関係者から『やってみる価値はある』と聞いた。記者には想像もつかないけれど、現在のFFGの能力を損なわずデジタルの特徴を活かせるのであれば、案外使える機械になるのかも。<br />
▼さて、手元に1枚の資料がある。【内閣府と引越事業者の協定】で『官民の連携を強化し災害対応をより適切かつ迅速に』と書かれてあり、4月13日に内閣府と引越大手企業4社が協定を結んだ。災害時に被災者を第一に考え協力し合う体制はどんどん進めるべきだが、協定内容を見ると『避難所における段ボールベッド等の組立て業務』、『(充足できない事態が想定される場合)保有資材等を活用した緊急簡易ベッドの供給業務』とある。段ボールベッド?、引越に使う段ボールで作り強度は?など気になった。過去、地震・水害・台風、あらゆる災害時に真っ先に駆けつけ段ボールベッドを提供、その様子は度々テレビで映し出されている。ベッドにしても組み立てやすく改良を重ねる。全面的に応援してきた段ボール会社、供給に不安はない。 (山)</div>
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2021-05-21T00:00:00+09:00
5月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1360
1
<div> ▼ISOWAさんが出した100周年記念誌『世界の段ボールビトを幸せに』、4月27日号で(浮)が紹介したが、読めば読むほど〝ISOWAらしさ〟が息づいている。磯輪社長が20年かけて取り組んできた〝風土改革〟、企業文化の土台とも言うべき土壌作りから始め、精神的な支柱となる理念をトップ自ら、幹部、社員に根付かせてきた。鍛冶屋、機械屋体質だった会社をガラリと変えるのだから当初は反対、抵抗も多々あった。手探り状態からここまで成し遂げた苦労は遠目に見てきた記者でも想像がつく。しかも『根付き始めた風土、更に磨きをかけたい』とは次期経営者の光さん、理念までしっかり受け継がれている事が素晴らしい。<br />
▼同社を訪れ、社員の生き生き、楽しそうに働く姿に毎回、驚かされる。事務所内、工場内、どこでもそうなのだ。昔、ある大手段メーカー経営者から『会社は自己実現の舞台』『自分の志を仕事の中で実現しなさい』こう言われた事があるが、ISOWAさんの社内を見ていると、その言葉が頭に浮かぶ。一時、和気藹々とする様子を『仲良しクラブになっても』と思ったのも事実だが、今となっては大きな間違いだった。<br />
▼仕事、働く事で家族を幸せにし、本人も喜びを感じる。もちろん顧客や取引先全てに対して同様である。機械を使う側の声を丁寧に拾い上げ、小さな改良、サービスの差別化にまで拘っている。その積み重ねが「アイビス」を始めとする新鋭機械の開発に結び付く。トップ主導で〝やりなさい〟から物事を考えるのとは大きく異なりひとり一人が自ら考え行動する、そこがISOWAの強さであろう。 (山)</div>
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2021-05-10T00:00:00+09:00
4月27日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1358
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<div> ▼『ユーザーも狡い』とは食品会社と取り引きある段メーカー。年度替わりだからか再見積もりする事になった時、資材担当者が『□段ボールと△ダンはこの価格にしましたよ』と言ったらしい。念のため△に直接確かめたら、価格をのんだのは□だけで△は突っぱねていた。段メーカーは『揺さぶりにしても危なくてしょうがない』と笑っていた。はっきり社名を聞いた訳では無いがだいたい想像はつく。スーパーにも並ぶそのメーカーの商品、一度手に取って見たが、買わずに戻した。<br />
▼『あ~、あそこか』、これもその地域では想像がつく中堅ボックス。ずい分前に取引きが切れている段メーカーA社に電話を掛けてきた。『〇〇平米に増やすから、どう』『配送もこっちで』など色々と条件を出し再開して欲しさ見え見えだったよう。今は中小の段メーカーBからシートを購入しているものの、そこから買い出した経緯も曰く付きだけに、A社長はその場で断った。幾度となく同じ事が繰り返されるが、それでも最後はどこかからシートが入る。もっともこのボックスが『儲かっている』、との話は聞いた事が無い。安く仕入れられれば箱だって安く…。<br />
▼3月の大手段メーカー8社の生産量。前年比で2日稼働日が多いようだが総じて芳しくは無い。それでも一貫系□社113%、その長男格△社も111を稼いだ。ただ親会社は101ちょっとと抑え気味。専業3社も冴えない。周りで聞く中小段メーカーは持ち直してきた会社もあるが、105前後の会社が多いよう。 (山)</div>
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2021-04-26T00:00:00+09:00
