板紙・段ボールから印刷紙器までを網羅した専門新聞社です

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有限会社
日刊板紙段ボール新聞社

東京都文京区湯島4-6-11
湯島ハイタウンA-509号
TEL.03-5689-0121
FAX.03-5689-0120
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板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。

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日​刊​板​紙​段​ボ​ー​ル​新​聞​社​
 

2021年 段談

 

2021年 段談

2021年 段談
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12月27日号
2022-01-14
 ▼レンゴーがセッツを吸収した頃、中堅段メーカーの社長がこんな話をしてくれた。『製紙から段ボールまで一気通貫でやる会社が力を付ける。対抗するには専業(製紙)は専業(段ボール)同士で手を結ばねばならない』、『例えば中小の〇製紙、うちはそこから多く買う事を決めている』。段原紙は段ボールにしか使えないのだから一蓮托生、紙が儲かった、段ボールが儲かったでは無く、『ともに組まないと生き残って行けない』との考えからだ。
 ▼それから20年余り製紙、段ボールともに中小専業の会社数こそ減ったが、原紙と段ボールの構図はたいして変わっていない。特に値上げスタート時、専業製紙には『専業段メーカーの事など頭に無くなる』(中小社長)、『上げる事だけ』のように感じる。しかし値上げが浸透して、そろそろ量確保の動きになると『専業の味方的な言い方』が出始める。見え透いていれば段メーカーだって、仕入を揺すりたい気持ちになる。自分だけ良くなる事は無い。〝同じ産業〟もう少しどうにかならないか、と思う。
 ▼ここ数年の段ボール生産量は、誰が見ても一貫系のシェアアップが目立つ。ただし一貫2社のシェアには変化がある。王子が森紙業を買収した時点(05年)でほんの少し上回っていたが、この15、6年でレンゴーが圧倒し、その差は8ポイント以上まで広がっている。 (山)
 
12月17日付
2021-12-22
 ▼コロナ2年目が終わる。昨年とは異なり年末の慌ただしさを感じる。感染者が減り、ワクチン普及や治療薬開発などから落ち着きを取り戻しつつある。段ボール業界はどうか、中小段メーカーやボックスは『販売数量を落としているものの販売価格は維持、何とか乗り切っている』大まかに見ればこんな感じだろう。ただしこれが『自助努力しての結果』と言えば、半分そうで半分は違う。コロナの影響で『営業活動が制限された事が一番の要因』、こう見る経営者が何人もいる。今後、営業活動が活発になると価格は下降傾向に入る懸念がある。価格だけで勝負する大手の営業マン、動かない方が利益を高めるなんて…、あり得ない。
 ▼キナ臭さが増している段原紙値上げ。『あるか無いか』はともかく、その理由として・石炭やガスなど燃料費高騰、・環境含めた設備投資、・古紙価格などがあげられる。聞いた中で最もまともな意見は中小社長が言った『従業員確保のために、給与を上げるために値上げする』ではないか。『上げるならば、正々堂々とやってもらいたい』と言う訳だ。大手数社は別にして紙パ、加工産業の賃金水準が高いとは言い難い。板紙・段ボールの必要性、価値を考えて値上げを宣言すれば、『業界の地位向上として前向きな活動になる』。
 ▼このコラムを書いた後に親しい社長から『レンゴーが2月1日から原紙で動く。明日にでも出るようだ』と知らされた。その通り11月30日、10円以上の値上げが発表された。少し早い感があるが、『どこが先陣か時間の問題』と見ていた人も多いだけに段ボール側の受け止めは冷静。やるならば先の洋紙のようにばらけ無いで、製品まで一気に推し進めたいところ。原紙トップ王子については『気配を感じない』『乗る気あり』など色々聞えて来るが、さてどう出るか。原紙が上がれば、紙代プラス上がった副資材分の転嫁が始まるが、大事な時期に安値で競り込む事だけは避けなければ。 (山)
 
