板紙・段ボールから印刷紙器までを網羅した専門新聞社です

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有限会社
日刊板紙段ボール新聞社

東京都文京区湯島4-6-11
湯島ハイタウンA-509号
TEL.03-5689-0121
FAX.03-5689-0120
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板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。

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日​刊​板​紙​段​ボ​ー​ル​新​聞​社​
 

2011段談

 

2011年 段談

2011年 段談
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6月7日付
2011-06-06
 昭和の時代、取材した何社ものボックスメーカーは、大手ユーザーとの取引を誇りにしていた。「○社と付き合いたい、付き合えれば…」と、品質を高め、ようやく出来た時は「本当に嬉しかった」と言う。国際的な大企業を得意先に持つことが、ひとつのステータスになった時代であった。先日、自動車関連メーカーに納品する段メーカーから話を聞いた。「求める品質はピカ一だけど、価格は…」、しかも価格主導権を握られ毎年○%のコストダウンを突き付けられる。これでは体力の限界を超える日もそう遠くはない。
 大手ユーザーと言えば、年初めからグループ企業のHD化等による原紙支給が話題になる。要は、『数をまとめるから安くしろ』だと記者は思っている。「原紙、一貫メーカー、流通、それぞれの思惑が入り雑じり語りつくせない」(大手営業幹部)が、段メーカーからは原紙購買の選択肢が無くなり、「ユーザーが考える以上の、諸々の合理化提案が出来なくなる」との意見も。ユーザー側には「包装材はタダに近ければそれに越したことはない」、こんなとんでもない話もあるらしいが、段ボールが無ければ物は運べない。
 「量は増えたが、利益はあがらず」、これも大手食品メーカーと取引する段メーカーのコメントである。中身はPB商品、同業他社に競り勝ったのはいいが、機械を回すだけになりそうだ。  (山)
 
5月27日付
2011-05-26
 ▼震災後の段ボール生産量、「4、5月といくらか持ち直したものの本格回復にはまだ遠い」(大手段メーカー)。夏場の電力不足の対応から今フル操業に入っている大手ユーザーもあり、一部には「需要の先食いだから」との声も。中小が恐れているのは、数量不足が続くことによる争奪戦。「今は震災の気持ちもあって荒れていないが、量が回復しなければどうなるか」(段メーカーB社長)。
 ▼原紙、段メーカー、ボックス、どこで取材しても口を揃え「原燃料が上がり、コストプッシュ要因ばかり」である。しかし肝心の製品加工賃はどうだろうか。07年から08年にかけ各社の努力で引上げ、数年間は維持・継続したものの、最近の実勢価格を見れば「……」なのだ。「点から線、そして面へと広がった【シートの特値】の影響は、やっぱり大きい」(段メーカーA社)。
 ▼「段ボール会社の利益率は下がる一方、情けないが協力金頼み」(段メーカーC社長)と言った声さえ聞こえて来る。震災で立ち消えになったかのような『古紙価格修正から段原紙値上げ』だが、値上げの炎は消えておらず「段ボール製品との同時値上げを考えれば、10円は必要だ」(流通幹部)。下手に協力金を減らされるよりも、原紙もシートもここまで来れば「案外、同時ならばありなのかも?」(C社長)、こんな意見も一部には存在する。    (山)
 
5月17日付
2011-05-18
 ▼弱含んだ段原紙。「日経市況なんてあって無いようなもの」と誰かが言ったが、こんな時は「そっとしておくもの」(原紙メーカー幹部)。それにしても一部流通の拡販が目立つ。実勢価格は「○円ぐらい」と聞いていたが、他社が驚く価格で「これで…」と段メーカーZへ売り込みに来たそうだ。原紙メーカー、中小含めて忙しそうだが安く売るほど余ってはいないだろうし、古紙から原紙にかけての値上げ話はどこへ行ったのやら。
 ▼「復旧・復興が始まれば段ボールは特需で伸びる」、こう見る人もいるが、どうだろうか。段ボールはリーマンショックでもマイナス10%ぐらい。3月もマイナス1・7%で済んだ。へこみ方はそう大きく無い。つまり増え方だってたいした事はないと思うのが自然だ。『特需』を当て込んで下手に動くよりも、せめて現在の価格を大切にする方がよっぽどいい。
 ▼夏場の電力不足。各産業でどう取り組むか検討中で、段ボール業界でも色々と話し合われている。段ボールの場合は受注産業で計画生産は出来ないし、バラバラに休業すれば動いている工場へ移る事もある。一斉休業が望ましいが、ケースはボックスでも作っている。紙器まで含めればその産業構造は複雑で「紙器業界はコンセンサスが取りにくい」のが現状のよう。当初の目標から15%まで引き下げられたが、どうなるか。     (山)
 