4月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1355
1
<div> ▼ここ数年、注目集める古紙価格。経済紙にも大きく取り上げられる。これについて業界外の人から質問されて、キチンと返事を出来ずに困る事がある。例えば、輸出価格と国内価格の差だが、国内が高くて輸出の方が安い時、はたまた逆もある。更に輸出段原紙に使う古紙と国内向け段原紙の古紙価格の違い、古紙の品質に差が無いだけに説明は難しい。中国やその他諸々の状況など含め自分の頭では分かっていても、聞かれたユーザーに納得いく説明が出来るとなると自信が無い。最後は『今のリサイクル、古紙回収システムの維持には最低18円は必要なんです』で、誤魔化してしまう事もある。製紙側の理屈は身内には分かっても、ユーザー側にはちょっと伝わりにくいのかも?<br />
▼増え続ける段原紙の輸出、昨年は前年を大きく上回り過去最高を記録した。国内原紙価格維持のための調整弁にしてもその伸びに衰えは無い。一方で、中国企業が建設中の段ボール原紙工場は『生産能力が日本の一年間分に匹敵する』。2025年に稼働するようだが、想像もつかない超強大な能力には驚きがある。この他に中国・東南アジアを中心に段原紙マシンがいくつも立ち上がる。EC普及を背景に各国で伸びる段ボール需要向けなのだろうが、それにしても増える㌧数と増加平米が気になるところだ。バランスが崩れれば価格中心の勝負になる。外国勢の最新抄紙機に比べ、老朽化の進んだ日本のペーパーマシンは見劣りする。海外グループ企業には出せるにしても、どこまで競争力があるのだろうか。レンゴー始め大改造が進んでいるが、もう少し利益を出して設備投資に回し対抗しなければ。 (山)</div>
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2021-04-19T00:00:00+09:00
4月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1353
1
<div> ▼最初の緊急事態宣言から1年、首都圏の2度目の宣言も解除され、先行きが気になるが、ワクチン接種が進み、気の緩みではなく、気の休まりが得られる状況になれば、消費動向も変化するはず。ある社長は『状況が良化すれば、今期は経済の活性化が期待できる。急激な量産に向けて不備がないようにと備えている。設備メーカーの動きをみても、これは当社だけの考えではないようだ』という。分野による浮沈はあったが、全体量は最低限の落ち込みで済んだ昨年からの回復を期待したい。<br />
▼一方で廃業やグループ入りの話も多く聞こえてくる。業界再編の動きはコロナで一時停止していたに過ぎないと感じさせられる。そして『(大手一貫の)原紙2枚分相当のケース価格と勝負する世界』という状況は変わっていない。ある経営者は怒りを通り越して『新規で取るにも、もう少し利益を考慮した下げ方をすれば良いのに。あんなに一気に下げて大丈夫なのか。意思統一できているのか逆に心配になる」とも。まずはそんな価格を是正してほしいが、段メーカーと原紙メーカー、中小段メーカー同士、地域トップの段メーカーとボックスとの連携等、大手一貫とは異なる動きが顕在化することでの変化を見てみたい。<br />
▼輸出原紙の価格帯が一段上になってきた。元来、波が激しい国際市況、まして勝負するのは惜しげもなく巨大投資するプレーヤー。今後、より優劣が明確になる可能性は高い。輸出市場をけん引するAは、既に数千㌧規模の能力増を見据えているようだ。 (浮)</div>
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2021-04-08T00:00:00+09:00
3月27日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1350
1
<div> ▼『段ボール会社はダメになりませんね』、たまに電話があるケース購入関係者から聞かれた。この人にすれば原紙価格が上がったままで、しかも100%製品に転嫁できなかったのに、現在でも『余裕がありそう』に見えるからである。確かに、原紙は2度の値上げで円上がり、市況は高値で貼りついたまま。それも数年続いており、不思議に思うのも理解できるが…。<br />
▼こう書くと『調整はあるのか』『いくらなのか』『増えているのか』など等、突っ込まれそうだけど、〝個別交渉〟〝企業の実力〟〝今までの取引きと今後〟で、条件だって変わってくる。『昔みたいな〝戻し〟は絶対にありませんよ』と伝えたが、そんな事よりも『段メーカーがコストを下げるために、受注・生産から出荷まで絶えず地道な努力を続けてきた』、その成果である事を少しは頭に入れて欲しい。しかもユーザー業界の利益率とは違い、水面を少しばかり浮上した程度なのが、段ボールの現状だ。<br />
▼2月(稼働日は前年と同じ)の大手段メーカー8社の生産量を見ると、98が最低で前年割れは2社あった。最高は一貫△系の〇社で107、同じグループの□社も106を稼いだ。1月まで別の一貫系が伸ばしていたのと入れ替わる格好だ。中小段メーカーでもバラつきがあるが、総じて大手の数字よりは見劣りする。良い季節に入った、これからに期待したい。 (山)</div>
