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有限会社
日刊板紙段ボール新聞社

東京都文京区湯島4-6-11
湯島ハイタウンA-509号
TEL.03-5689-0121
FAX.03-5689-0120
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板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。

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日​刊​板​紙​段​ボ​ー​ル​新​聞​社​
 

2024年 段談

 

2024年 段談

2024年 段談
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12月27日号
2025-01-08
  ▼シートの動向に関する問い合わせがあった。段メーカーから『最近どうなっています?』と聞かれた事も。強硬な姿勢を貫いた一貫もあるが、他は臨機応変に相手や同業の腹を探っているようで、全体を盛り上げる気運にはもう少しパワーが必要だ。なおシート売りは大手系がますます強くなりつつある。超大手ボックスで中小を弾き出した価格は相当なものだった。中小のシート販売が先細ったのもよく分かる。
 ▼このところのシート価格を『ダブルスタンダード』、中小段メーカーがこんな表現をした。数回の製品値上げを繰り返し、高値と最安値の差が極端に開いているのは確かである。日経シート市況なんて無きに等しい。シート購買力の弱いボックスは交渉の度に流されてしまう。中堅ボックスの役員が『断られてもいいような売り先には、目いっぱい強気だ』と話した。周りを見てそう思ったのだろう。
 ▼ある小さな集まりで、ボックスが動くかどうかが話題になった、と聞いた。疑心暗鬼の人もいたそうだが、シートが修正され、同時にボックスと競合する段メーカーがケースの値上げに突っ走れば、間違いなく動く。材料値上がり分を社内で吸収する余裕などボックスには無いし、価格改定も望んでいる。ダラダラと1年近く経過したが、”弱含みから強含みへ”、シートに関してはこんな所ではないだろうか。(山)
 
12月17日号
2024-12-25
 丸紅がベトナムKOAを売却した。台湾の金融機関等を有する実業家関連の投資会社が引受先だ(ベトナムに複数の段ボール工場を所有とも)。22年に本稼働した大型段原紙マシン、興亜工業で培った高い技術と先進の環境性を武器に、成長著しい東南アジア市場で大きな存在感を示すことが期待された。ライナを年間35万㌧強生産。増産の余地があり、順次その予定と聞いていた。
 20年で中国が古紙の輸入を全面禁止する一方、アジア中心に段原紙の需要は大きく伸びると予想される中、これ以上ない良いタイミングであった。ただ、コロナ禍による一時的な混乱、そして何よりも、同様の狙いを持った中国系はじめ多くの製紙メーカーが新設、増産をこの間に集中して実行し、一気に世界的な大余剰時代に突入したことが非常に痛かった。もちろん、それこそ競争だと言われればそれまでだが…。また、情報通によれば、古紙調達等で日本品を重視し過ぎた選択や、群雄割拠の市場で、法対応含めて、あまりに万事、”正攻法過ぎた”ことが仇になったとの指摘は、同社にとどまらず、理不尽さを覚えながらも、改めて世界市場の難しさと、今の日本の現状を突き付けられた気もする。
 今回の結果を受けた、『厳しい現実だが、良く挑戦した。敬意を表したい』というアジア市場を熟知する業界の大ベテランの言葉は深く、重い。 (浮)
 
12月7日号
2024-12-18
 関東中心に複数の大手段メーカーは、『シートも1月から取り切り』の勢いで動いている一方、『ケースユーザーにも言えるが、長い付き合い、深い付き合いほど、なかなか強く行きづらい…』(地方段メーカー)との率直な思いも。そもそも主原料が上がらない段メーカーと、上がるボックスメーカーの違いは大きい。とは言え、シートが動けば動かざるを得ないが、『大手エンドユーザーに対する大手段メーカーのようにはいかない』。これは中小段メーカーも同様だが、段ボール産業だけの課題ではないだろう。価格転嫁の推進、政府方針に全く異論はないが、転嫁の循環が整流化していない段階では、(売買双方が)中小零細同士の場合、死活問題になりかねないジレンマが少なくとも今はある。
 大手一貫Aの最近の原紙内製化は、その量が少なくないだけに、回りまわって、板紙各社はもちろん段メーカーの取引にも変化をもたらしていると聞く。輸出含めて全体需要が伸びていれば、弾かれた原紙もうまく納まり所が見つかるが、今はそれも厳しい。製品値上げ等もあって、幸い過剰な陣取り合戦には、発展していないというが、特に外販しか道がない専業原紙メーカーにとっては、いずれ来る道だったとしても、思わぬタイミングで難しい判断を迫られたのは事実。今回の動向で原紙生産シェアにも変化が生じる可能性はある。 (浮)
 