5月7日付
2011-05-06
 16年振りに○さんと一杯やった。実にお元気だった。頭髪はフサフサで雰囲気まで少しも変わりがない。ずっと良い仕事をしてきた結果がにじみ出ているのだ。
 最近は少し疎遠だったが、記者が入社当時は色々お世話になった。可愛がっていただいたI大先輩に紹介されたのが付き合いの始まりで、生意気な若造を鍛えてくれた。何と言っても情報通、驚くニュースを豊富に握っていた。豪快な半面、精細な気配りができるので誰にでも好かれる。それを活かして大手段メーカーから機械業者まで、幅広いネットワークを築きあげていた。
 遊びの手解きも間違いなく○さんである。麻雀、お祭り、田端に浅草、何から何まで。親しい仲間を集めては賑やかに酒を飲んだ。釣りや旅行にもしばしば出掛けた。真冬の網走へ流氷を見に行ったが、この年だけ着岸が2週間も遅れ、凍て付いた網走湖でワカサギを釣った。出発前に駅近くの鮨屋で集めた小遣の半分近くを使ったのもいい想い出だ。
 紙器・段ボール業界、まだまだ伸びていた。仲間の函屋さんにもゆとりがあった。「飲んだ事なんて書くなよ」、こう言われたが、感謝の意味も込めて…。最後に「Iさんに文章が似て来たな」と言われたのがちょっと嬉しかった。
 何だか20年以上前にトリップした気分だ。どうもありがとうございました。   (山)
 
4月27日付
2011-04-25
 ▼『さすが、レンゴー』。4月8日の夕方、大手資材メーカーのAさんが嬉しそうに言った。レンゴーが「宮城県黒川郡に段ボール工場を新設する」と発表したのを読んだからである。同社の仙台工場は仙台新港の近く。大震災による津波の影響をもろに受け、コルゲータから製箱機まで丸一日海水に浸かってしまった。どう再建するのか、近隣には旧・郡山工場もあり、色々取沙汰されていたが、「こんなに早く新工場を打ち出すとは…」、スピーディーな対応策に、思わず「さすが」が飛び出した。
 ▼『2次被害』、テレビや新聞でも諸々の影響が指摘されている。福島・茨城・千葉等で青果物を主力にする段メーカーやボックスもそのひとつ。「保証される農家はいいが…」と、表立って愚痴をこぼせないのは北関東のボックスB社。同社にとって青果物の比率はかなり高いし、原発問題だけに先も見えず困り果てている。
 ▼今後の電力問題も頭痛の種。計画停電では不公平が目立ち、止まらない工場に注文が流れた事例もあったが、今夏の電力不足はその程度ではない。これから組合などで話し合われるのだろうが、「地域で分けたら、取った取られたになってしまう。段ボール、加工業界が同じ曜日に操業停止が一番望ましい」と相当数のメーカーは言う。ユーザー側には、1日や2日程度の納期遅れは理解して頂きたい。   (山)
 
4月17日付
2011-04-15

 家電量販店を覗くと目に付く場所に山ほどあるのが、今注目のiPadなど新型携帯端末。手持ちの携帯電話でさえ使わない機能があるのに、形までまるで違うiPhoneなど触れない。身近でも工学部出身の友人はアナログ派。それに比べ段メーカー顧問のIさんは御歳○で、いとも簡単に最新機材を使いこなしている。この差は何だろう?
 「本を買う楽しみのひとつに装丁がある」こんな人がけっこういる。昔、小紙で出版した「リラクゼーションマップ」も装丁に力を入れデザイナーと綿密に打ち合わせた。紙にはインクの匂いが染み込み、新刊本独特の肌触りもある。刷り上がったばかりの新聞だって同じだ。と、ここでいくら紙媒体の好きな所を書き並べてみても、あの端末に触った時の衝撃には…。実際、ページをめくった感覚に近いものがあるのだから。
 さて本の輸送には多くの段ボール箱が使われている。取次大手の中には段ボール工場さえ有するぐらいだ。この物流に脱段ボール化が進みつつある。既に出版社から取次までは半数がプラコン等で、トーハンは取次から書店までも13年までに全量、プラコンに切り替える予定らしい。一方の大手・日本出版販売でも「現在は微々たる量だが将来、使う可能性はある」という。段ボール箱のネックは、コストと強度のようだ。(山)