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2021-03-30T00:00:00+09:00
3月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1348
1
<div> ▼『〇〇紙器が廃業みたい』、『□□パッケージは買収された』年明け早々から週に何度も、こんなメールや電話が入る。2月時点で10件を超えているのだから昨年よりも確実に増え、『そのペースの速さには驚き』(中小段メーカー)だそう。ほとんどが小さな箱屋さんであるにしても、中には昔、購読料の集金で通い、当時の先輩記者から『ここは印刷機も全部現金で支払う』と羽振りの良さを聞いていた会社もあるのだから、時代の変化を感じる。<br />
▼数年前に破綻したあるボックス、先代社長の時代から親しくさせて頂いていた。いつだったか昼を食べながら『山さん、この印刷機が動かなくなったらどうしよう』『新台は買えないからな』と話していたのが頭にあるが、その数年後ダメになった。コロナの影響、『段ボールは他産業から比べれば少ない』とは言え、廃業や閉鎖の多さはかつて経験が無い。<br />
▼今年に入って業績が大幅に上がっている中小段メーカー『人、物、金、そして情報。戦略的に使う』とはそこの社長。持っている資産をフルに活用する会社は強い。今は規模の大小もあまり関係ない。自社の強みをどう活かし、特徴が薄いならばどう濃くするかではないだろうか。現状のままダラダラ続けていればジリ貧は目に見えている。最近『V字』ならぬ『K字』を目にするが、頭を使って生き残らねば。 (山)</div>
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2021-03-22T00:00:00+09:00
3月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1346
1
<div> ▼『デジタル関連事業を加速』(一貫A)、『千葉に続き関東に1000万平米級の大型工場』(一貫B)、『子会社も主力工場級に』(専業大手)。段ボールにおけるトップ3の動きだ。中堅はもちろん、他の大手も寄せ付けない勢いで差を広げる。『そのうち広域ユーザーはこの3社以外に手を出せなくなる』と言うのは、食品会社と取り引きある経営者。一貫は紙を含めて武器にする事も出来るし、専業大手は生産・製造技術が極めて高いからである。そうならば、仕入れの狭まるユーザーが1番困るはず。しかし誰も『ケース価格決定の主導権が段ボール側に移る』とは思っていない。<br />
▼ここが段ボール業界最大の問題なのだろう。もっと言えば、地道にコツコツ積み上げた加工賃を、1回の交渉でそれも1社が台無しにする事もあるのだから、何をか言わんやだ。『(段ボール会社は)社数が多いから価格も乱れる』との見方も一部にあるが、たとえ2、3社になったとしても、グループ間での取り合う姿など現状を見ていると、残った会社で不毛の競争をしているような気がする。中小の中にもほんの僅かだが『どうやったらあの値段に』など、未だに量に走る段メーカーがある。『安値拡販型、付加価値追求型、どちらが正しかったかこの1年を見ていれば分かります』、親しい社長から言われたが、早くそうなって欲しいものだ。 (山)</div>
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2021-03-12T00:00:00+09:00
2月27日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1343
1
<div> ▼『商売は価格設定が基本であり最重要課題だ』、こんな話をよく耳にする。段ボールも、と思えば『どこで作っても差が無いのが段ボールの悲しいところ』と言う人もいる。確かに同じA式を一貫で作るより、『ボックスで作った方が丁寧で質も良かった』こう聞くぐらい、差を付ける事はなかなか出来ないのかもしれない。では最新鋭のハイスペックマシンを使って生産すれば、それだけで受注につながるのだろうか。箱自体に大差なくても、最初の電話の対応から配送運転手まで、特に面談する機会の多い営業マンの質は、顧客獲得に大きく影響する。中小はここに力を入れないと。『A社はちょっと高いけど、いいね』こう言ってもらえる会社を目指さなくては。<br />
▼『資源の集団回収、中止の動き』『担い手不足、コロナが追い打ち』、一般紙にこんな見出しの記事があった。一番の理由は新型コロナによる対面接触の制限だそうだ。燃やされていたゴミが、環境への意識向上、分別の徹底などから現在は貴重な資源に、そしてリサイクルシステムの確立となった。これは段ボール産業を支える一つの循環型システムである。集めるのを止めれば焼却する事になるが、焼却費用は自治体から出る集団回収の助成金を大きく上回るそうだ。自粛生活が長引けばペットボトル、ECで利用した段ボールも家庭からより出される。『集団回収は一度止めると再開は難しい』こんな声もある。商売柄、中国事情ばかりに目を取られていたが、こちらにも少しは目を向けなければ。<br />
