板紙・段ボールから印刷紙器までを網羅した専門新聞社です

qrcode.png
http://itadan.com/
モバイル版はこちら!!
バーコードリーダーで読み取り
モバイルサイトにアクセス!


有限会社
日刊板紙段ボール新聞社

東京都文京区湯島4-6-11
湯島ハイタウンA-509号
TEL.03-5689-0121
FAX.03-5689-0120
----------------------------
板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。

----------------------------

日​刊​板​紙​段​ボ​ー​ル​新​聞​社​
 

2024年 段談

 

2024年 段談

2024年 段談
2
 
9月17日号
2024-10-04
 ▼この夏は”暑い”だけになってしまった。業界景況感はさえず、量的にも盛り上がりに欠けた。夏前から『織り込み済みの決算に反映させるならばもう動くはず』、大手の動きに期待していた中小・ボックスなど関係各社だが、その望みはあっけなく外れた。『簡単には上がらない』事が『想定内』と読んでいた経営者もいた。『今回に限らず、価格改定の度に繰り返される(様子見や動かない会社がある)』と話す。段ボール箱に使う多くの副資材価格が上昇、毎年の労務費関係だって重く圧し掛かる。2024年物流問題に至っては『稼ぎたいドライバーが辞めてしまう』と、配送への影響まで耳にするが、積極的に動かないのは何故なのだろう。
 ▼値上げに走る会社の存在感が薄いのが一つ、量が伸びない中で量を減らしたくない大手も突っ込んだ交渉を避けた。一貫2グループの動きもチグハグだ。『動いているのは掛け声だけ』こんな声まである。また『主原料が上がらなかったから』も大きい。過去の値上げも先に段原紙が上昇しその幅に合わせてシートやケース価格を値決めした。しかも『前回2回で、どれだけ主原料分を転嫁できたかによって、上げるべき顧客と上げなくてもいい顧客があった』のも事実だし、段ボール会社の収益体質によっても上げ幅は異なってくる。一概に原紙〇円分、シート〇円分の転嫁では無かっただけに『様子見』や『取り敢えず』になってしまった節もあるのでは。
 ▼だからと言ってこのままで良いはずがない。エリアやユーザーの企業規模によって進捗状況に差はありそうだが、まだまだ利益を上げられない価格帯は残っている。(メジャーZの件はひとまず置いといても)大手ほどその傾向が強いはずである。大手のやっています感と中小・ボックスの現況との乖離はあり過ぎる。シートにしてもそうだ。例えばシート購入先が4社あれば、夏前にA社から『置いていくだけですから』と値上げ案内が出されたが今現在そのままの状態。8月になるとようやくB社から〇円の値上げ要請があったものの、C社は『うちはやっています』だけで、残りのD社はまだ何も無いらしい。これで『上がるのだろうか』『上げる気はあるのだろうか』ボックス社長の疑問がよく分かる。
 ▼『うちはやっている』のならば、見える成果を教えて欲しい。『いや成果は10月から出る』の声も一部大手にはあるが、中小・ボックスはそうは見ていない。『大手、地場でも力のある中堅が動かずして、我々はなすすべがありません』中小社長からのメールである。みな、業界を良くしたい(そうなれば自社も必ず良くなる)気持ちでいっぱいだが、やれる事の限界を感じる声だと思う。大手の一角であるダイナパックの齊藤社長は『10月から全面浸透が当社の方針』と力強く話していた。他の大手も同様である事を望む。(山)
 
9月7日号
2024-09-25
 ▼早くも年度前半最後の月。季節のめぐりがスピード感を増した気がする。己の加齢は多分にあるが、なんだか春と秋がはっきりしなくなったせいか。そして多少落ち着いてきたが、この破壊的な暑さは一体誰得なのか。温暖化の影響であるならば、既に大きな実害だ。段ボールにとって飲料中心に、需要が喚起される分野はあるが、それすら無尽蔵な酷暑と正比例するわけではないし、青果物はじめ生産への影響の方が心配だ。さらに言えば、どれだけ対策を講じようとも、段ボールを製造する現場の方々にとって、由々しき状況なことが業界としては最大の懸案である。
 ▼製品値上げ。通販ビッグユーザーはじめ徐々にだが、決まったとの声も。そんな中、指定・支給の大規模特定団体も近く決着を見るという。ただし、原材料コストを抑制し、ケース価格自体は変わらない変則的なもの。同値下げ分〇円を考慮すれば、ケース値上げと変わらない一定の利益増につながる。実質値上げと言える状況で、単純に他のユーザーが、同団体はまだケース値上げを認めていないと捉えてもらっては困る。同団体にしても、そもそも原紙が支給であるし、自らの事業環境を鑑みた上での苦肉の策であるはず。しかし、本音を言えば何かすっきりしない。原材料抑制の原資は?全体に与える影響は?等々…。いや、ここはプラスに捉えて進むべきか。 (浮)
 