11月27日号
2024-12-09
 ▼ある経営者が『信頼関係で結びついている得意先は良いですね』と話した。今回の価格改定はまだ実施していないが、仕入れ担当者から『無理は言いません。時期はいつでも言って下さい』と言われたそうだ。『安値で入ろうとする同業もあるが』、この顧客では『安くした先は必ず上げてくる。その繰り返し』と見ている。こうした信頼関係の構築は価格だけでは築けない。長年の取引の積み重ねである。材料(原紙やシート)が上がったからと言って『直ぐに転嫁してくれ』では無く、一旦置いて”相手の事情・状況”を考える。『利益率だって平均以上ですよ』と付け加えた。
 ▼値上げを本社営業本部で決定、各地の営業マンはその指示通りに動く。大手段メーカーのセオリーである。”原材料が上がったのだから製品も”はよく分かるし大手ならばなお更だと思うが、先ほどの”相手の事情・状況”、を考慮するとどうだろうか。相手の持つ客先や地域の特性など諸々あり、本部の指示通りに全国一律でやると『何も考えないサラリーマン』になってしまう。得意先に『これからもパートナーであり続けたい』この気持ちを持たせる事が営業の良し悪しである。『値上げはしたいが、注文は減らしたくない』から、『どうしたら利益率を上げられるか』に切り替えるか。悩みに悩むところであるが、こうして営業は鍛えられるのだ。(山)
 
11月17日号
2024-12-02
 ▼『中小・ボックスでは価格が上がっていない』こう書く事が多いが、ある経営者から『その通り。今はまだゼロです』と言われた。動いていないのでは無く、顧客に納入する同業大手と歩調をあわせた結果、決まりだすのが『極めて遅くなった』と話す。10月も過ぎ、所々で進み出しているように見られるが、会社によって業界景況感が悪くないのは、前々回、前回の原紙値上げ時にキチンと対応(箱に転嫁)したか、しないかの差もあるのだろう。
 ▼『ここは遅れている』そう聞いていた西日本の〇〇地区、地場で根を張る段メーカーから、『運送費は2月から加重平均で〇%認めました』、その一方で『初めての原紙値上げを伴わない製品値上げでしたが、順調に進んでいる』、初任給も〇%上げ『製造部員の採用も順調です』とメールがあった。〆は『そうしないと事業継続できないから』だったが、周りを見ずにやり切ったのだから偉い。
 ▼こちらは早くから動いていた某地域だが、あるボックスは『10月1日から3分の2は決まり、残りは青果物を抜かし年内に決着』と言う。シートにしても1社が先行し、他社も進みそうな雰囲気だ。こうして進んだ地域があると思えば、『何となく各社ちょっと動いてみたけれど。その後が全く続いていない』もある。もちろんシートの価格は…、全国的に見てこっちの方が多いかも。 (山)
 
11月7日号
2024-11-25
 ▼『段原紙も製品同様、コストアップ要因を抱えている』との一方で、『価格改定を打ち出したい気持ちは当然あるが、製品値上げとの兼ね合いなどで今はタイミングではない』(大手製紙幹部)。では製品値上げがひと段落した後(来年4月以降?)となるのか。物流コストに労務費、さらなる環境投資では、多く見積もっても㌔5円以上の上げ幅は難しいとの冷静な見方は多い。そもそも物流コストも仮に㌔2円とすれば、最大手で数百億円規模のコストアップを抱えていることになるが、現状、そこまで積み重なっているのか疑問の声も少なくない。前述の要因に加え、『古紙、燃料コストの高騰が加わらなければ難しい』か。さらに量が伸びず、ここに来て大手一貫Aが内製化率を一層上げる中、動きづらい状況にはある。
 ▼オーナー系段メーカー。今どの程度あるのか。カウント方法は様々なので、あえて大雑把に記すが、大手系列や他社資本が多く入っているところを除くと直近で社を割っていた。段メーカー数は180社弱なので大手グループがオーナー系の数を優に超えた。2010年は全体220社弱でオーナー系110社弱。減少とその割合変化も明らかだ。内需型産業で成長から成熟にシフト、加えて能力過剰状況となれば淘汰は自然といえばそれまでだが、『寂しい』というオーナー系有力段メーカー社長の言葉に集約される。 (浮)
 
10月27日号
2024-11-08
 ▼値上げについて”大手が上げやすいのか、中小企業の方がやりやすいのか”どの業界でも様々な意見がある。〇〇Gメンの活躍など公取委や中企庁の後押しもあって『中小の方が』と言う人もいるが、ある調査(4月~6月期の法人企業統計)では売上高経常利益率でみると大企業は過去最高を記録し、中小は足踏み状態、となっていた。しかもその差は過去最高に開き、”価格交渉力の弱さ”を要因に上げていた。調査では、中小企業は顧客との関係を容易に断ち切れないことから価格交渉が大企業よりも難しく、”値上げ話”には乗ってくれるものの『仕事量を減らす』『他社に切り替える』があり交渉の難しさを指摘した。人材を確保するための賃上げにしても、”実施する”とした中小の6割が”防衛的な賃上げ”で、従業員数が少ない会社がより顕著と言う。
 ▼さて『年内には殆どが決着する』大手からは、そう聞こえてくる。上場企業ならそのうち出される決算を見れば出来栄えは分かるが、中小クラスではどうだろうか。聞いてみると良し悪しあるが、総じてこんな声が返ってきた。『はっきり言ってこれから、という感じ。年明けや4月になってから決まりだす』であり『遅れても金額さえ要求通りに転嫁出来れば』なのだが、『”やっている”と言い続ける大手段メーカーの上げ幅は低い』とし、『あわせればコスト上昇分に対し不足してしまう』案件も。地域によって浸透率の差は大きそうで、『まだまだ』は未だにけっこうある。シート値上げはより顕著だ。 (山)
 