▼さて1月の段ボール生産量。昨年11、12月と中小もまぁまぁ良い数字を出し、このまま行けば、と思っていた矢先の緊急事態宣言発令。東京や大阪、愛知など大都市が大きく制限され『早くも影響が出た』とした段メーカーもいる。持つユーザー(業種)によってバラつきもある中、1月の大手段メーカー生産量は一貫系の一部が快調に飛ばし、他も稼働日を考慮すれば中小よりは全然マシ。(山)</div>
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2021-03-03T00:00:00+09:00
2月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1340
1
<div> 『2強体制にさらなる拍車がかかった。どのように生き残りを図っていくのか。今一度しっかりと考えなければならない』とは、王子コンテナー宇都宮工場新設発表を受けた直後のある大手段メーカー。<br />
広域展開する大手であっても方向性に違いが生じるのは当然であり、近年、それが先鋭化している。量があっても、否、通販や食品など成長分野の大ロットの仕事ほど、単価は非常にシビアだ。そんな仕事を受けられる所は限られる。一方で規模感があればあるほど、量から質への転換は難しさを伴う。ここ数年内に、複数の大手が転換を図ったことは、ある時期から急激に量を落としたことでも窺いしれる。決して勝負から逃げたわけではないのは、両者の収益が徐々にではあるが改善している点からも明白である。<br />
さりとも難しい立ち位置であることは変わらない。そもそも大手の定義も様々だが、2強以外の外装メーカーで3%以上のシェアを持つ各社を大手と定義した場合、現在、4グループ程度が該当するだろう。<br />
2強に追いつけで拡大路線を歩むのか。独自路線で他社との差別化をさらに推進するのか。製紙一貫の力を発揮するのか。はたまた否応無しに再編のキーマンとなるのか…。いずれにしても業界動向と言う意味では、これらグループが今後のキャスティングボードを握っている。 (浮)</div>
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2021-02-19T00:00:00+09:00
2月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1338
1
<div> ▼〝高付加価値化〟、段ボールに付加価値をどう付けるか、段ボール会社にとって最重要課題だ。特に大手とは一線を画す中小段メーカーやボックスにとっては、今後の成長を大きく左右する。デザイン、包装設計などそれぞれ得意な分野を取り入れ手探り状態から始め、大きく花を咲かせたメーカーも出ている。それに関連し、大手一貫からボックスまでデジタル印刷機の話をよく聞くようになった。美粧から汎用品まで需要を掘り起こしている。<br />
▼いくらきれいな印刷を一枚から刷れても、版が不要でも、価格設定は段ボール会社の従来からの営業が行う。『段ボールを売る感覚でやったら…』『脱段ボールを理解できるか、人が一番の問題』多くの経営者がこう話す。高付加価値を作り出したボックスでも『(他社と一緒の)段ボール箱の価格設定が嫌だから』、『自分でしか作れない物を自分で値決めしたい』と聞いた。ある一貫は段ボールの営業マンに『1人、ひとつデジタルの仕事を取って来い』、こう指示したようだ。高額な投資をしているのだから、ちゃんとした利益を稼がねば。<br />
▼それにしても昨年秋から『頼みもしないのに、シートの売込みが続く』(中堅ボックス)、量的に厳しさのある西日本の方が目立つ。原紙だって表向きは変化ないものの、『3大メーカーから新規参入まで、昨年までの一枚岩では無くなりつつある』と見る段メーカーは複数にのぼる。板紙・段ボールともに今一度、引き締めが必要だ。(山)</div>
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text/html
2021-02-10T00:00:00+09:00
1月27日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1334
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<div> ▼新年早々の大きなニュース。王子コンテナー宇都宮工場が王子マテリア日光工場敷地内に新工場を建て移転する。森紙業千葉事業所に次ぐ大規模工場で生産能力は1100万平米、現宇都宮が本紙推定で600強だから2倍近くの規模になる。投資額は百億円、土地代を含まないとするならば貼合機(噂では400㍍)や製箱機など新設備が気になるところだ。稼働は22年10月を予定する。<br />
▼王子の発表によれば、『段ボール需要は今後も増加が見込まれる』とある。先にあがった別の一貫(茨城)や専業大手(同)の新工場が延期等になっているが、隣県でダークホースのコンテナーが浮上した。同県にある関東パックもコンテナー現・宇都宮工場へ移るそうだから、グループの能力はより高まる訳だ。<br />