 
8月27日号
2024-09-09
 ▼テレビで映された海鮮丼が1万数千円、日本人なら絶対に食べない値段である。それでも『こんなに安いなんて』、海外の人は言う。同じ料理なのに訪日客と日本人で料金設定が違う”二重価格”まであるのだから驚きだ。『姫路城の入場料を外国人は4倍に』とした姫路市長の発言も物議をかもした。”東南アジアは安い””中国の給料は日本の半分以下”、こう言われた時代があったのもそう前ではないから、この年で他国がどんどん強くなった。
 ▼多くの分野で日本製機械は超一流、どこの国の人でもそう思っていた。テレビや半導体は置いてきぼりに、しかし今でも”日本は一流”この認識はそう変わっていないはず。ただし『新しい事にチャレンジするのが遅い』、こんな声がある。一足飛びに先に進む中国での物作り。世界を席巻する電気自動車を見れば分かりやすい。
 ▼段ボール機械はどうか。コルゲータも製箱機も性能高く、まだまだ世界中で人気がある。中国にしてもお金持ち企業は、日本か欧州製を選ぶ。一方、日本市場に入りたいアジア製マシンは台数を稼ごうとは考えていないはず、品質に煩い日本で使われた”このお墨付き”が欲しいのだ。さて高くなった段ボール機械価格、昔、冗談で出ていた”機械が先(壊れる)か自分が先(廃業)か”、リーズナブルマシンが出て来なければ冗談では済まなくなるのかも。(山)
 
 
8月17日号
2024-09-02
 需要が思わしくないことに輪をかけて、今年は段ボールメーカーの稼働日も前年比で凸凹が大きく、フラストレーションが溜まる。6月から一転、7月は前年比で平均2日プラスなので、10%伸びてちょうど同レベルとなるが、最終週での追い込みもあって大手の多くはこの水準を確保した。『引き続き決して良くはないが、少々改善の兆しが見えてきたか?』、そんな声が聞こえてくる。
 起爆剤が欲しいとは、製品単独ゆえに4月以降ずっと言われてきた。まさかメーカー同士で値上げ進捗の話などできるはずもないこのご時世。それでもユーザーのいう『お宅だけ』『お宅が一番』『最後のあそこが来ない』だってどこまで本当か。実態はわからないもの。最終的に業界内にヒールを作っても、総括する時期ならまだしも、値上げ交渉が進行形ならばかえってユーザーの思う壺となる可能性も。そういう意味では、指定支給スキームの加工賃や、屈指のビッグユーザーが動いたのであれば、もっと大声を出して良いのではないか。量が半端ないだけに価格は…なのもわかるし、元々いくらなのかも…だが。それは置いても、『あそこ動きましたから!(「額はともかく」は口には出さずとも)』だけで良いのでは。『〇円のコストアップなので上げます。ガチャ』、もしくはメールのお知らせで値上げが終わる時代がまだ来ないのであれば。 (浮)
 
 
8月7日号
2024-08-21
 一昨年、小紙付録『段ボールメーカー系譜図』で、大手6グループに加えて、フジダンを新たに掲載したのは、近年、従来以上にボックスメーカーのグループ化に積極的な姿勢を見せていることに加えて、先々、段メーカーも含めた展開があるのではと想像(期待)したから。常々資本関係に拘らずに、各地の段メーカーとの連携、さらには米国のように、貼合拠点の共同運用の日本版について、坂本社長が理想だと言及していた点を踏まえても、全国各地の独立系段メーカーが広域で連携するスキームは、夢物語ではないという説得力を感じていた。
 今回のフジダンホールディングスと、MCPキャピタルの資本業務提携の締結=7月7日号既報=。以前、想像した姿とは多少異なるものの、引き続き、坂本社長が陣頭指揮を執り、多くの選択肢の中から共に取り組むと決めた同ファンドと、従来にない段ボールを中心としたトータルパッケージグループを構築していく意向だ。
 坂本社長は就任直後の十数年前、漠然とした目標として、単独で月5千万平米を到達できればどうなるだろうかと考えたという。個社ではないが、今後グループ化によってこれを達すれば、大手グループと伍する、各地方で一定以上の力を持つ独立系段ボール会社の連合体として存在感は大いに高まるはずだ。原紙購入や広域での製造連携、戦略的設備選定も可能かもしれない。しかも大手と同じ土俵ではなく、従来の中小オーナー系の良さを残したままで。また、直近のフジダンHDの高い利益率には驚くばかり。加入会社がそんな体質に変われれば、業界にとっても有益なはず。
 坂本社長は、他産業で、各地域で存在感のある中小オーナー会社や、関連会社によるホールディングス会社が存在感を示している点に言及する。フジダンHDでも段ボールに限らず、より広域な事業体とする方向性という。各地方のボックスにしても、大手グループとは違う存在に対する期待もあるだろう。 上場企業でも当然ながら、多くがオーナー会社に端を発しているものだが、業界では前例がない取り組み。今の時代に沿ったものとなるのか。まずはどんなグループが形成されるのか、5年後の上場、そして今後のボックスとの関係性等々、展開に注視したい。 (浮)
 