10月17日号
2024-10-30
 ▼先月のコラムで、『今シェアに意義を見出すところはほぼ皆無』と書いたが、段メーカーの〇〇社長に、『何を言ってんの!』と開口一番、お叱りを受けた。続けて、『(大手)A社が怒涛の勢いでこの時期に量を集めているは何なんだ!(積極的という値上げと相反する動きで)本当にわからなくなるよ』とうんざり顔。無論、局所的な動きは、これまでもしばしば聞こえてきたが、結構なレベルのようだ。量が伸びぬ中、量を失うことへの躊躇が、値上げの勢いを削ぐことにつながっているとは聞くが、それにしても今量を取りに行って何が残るのか。まさか、段原紙の今後の動向を踏まえた上での動きではないだろうし。
 ▼特に値上げの進捗が遅れていると言われる〇〇地区。『複数のオーナー系有力段メーカーの強い影響力を反映したものか』とはボックスメーカー社長。同社も値上げはしたいのだが、その状況にならなければ動くにも動けないジレンマが依然ある。やはり同じ地区のボックスメーカーは、シートがいつ、どれだけ上がるのか、もちろん戦略上の駆け引きは多分にあるので『なるべく後で、なるべく低く』という選択肢も模索しつつ、『万事、本当に値上げをしたい、もしくは我々(ボックス)にも動いてほしいという空気を(段メーカーから)感じられない。これは今回非常に気になる』とのこと、うーん。(浮)
 
10月7日号
2024-10-21
 ▼『10月から値上げは浸透する』と言い続けた大手段メーカー各社、果たして成果はどうだろうか。進め方によって浸透度合いの差も大きくありそうだ。ここに来て親しい中小やボックス経営者から『少し動きが出てきたようだ』と喜ばしい言葉、『〇円改定で1月1日実施を、10月からアナウンスした』と言う。上げ幅は物流費〇円、人件費〇円、副資材〇円で上がった諸経費に相当する。出だしが早かった地域では『小さな顧客は決まりだしている』まである。
 ▼しかし『大手の持つ顧客が多少上がったとしても、我々クラスは全く上がっていない』も依然多い。”足を引っ張る一貫系”など周りに迷惑を掛けるのだけはやめて欲しいし、”ボックス向けのシートが先か、段メーカーの箱が先か”の議論はいつの時代でもついて回る。大手の中には『グループの中小子会社の方が上げやすかった』もある。今はユーザーに値上げ話を持ち込んでも聞く耳は持つのだから、やるだけやってみよう。
▼『持続的な賃金アップのためには、毎年価格交渉が必要になるのでは』が段ボール業界の現状であり、『原紙値上げの時のような一発値上げでは立ち行かなくなる』(業界関係者)、更に『値上げしなければ会社が無くなってしまう』、と危機感を持つ会社も。皆が大手には『王道を歩いて欲しい』と望むが、真っすぐに王道を進める会社は…。 (山)
 
9月27日号
2024-10-09
 ▼8月27日号のコラムに書いた『昔、冗談で出ていた”機械が先(壊れる)か自分が先(廃業)か”、リーズナブルマシンが出て来なければ冗談では済まなくなるのかも』、意外に反響があった。中小やボックスはもちろんだが、大手企業にしても『グループ企業の設備投資にはお金を掛けにくい』らしい。『更新時期になると、悩むよね』と言いながら『迷うほどメーカーも無いか』と電話で社長は話した。
 ▼西日本のある県で中小段メーカーの新工場が取り沙汰されている。県の総需要量は大きくないが、2社ともに老朽化に伴うものだ。1社はコルゲータも決まったようで、一部新台ユニットを設置するものの中古とのコンビネーションマシンらしい。この県ではもう1社、将来を見据えた計画がありこちらは新台か。『スピードや量を作れるマシンは必要ないんだ』、中小の多くがそう言う。
 ▼8月末の事だが、親しい中小段メーカーから”怒り”のメールがあった。『ここは安値もあまり出ず安定した地域だったが、あるユーザーに一貫□系段メーカーから安値で突っ込まれた』、『値上げしていますは、カモフラージュなのか全く信用ならない』である。それでなくても値上げ当初から『遅い』、『していない』と言われ続けた□系。この時期に中小の仕事にまで手を出すとは…。ますます信用を無くすのは間違いない。 (山)
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