12月7日付
2021-12-14
 ▼ある大手段メーカー営業が『中小に比べ、これだけ投資し機械化しているのだから生産性、ひと箱当たりのコストも違って当然』と話していた。昔、シート販売でキャンペーンを張ったM紙業がよく言った『安く売っているのでは無く、これがうちの適正価格』と同じ理屈なのであろう。
 ▼大手と中小・ボックスのテリトリーには大手しか手が出せない市場と、中小と競合する分野がある。大手の一部の市場は極限まで加工賃を無視した結果、大手でもより強い数社にしか手が出せなくなっている。やっている本人が『紙代が出るか出ないか』と言うほど怖い市場であるが、大手間だけの競争であれば周りは何の問題も無い。
 ▼『海外は段原紙が上がれば、段ボール製品も連動して上がる』と聞く。その海外で製品の拡販が問題になった事があるそうだ。段原紙が年に何回も上昇し『さぁ製品も』とローカル企業、日系含めて動き出そうとした時に、日系一貫系が量確保に走り、取引きが無かったユーザーに競り混んで来たそうだ。結果は誰もが分かる通り。ローカルの経営者には驚きしか無かったらしいが、幸い日系にも同調者はいなかったと言う。
 ▼中小段メーカーと競合する市場では、紙を武器にした戦略で長年築き上げた加工賃を壊す事が問題であり、よその国の話も事実だとしたら…、日本人の商売の〝品格〟まで疑われてしまう。 (山)
 
11月27日付
2021-12-06
 ▼日本製紙が11月4日『1月1日より印刷用紙15%以上、情報用紙15%以上、産業用紙15%以上の値上げ』とHPで発表した。産業用紙の中に段ボール原紙は含まない、と言うが、段原紙は産業用紙に含まれると思う人も何人かいた。この書き方には『直ぐに追加する?』など憶測も呼んだ。ある段メーカーは日本の印刷用紙を使う印刷会社から『次は段ボール、と聞いている』と耳打ちされたそうだ。一貫系段メーカーも『春には上がるから』と複数の客先に話しており、きな臭い言動が増えている。
 ▼少し前に書いた段ボール原紙値上げ。古紙や燃料代高騰を考慮しあるか無いかと言われれば、個人的な感覚では秋口までは2:8ぐらいだったが、来春、となると6:4まで迫った感がある。もし段原紙が15%なら、段ボールは原紙以外の副資材もほとんど値上がりしているだけに、同率という訳にはいかないだろう。と、こんな話を段メーカーとしていたら『コロナでダメージの残る得意先がある中で、最高益の製紙会社』、しかも『今でも一貫系は安値で拡販している。これで原紙値上げされたら、お客さんにどう説明すればいい』、こう言われた。
 ▼我が国のコロナは落ち着いてきたが、主要貿易国で拡大している地域も多くその余波を感じる。まず需要は工業系が半導体の影響でブレーキがかかる。段ボール機械メーカーにしても部品手当が大変、しかも機械を使う側は修理が滞りロスが増えたり、残業でカバー。多少増えても利益が飛ぶ…。 (山)
 
11月17日付
2021-11-26
 ▼紙を作るのに燃料問題が重くのし掛かっている。最近、製紙の主力燃料である石炭、天然ガス価格が高騰、環境面から他の燃料に転換するにも莫大な費用が掛かる。この状況の中、原紙側に実施するかどうかは別にして『本体価格とは別に燃料代をサーチャージ化したらどうか』、こんな考えがある。サーチャージと言えば航空運賃が頭に浮かぶ。仕組みは同じで、基本的にサーチャージの値段は燃料の価格によって変動する。一定の金額まで下がれば負担は無いが、『価格が高騰すればその分は段メーカーに』と言う訳だ。
 ▼いちいちユーザーに説明する段ボール側は大変になるが、こんな考えも〝あり〟だろう。この話を聞いた時、思い出したのは一部で持ち上がった原紙から連動しての価格修正だ。海外では原紙が上がれば段ボールシート、ケースまで次々にエスカレーター式に上がっていく。物を作る原燃料や材料が上がれば、転嫁せざるを得ないし、同じ理由で自社製品を上げている大きなユーザーが段ボールを拒むのもどうかと思う。まぁ気運が上がらなかったのは段ボール業界にその気が無いのが1番かもしれないが。
 ▼一貫2社のシェアは段ボールでは5割を超える。一貫内部でも一連した値上げは、『海外では当たり前な話』と出るが日本でこうならないのは、最終製品を取るために敢えてそうしたくないのだろうか。改革、変化はこの2社が本気でやる気になれば。ただし今までの政策、戦略にしても、双方に大きな違いがあるし、特に1社は紙産業の盟主でありながら、段ボール業界全体の安定・成長に〝我関せず〟に見えるのだから、困ったものではないか。 (山)
 
