▼ある経営者が『信頼関係で結びついている得意先は良いですね』と話した。今回の価格改定はまだ実施していないが、仕入れ担当者から『無理は言いません。時期はいつでも言って下さい』と言われたそうだ。『安値で入ろうとする同業もあるが』、この顧客では『安くした先は必ず上げてくる。その繰り返し』と見ている。こうした信頼関係の構築は価格だけでは築けない。長年の取引の積み重ねである。材料(原紙やシート)が上がったからと言って『直ぐに転嫁してくれ』では無く、一旦置いて”相手の事情・状況”を考える。『利益率だって平均以上ですよ』と付け加えた。
▼値上げを本社営業本部で決定、各地の営業マンはその指示通りに動く。大手段メーカーのセオリーである。”原材料が上がったのだから製品も”はよく分かるし大手ならばなお更だと思うが、先ほどの”相手の事情・状況”、を考慮するとどうだろうか。相手の持つ客先や地域の特性など諸々あり、本部の指示通りに全国一律でやると『何も考えないサラリーマン』になってしまう。得意先に『これからもパートナーであり続けたい』この気持ちを持たせる事が営業の良し悪しである。『値上げはしたいが、注文は減らしたくない』から、『どうしたら利益率を上げられるか』に切り替えるか。悩みに悩むところであるが、こうして営業は鍛えられるのだ。(山)