▼『S&Bならいいか位の感覚でしょう』とは中小段メーカーで、大手にも『この投資が業界全体の価値向上につながるのであれば』と冷静に見る向きもある。一方『森千葉の稼働に伴い周辺で広がった拡販体制。同じ事が繰り返されるのでは』とする経営者もいた。<br />
▼まずは、原紙・段ボール一体型工場となる事で一貫の本領発揮と行きたいところ。コストが下がったならば次に蓄え、国内段ボール発展への投資に役立てて頂きたい。『原紙を潰す感覚、段ボールより紙を売りたい会社』、段ボール側に根強くあるこんな声を、この辺で払拭してみたらどうだろうか。<br />
▼ちなみに製紙系段メーカーDの中部圏での貼合機設置計画は白紙のよう。 (山)</div>
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2021-02-01T00:00:00+09:00
1月17日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1333
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<div> ▼ある顧客に対して中小段メーカーA社が提示したケース単価には驚かされた。最低加工賃でやったとしても、今の原紙代からは出てこない価格なのだ。そのコンペに参加したB社は、『A社は中小の中では特異な事例』としたうえで、『(利幅も無く)切れても構わない、と前期同様の値段を出したがそれを1割以上、下回っていた』、『平米至上主義もここまで来ると…、原価計算できないのだろうか』と呆れる。品質クレームが全く無く、メーター不足時に稼げる仕事ではあるが、この他にも他社が手放す安い仕事に食いつくそう。大手とは一線を画し量を減らしても収益性を高める中小の中で、こんな会社も。先行きが心配になる。<br />
▼常識ある中小やボックスからは『何もせずダメだ、ダメだばかりでは生き残れない』、こんな声を聞いた。一貫やその系列が紙を含めて武器にするならば、『その逆張り』や『手間の掛かる仕事』、『大手とは違う価値作り』等など。地域を超えて仕事の融通や仲間作り、同業とのアライアンス、これを進める企業も増えていると言う。ここ最近も『地方でも上手に仕事している会社は何社もある』と聞いた。設備投資にしても一旦、滞ってしまえば、取り返すのは極めて困難になる。『段ボールは安いけれど、設備にはお金が掛かる』、だからこそ、作った製品を自ら安く売る行為だけは止めて頂きたい。<br />
▼そんな中で今月、興亜紙業が岡部梱包材料の段ボール事業を引き継いだ。岡部梱包材料は段ボール事業を切り離し倉庫事業で今後を切り開く。岡部梱包材料が得意としていた小ロット・短納期を、そっくり継承できる興亜紙業に白羽の矢が立ち営業譲渡となった訳だ。A式、C式から抜き、貼りなどあらゆるケースに対応できる強み、工場が近隣地区で創業年の歴史がある興亜紙業の信用力が従来からの顧客の引き継ぎにつながった。『価格だけが安い段ボールは他にもある』(興亜紙業平岡社長)が、それでも残るのは、『価格以外のサービス』(木村工場長)だ。本来、中小段メーカーの強さや成長はこうでなければ。 (山)</div>
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2021-01-19T00:00:00+09:00
1月7日付
http://itadan.com/publics/index/76/detail=1/c_id=88/p_id=76/r_id=1331
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<div> ▼地方のボックス顧問と電話で長話した。ここは地場でしっかり根を張る老舗企業、記者が40年以上前に購読料の集金で通った思い出深い会社でもある。経営内容は悪くなかったが後継者難からオーナーが手放し現在は某傘下にあるが、従業員にすれば資本は変わったが『働く場が継続して安定、かつ強力なバックも出来たのだから何よりだった』らしい。現在いくつものM&A会社が段ボール業界にも出入りしているが、付き合いのあるコンサルタントがこんな事を言っていた。『以前は売る方が100だとしたら買う側は50だったが、最近は買いたい要望も増えている』。<br />
▼『製紙会社や流通は段メーカーを、段メーカーはボックスを吸収・傘下に収めたいみたいだ』と中小段メーカーが話していた。段メーカーを買いたい当事者から直接聞いた事もある。自分の商品(原紙、シート)の安定した売り先確保からなのだろう。昨年秋には埼玉・北西部の老舗メーカー寄居印刷紙器が大王パッケージに買収されたが、同社は九州北部でもボックスの上村紙工を吸収した。レンゴーも傘下に収めていた会社の再編を急ぐ。動きの無かった2020年ではあったが、いくつかの案件が浮上するなど後半になって慌ただしかった。今年はどうか…。何れにしてもオーナー会社が大手にどんどん取り込まれていく様相は、業界紙記者として辛いものがある。 (山)</div>