 
7月27日号
2024-08-08
▼4月から始まった『製品値上げ』、大手はぼちぼち動いているのだろうが、ここに来ても目に付く成果は聞かない。シートにしても掛け声だけで中堅ボックスには詰めも無い。当初から『値上げの必要性を感じていなかった』こんな声まであるのだから、現在のボックスの肌感覚がよく分かる。
▼『格好良い事を言いながら、量が減る=出世に影響する』これが多少なりともある、と話すのは大手や系列と対峙する地場の中小段メーカー。同じ得意先に出す値上げ案内の『出し方を見ていて思った』らしい。原紙の協力金が(程よい状態で)続く状況で『”少しでも値上げが通れば御の字”的な考え方があるようにも』。全力で動かない理由をそう見ている。
▼それでも『他所は関係ない、淡々と進めている』とはある大手だ。『自社でやれる事はやっている』と言い切る。ただし周辺での評価は『あれでは動いたうちに…』だった。前期は動かないが想定内にしても、下期に浸透させるのならば本格的な交渉が見えてきてもよさそうだ。値上げ当初の”やる気”で今一度、奮い立たせねばなるまい。
▼段ボール会社にとって火災ほど怖いものは無い。6月21日夜、大手段メーカーN工場で火災が発生した、とメールが入った。幸い印刷機周辺のみ、他は影響なく直ぐに復旧して良かった。と思ったら7月日には、東北でも段メーカーに甚大な被害が出た。この数年間、続いているだけに今一度、点検に点検を。こればかりは”やり過ぎ”は無い。(山)
 
7月17日号
2024-07-24
▼6月は稼働日が2日少なかった事を考慮しても『ドボン状態』、あちこちでこんな声を聞く。『いつかは量も戻るだろう』淡い期待を持つ人も、いらっしゃる。しかし直近の大手段メーカー生産量を見ても量が増えるは、頭に入れない方がいいのかもしれない。大手数字は、△が〇〇、□は〇〇、見たくもない数字が並ぶ。中小、ボックスがこれより良かったとは、ほぼ聞かない。人口減少に加え、食品ロス問題、出始めた脱段ボールの動き、減る要素はいくつも重なる。ある菓子メーカーは『コロナ以降、確実に売れる分しか作らなくなったが、作る量は減っても利益は変わらない』そうだ。いくらでもこんな話はある。
▼西低東高の感があるシート価格、まぁ高く買っても付加価値を付けて回収すればいいだけだから気にしない気にしない。反面、気にしたくなったのが『(シートで)値上げの勢いが萎みそう』、ある筋から聞いた事。『一貫△子会社と□系段メーカーの動きが鈍い』と指摘した。『うちクラスが(案内を)出しても(出さない)』、『他所が出すのを(待っている)』など、後が続かないそうだ。
▼親会社からは檄が飛んでいるはずだから、現場の近くに行けば行くほどトーンダウンしてしまうのか。以前から『赴任期間だけは量を落としたくない』が、一部の事業部長や工場長クラスにはあった。この状態で値段を崩す事は無いと思うが、夏が来ても勢いがつかないのは困ったもの。
▼ひとつ嬉しい事がある。関東の雄〇ダンが5年以内の上場を目指すらしい。ジメジメした話題が多い段ボール業界の中で、たとえ噂であっても喜ばしい。 (山)
 