11月7日付
2021-11-16
 ▼一貫や系列が拡販に走り始めた時、専業段メーカーは『量を増やしてからの値上げ、相変わらずこの戦略』と、勘ぐるだろう。『年がら年中の事だけど』と続くように、同じような事は多々あったが、最近ちょっと目立つのかも。段ボールの値上げ、上げなければならない時があるとすれば、段原紙がそれなりに上がった時だ。
 ▼段原紙値上げの可能性はどうか。年始め、夏前、幾度か製紙側からアドバルーンが上げられた気がするが、ここに来てさすがに年内は。燃料、古紙価格の上昇、副資材や環境対策費などコストアップ要因はあげればきりが無いのだから、製紙側から見れば『いつ動いても』だし、内心は『増え過ぎた〇〇金をどうにかしたい』。
 ▼10月初め、ある中小段メーカーが、一貫系と入れ合うエンドユーザーから『製紙一貫系が来春には原紙価格が上がるから、と話していった』、そう言われたそうだ。ユーザー担当者、予防線を張った積りなのか『1年間ケース価格を変えないと約束してくれるか』と中小の営業に持ち掛けた(即座に断った)。この他にも一貫系列の段メーカー幹部から、同様の話を直接聞いた人も。
 ▼〝たられば〟の話になって恐縮だけど、原紙値上げに動くならば製品との同時値上げはもちろん、製品も先頭に立って邁進してもらいたいものだ。日経に『段ボール代が上がり産業界の輸送コストが増えれば経済活動の足かせになる恐れがある』(10月14日付)とあったが、ずいぶん舐められたように感じるのは記者だけか。(山)
 
10月27日付
2021-11-08
 ▼老舗ボックスがあった。過去形で書くのはだいぶ前に破綻したからだ。この会社はA式以外のケース、特にC式を主力にして作り方から保管まで工夫、段メーカーの請負仕事が多いもののそれなりに利益も出していた。家族的な経営で現場含め、雰囲気の良い会社だった。破綻の切っ掛けとなったのは、シート値上げ。段メーカーから請け負うため、使うシートはそこから買わねばならない。シートを上げられたら箱の加工賃も値上げすればいいと思うが、上げ幅が違った。社長はその狡さを嫌い『利益が目減りするなら引き受けない』と大きな仕事を断った。近隣にそのケースを作れる同業がなかった事も強気の一因に。収入は大きく減った。設備投資もしただけに機械を動かし償却も必要だ。悪循環が続いた。古くから付き合いのある〇さんは『バランスなんだ。切るだけじゃ』。これが難しい。まぁ最近増え始めた某筋からの大量受注にしても、似たようなものか。
 ▼さて、9月の大手段メーカー生産量。一貫子会社1社のみ前年比110%と頭ひとつ抜けた。他社は100前後を確保。中小やボックスも同様のよう。ここ最近コロナが落ち着いている。経済も動きだし段ボール関係でも期待が高まっているが、実際、10月に入っての荷動きはどこも良い。しかし『疑心暗鬼と仕事量確保でスポット価格が軟化』、『特値シートが、安値更新』こんな声もある。ちょっと良くなれば量に走る、ある社長が言った『コロナで営業が動けない方が安定とは皮肉』は〝言い得て妙〟だ。なお各地の親しいボックスに、売り込みに熱心な段メーカーを聞いたところ、予想通り一貫系□社の名前をあげた。 (山)
 