 
4月7日付
2011-04-06

 3月19日の土曜日、浜松町から竹芝まで歩いたが、途中で窓ガラスが割れたビル、比較的新しくてもロープが張られ立入禁止のビルが何棟かあった。帰りに立ち寄った東京駅大丸は八重洲通り側の大きなガラスが1枚ひび割れていた。小紙事務所のマンションも、あちこちダメージを受けている。震度5強でこれだから、7や8は想像を絶する。
 それにしても被災地の惨劇には目を覆いたくなる。過酷なまでの試練に耐える東北の人々に頭が下がる。そんな中で、テレビに映し出される子供達の笑顔、前向きな考え行動に救われ、希望、勇気を分けてもらった人達は多い。「安否」の「否」だけではどうしても辛く暗くなってしまう。業界のメディアとして、「安」をもう少し出せればと思う。
 震災後に取材した機械メーカーの会長が、「救援物資を運ぶのはやはり段ボール箱」、「使い終われば避難所の間仕切りや床に敷いて使える」等など、あらゆる所で役立っている段ボールを見て「嬉しく、誇りに思った」と語っていたが、同じ様に思う人はたくさんいる。
 製紙、段ボール、ボックス、機械、関連会社を始め、海外の同業、関係会社からも義援金、物資がどんどん寄せられている。被災した機械の修理を部品代だけで行う機械、機器メーカーは何社もある。小紙も自分達で出来る事を、精一杯やりたい。     (山)
 

 心配された段原紙の供給。取材した中小段メーカーは、みな「問題なく入ってきている」と言う。ただし、今まで原紙の買い方に問題ある会社(製品販売でも)では、困っている話を聞く。例えば○。ここでは原紙が滞り、シートの供給にも問題が出始めている。○の得意先であるボックスも他の段メーカーX社へ「入れて欲しい」と依頼したが、何せシート価格が△円。X社長「□円以上でないと出来ません」ときっぱり断ったと言う。原紙はもちろんだが、シートにしてもそう。普段からの取引姿勢で、非常時に差が出るのは当然かも。   (山口)
 

 
3月27日付
2011-03-24
 東日本を襲った巨大地震。津波に飲み込まれた市街地、転がる大きな船舶は想像を絶する。事務所の古いマンションは窓がひび割れ、棚が倒れた程度だが、それでも[倒壊]が頭を過った。1週間後の今でも、テレビ映像を見るだけで動悸がする。大手段メーカーの仙台工場、他いくつもの工場が津波や火災で大きなダメージを受けた。被災者の悲しみ、苦しみは筆舌に尽しがたく、東北地方のボックス、関連会社、勤務する方々の被害状況も明らかになってきた。一刻も早く立ち直って欲しい。未だ行方が分からない方々の無事を、祈らずにはいられません。  (山口)