 
7月7日付
2024-07-18
▼6月半ばの地方への出張。製品値上げについて聞いたところ、『まだまだ様子見状態』との返答。元々、市場規模、プレーヤーが限定される中、ともに傷を負うような無益な競争は少ないという。また、顧客との長年の取引関係もそれだけ盤石である。シェアが動くこともあまりないだけに、巨大市場の動向に注視しながら、丁寧に交渉といった展開のようだ。
▼その巨大市場の関東地域では、条件提示を開始した段メーカーも増えてきている。と同時に局地的ではあるものの、大手系列の複数会社による安値拡販が見られるという。値上げしながらの値下げとはなんとも複雑怪奇だが、原紙の値上げ前の値下げ、拡販と考えれば辻褄が合うという声も…。一方で7月以降、下期からの浸透を目指してさらに値上げ交渉は活発化してくるとの見解を示す業界関係者は多い。稀にみる遅さだった梅雨入りとともに、ようやっと動き出す気配は感じるが、果たして。
▼特定ユーザー団体、あるエリアでの原紙の取扱量を増やすために、大幅な価格対応を提案したと複数の取材先から聞いた。それはそれで戦略のひとつなので、外野からとやかく言われることはないのだろうが、その価格対応の原資が何であるのかは大いに気になるところだ。まさか原紙サイドに対して厳しい要求を突き付けてといったことはないと思いたいが…。(浮)
 
 
6月27日付
2024-07-06
▼注視する製品値上げ。”没落価格は無くした””弱腰で交渉失敗”、どんな結果になるか。成否はこれからだろうが、内容によっては業界の将来を左右する。
▼”人は大切な資本”中小オーナーがいみじくも言った言葉が頭に張り付いている。関東の中小段メーカーは『従業員を大切にしなければ』とし、通常の検診だけで無く5年毎に人間ドックを受けさせる事を決めた。物流費のみならず経営コストはどんどん上がる。ようやく集まった従業員も、給料を上げなければ『離職が増える』。『一時的に大きな賃上げではなく、継続的に4%の賃上げが出来なければ』こう強調した大手経営者さえいる。今の業界平均利益率を考えれば、相当努力しなければなるまい。
▼中小企業の賃上げを阻害する大企業がメディアで取り上げられる。名前を出された会社は大きなダメージだ。下請けGメン、トラックGメンなどの活躍も。先日は『公正取引委員会、もっと頑張れ』まであった。最近は『諸々のコスト上昇に関して協議の場を持つ必要があるなら』こんな文書を至る所で見かける。大手元経営者が話した『(何でも言える)良い時代になった』、価格交渉がけんもほろろだった頃からすれば、聞くだけマシになった。
▼さて、大手段メーカーがユーザーに値上げを申し出ているようで、『そろそろ動き始めたかも』と期待を込める中小。一方『7月1日納入分より平米〇円』ボックスにも値上げ案内が届く。大手ボックスにはより高く△円もある。具体性が出て進んだ感はあるが、ただボックスに関しては『取り敢えず置いていくだけですから』では、なかなか上がらないだろうな~。 (山)
 
 
6月17日付
2024-06-28
 窮地に陥る事は誰にでもある。神免紙器本社工場で発生した火災はまさにそうだ。長い間止まった工場、資材不足の建設工事…、この壁を乗り越えられるか、乗り越えられないかで、同社の将来は大きく変わる。新設するコルゲータはドイツの一流機械メーカーとはいえ日本初の中国製、新たに設置する付帯設備もそうだ。不安も多い事だろう。しかしどこもやらなかった目標をしっかり持ち、追い続ける”気力””挑戦力”がある。
 『ボックスが指定する多色印刷をコルゲータで施せれば』、神免の狙いだ。付加価値を高めシート販売に生かす。拡販していくが、単純な価格だけの競争はしない。コルゲータ上での印刷は、昔からユニマーキーやヒノッキーなど単色はあったが、同社がやろうとしているのはフルカラーのデジタル印刷、根本から違う。極端に言えばボックスは印刷機が不要となり一工程短縮、スロッタ、グルアや打抜機があれば従来と同じように箱を作れる訳だ。『そんな事が出来る?』このような声がある事も、中務社長や大葉常務は百も承知である。
 『周辺の段メーカーにも提案がある』とし、段メーカーで余った半端原紙へデジタル印刷も考えている。同業者間での諍いは極力避けたい方針であり、『必要とされる段メーカーとして再生したい』のだ。だから工場完成後はどこからの見学も受け入れる、と言う。
 なかなか人材が集まらない、しかも設備投資に費用が嵩む段ボール業界。新工場は出来る範囲でスマート工場に近づけ、その設備もリーズナブルな中国製を活用する。暗中模索が続くと思うが、一歩踏み出した同社を応援したい。インタビューは次号に掲載。 (山)
 
2
<<有限会社 日刊板紙段ボール新聞社>> 〒113-0034 東京都文京区湯島4-6-11 湯島ハイタウンA-509号 TEL:03-5689-0121 FAX:03-5689-0120