昨年10月以降、前年比割れが丸1年続いてしまった段ボール生産量。振り返ると、マイナス成長が4カ月目を過ぎる頃から、コロナ禍は段ボールにとってマイナスではなく、むしろ稀に見る特需期間だったとの見解が業界関係者の間で、より多く聞かれるようになっていた。
混乱の2020年は置くとしても、昨年、一昨年は、巣ごもり、宅飲み、家電はじめ家内設備の充実そして通販の利用等々…、コロナを前提とした生活の定着が段ボール需要に直結したことが要因で伸びた。だから、一旦過去2年の数値は忘れて、今後再び成長軌道に戻るとしても、まずは19年比で取り巻く環境を整理していこうとの主旨だ。
これに伴い、生産量ベースでの新たなスタンダードがほしいとの声が強い。でなければ原紙も、製品も、現状のあまりに大きな能力と需要ギャップによって、業界皆が望まない方向に進みかねないとの危惧が強くなっている。原紙は国内はもとより、需給調整役を期待された輸出の回復も、多くのメーカーが採算を考慮すれば、全く先が見通せない状況で、近年の増設分も重く圧し掛かる。まして段ボールは長きにわたり、主要設備の能力を考えれば、需要を上回る水準にある。
そろそろ、来年24年の段ボール需要予測も気になる時期となってきた。また、各社予算編成も始まるだろう。食品ロス削減、段ボール製品の値上げによる包装の合理化、インバウンドのコト化等々も考慮した上での指標が必要な時を迎えている。 (浮)