 地震後の月曜日、いつもより早く家を出ると、電車が止まっていた。動いている路線が乗り入れる駅へと急いだが、駅の外まで人が溢れホームにあがれない。ようやく乗った電車は息も出来ないほど押し込まれ、立ったまま意識を失った女性も。普段は絶対に乗らない満員電車でも、被災地の悲劇が頭に浮かぶ。
 それほど強烈な巨大地震だった。午後になって、段メーカーの社長と話した。幸いそこは大きな被害は無かったが、「計画停電で、きちんと生産できないかもしれない」、たとえ作れても「道路が遮断され運べない」「得意先が受け入れられない」。「自分達に出来ることをしておかなければ」で電話を切った。
 火曜日、メールで大手段メーカーの社員が自宅で津波にあい、今だに連絡が取れないとあった。その工場では不幸も無くほっとした矢先のことだった。大手複数の仙台工場、中小段メーカー、ボックス工場が津波や地震で大きな被害を受けたが、「仲間に連絡したくても…」(ボックス社長)など、まだまだ被害が増えそうでぞっとする。
 茨城県内のボックス経営者は「機械が曲がった程度、すでに修理してもらった」と言うが、軽油が売り切れではケースが運べない。1時間待ってようやく入れられたそうだ。都内も車は異常に少ない。窓の外の道路はいつもよりだいぶ空いている。いつもは賑わう上野駅ナカのレストラン街も、開店休業状態だった。
 水曜日、携帯で話した段メーカーでは本社ビルの外壁がはがれ落ちていた。社員にけが人は出なかったが、計画停電が実施される予定時間になるとマシントラブルを避けるため機械を止めるが、それで生産に支障を来し納期が遅れると「作れないのならばよそで」なんてひどい客先もあると言う。重油を使用する段ボール工場では、「コルゲータの重油が2日しか無い。何時入るかも判らない」、しかも「油屋でもいつ入るか分からない状態」で「今後、原発があんな状態では火力発電に回され、民間工場はどうなるのか」。製紙工場も被災し、原紙の供給にも影響が出るだろう。一刻も早い回復を願わずにはいられない。(山口)
 
3月17日付
2011-03-15
 問題視されているシートの特値。その現状を「数が多いから」と表現した経営者がいる。もちろん仲間が減る事を望んでいるのでは無く、他人の縄張りに手を突っ込む会社が増えている事に嫌気が差したのかもしれない。過去、板紙業界は群雄割拠、勇ましい経営者も多かった。形振り構わぬ営業で市況は乱高下を繰り返し、経営は弱体化。それが大手一貫に集約され、強いリーダーシップもあって、製紙業界の優等生に変身した。段ボール業界も良い方向へ進んでいるはずなのに…。「10人が10人同じ方向を向く訳がない。ひとりや2人はそっぽを向く」(大手段メーカー)とは言うものの、「身勝手な経営者が増えてきた」(中小段メーカー)のが実態だ。
 営業マンの質、教育不足を指摘する段メーカー管理職もいる。例えば得意先で値引きを要請された場合、交渉能力があるのにきちんとネゴせず、安易に値下げしてしまうことがあると言う。他社が安値で競り込んで来たのか、数量や他の仕事を増やしてもらうなど何らかの手立ては無かったのか。色々調べ考えた末の結果、値下げしか対処法が無いのなら仕方はないが、ユーザーから言われたままにあっさりと下げる事例が結構ある、と見ているのだ。営業マンの質、「大手でも企業間の差は大きい」(中堅段メーカー)のだから、中小、ボックスは徹底して鍛え上げねばなるまい。(山)
 
3月7日付
2011-03-08
 段メーカーA社長から送られてきたメールに面白いコラムが添付されていた。『牛丼のジレンマ なぜ低価格戦争が終わらないのか』だ。『囚人のジレンマ』に例えた説明から始まり、牛丼の値下げ合戦により牛丼業界は売上げがアップするが、ファミレスや他のファストフード等は顧客を奪われ、外食産業全体が疲弊するというもの。「市場に任せておいたら悪い方に物事が進む破滅のメカニズムが、外食市場全体を支配していること自体が問題」と結んでいた。
 すき屋、松屋、吉野家、大手3社の客単価、顧客数、売上高など詳しいデータから業界全体を分析してあったが、まだこの業界はいち早く一番安く売れば客数が伸びて儲かり、業界全体でも僅かだが総売上高は増えている。何となく我が業界と似ているようだけど、A社長曰く「段ボールはいくら値下げしても、もう総需要が伸びない。この業界で値下げする意味はない」。
 一方、ある大手幹部は「行き過ぎたからなのか九州、関西では特値が減ってきた」と言う。本当ならば幸いだけど、関東圏のシート価格差は間違いなく広がっている。2月までは数量がまあまあだし、明るい見通しも無くはないが、原材料がますます強含む中で製品価格のジリ貧だけは避けなければならない。「今、是正しておかないと」では、各社一致しているのだから、後は行動あるのみだ。      (山)
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