10月17日付
2021-10-29
 ▼昨年度(20年4月から21年3月)の通信販売市場の売上高は前年度比20・1%増の10・6兆円。無論、長年右肩上がりで推移しているとはいえ、大幅に増加した。コロナ禍の後押しは言うに及ばないものの、一過性の勢いというよりは、『通販で購入可能ならば通販』との動きは今後も変わらないだろう。
 一方で昨年(20年1~12月)の段ボール部門別消費量で、「通販・宅配・引越し」は前年比横ばい。状況を考慮すれば、引越し用途はかなりの減少と推測されるが、通販市場の伸びと比べても明らかに見落とりする。
 要因には、通販でも飲料や電化製品などはメーカー箱のままが多く、それが反映されない点、通販メーカーのケースがより内容物に合わせたサイズとなり、平米数と箱数にギャップが生じている点などは挙がるが、どうなのか?
 ただ、巨大通販メーカーBのケース使用量は、既に国内需要家の最高峰という。その過半の商権を商社と大手段メーカーAが分け合うようだが、Aはもちろん、商社経由で製造を受注する、やはり大手段メーカーの量的な堅調さをみれば頷ける。
 ▼需要期および指定・支給の来年交渉を考慮すれば、9月頭までに発表、10月半ば以降の実施とのスケジュールかと、勝手に想像していた原紙の価格改定の行方。結果論だが、年内は…。『大手一貫の拡販ぶりを見ると、先に量を確保し、値上げで引き締める戦略かと』とは、段メーカー幹部だが、続けて『そもそも年がら年中か』と苦笑い。 (浮)
 
10月7日付
2021-10-18
 ▼地方のボックスに大手段メーカーが、シート値上げについて曖昧な話をしたそうだ。この時期に、まして周りの動きを見ても値上げの気配はサラサラ無いだけに、『相手にするもしないも…』でその場は終わったよう。『大手段メーカーは製紙部門から原紙の動向(圧力)を聞いて、それに連動した動きなのだろうか』としながらも、『それ以降何も無いのだから余計どうかと思う』と言う。古紙から原紙を含めた先行きは分かりづらいにしても、探りを入れたのか、ただの雑談だったのか。なお関東でも、社名を聞けば〝ええっ〟と思う段メーカーが値上げに近い話をしているとか。
 ▼地域は違うボックス、『今年前半は昨年同期を超えたが、一昨年にはまだ届かない。しかも8月後半から失速した』とする。シートについて話を向けると、『この地区には段メーカーが〇社しかない狭い商圏ですが、売り込みは入れ替り立ち替りあります』、『どちらか言えば凪だったのが、今は弱含みかも』と言う。一方の段メーカー、原紙は相変わらずガチガチで、原紙側から見れば原紙市況は強含み。シートをこれ以上安くは出来ないだろうし、かと言って、上からは『量は落とすな増やして来い』なのだから、現場の営業マンはやりにくいだろうと同情する。
 ▼最後は情け無い出来事。『A社から買っているのですか、値段は?うちはそれ以下でやりますよ』、もっと酷いのは『いくらならば良いのですか、値段を書いて下さい』。こう言われたのはあるボックス。耳を疑ったが『こんな営業では、長続きするはずがない』、『相手にしなかった』と、取り引きする段メーカーに伝えてきた。どこですかと聞いてみれば、2社の名前を挙げた。よく出る一貫系と中小だった。シート価格が強含みか、弱含みなのか、肌感覚で分かる。 (山)
 
9月27日付
2021-10-08
 ▼巷で噂になるC5の最安値、〇円ぐらいかと思っていたら、昨日聞いた価格はそれを大きく下回っていた。中小段メーカーに競り込んできた包装資材会社(ブローカー)が出したケース価格は〇円、C5に換算すると〇円以下でないと出来ない驚きの値段だ。もちろんバックにいるのは一貫直系段メーカーC社。『紙代以外に何も残らない、段ボール業界をバカにした価格』だが、『このグループの悪いところはそれを全く気にしていない点』と言う。『コストアップ要因が山積、この先協力金に期待してもらっては困る』こんな意見があったにしても、肝心要のケースを蔑ろにされては、誰だって製紙側の話を聞く気になれないのは当たり前。
 ▼『関東は需要があったにしても大変ですね』とは地方の中堅ボックス。関東でのシートやケース価格を聞く度に『たとえ量が少なくても、大きくぶれず安定が一番』と話す。月に数千万平米需要が伸びたにしても、貼合機の高速・幅広化に、工場リニューアル、大型の新工場が2つも出来た(出来る)状態が数年続けば、供給過多に陥るのは間違いない。『中小は仕事しにくい時代になっている』とし、小さな会社にも見合った仕事があるはずなのに…。ボックスの淘汰、廃業が一段と増えてきた。『長い間、読ませて(新聞)頂きましたが段ボールを止めるので』とは40年来の読者である。 (山)
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