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有限会社
日刊板紙段ボール新聞社

東京都文京区湯島4-6-11
湯島ハイタウンA-509号
TEL.03-5689-0121
FAX.03-5689-0120
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板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。

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日​刊​板​紙​段​ボ​ー​ル​新​聞​社​
 

過去のインタビュー【2】

 

過去のインタビュー【2】

過去のインタビュー【2】
 
クラウン・パッケージ・佐光恵蔵社長(3月27日)
2010-03-29

 世界的不況の影響を受けて多くが苦戦する中、?クラウン・パッケージは、主力のマイクロフルート(F段・G段)の生産量を伸ばしている。佐光恵藏社長は要因として「100年に1度の経済危機は、100年に1度の大チャンス」とのスタンスで臨み、新たな市場、顧客の開拓に成功した点を挙げる。今後も段ボール業界を取り巻く環境は厳しさを増すと予想されるが「マイクロフルートに生き残りを賭ける」と一層の強化を図る。佐光社長に昨年来の取り組みを振り返ってもらうとともに、商品開発や設備投資の方向性、内装業界の将来について聞いた。

 ●世界的不況といわれた、この1年を振り返りいかがですか
 当社も御多分にもれず、08年10月以降、受注量は急激に落ち込んだ。対抗策として「例え受注量が10%減少しても利益を出せる体質に」との号令のもと、体質改善に着手した。リストラは行っていないが、自然退社に対する補充はパート・アルバイトを含めて控えるなどスリム化を図った。
 加えて、不況以前から活動していた全社製造統括部が、難局を乗り越える大きな力となった。全社製造部門の監査及び問題抽出が主な役割だが、若手社員の意見を取り入れている点が特長だ。
 従来、入社3、4年の仕事に慣れて技術も身に付く時期に、仕事内容や対人関係を理由に辞職することが少なくなかったが、飛躍的に改善した。結果として、製造時間短縮やロス削減など生産効率が向上し、固定費も削減できた。
 また、30代の事業所長が最たる例だが、若手社員を積極的に現場リーダーへと抜擢している。若手に一任することで、コミュニケーションが円滑になった。無論、若ければ良いわけではないが、固定概念がなく既存の悪習を払拭し、どんどん改革を進める推進力がある。ベテラン社員にも良い刺激となっており、全体の底上げにつながっている。 
 ●営業面ではどのような対応を
 100年に1度といわれる経済危機の中で、開口一番社員に伝えたのは、「100年に1度の経済危機は、100年に1度の大チャンス」ということ。通常、商品が売れている時はパッケージの見直しはあまり行われない。販売が不振の時こそ、打開策として大幅な見直しを検討するものだ。
 当社の場合、マイクロフルートを切り口に、マーケットの創造と新規顧客の開拓を強力に推し進めたことで、昨年はマイクロフルートの生産量が前年比20%程増加した。E、B段が苦戦する中、全体でも前年並みに収まっており、なんとか成功したとみている。現状、マイクロフルートの生産比率は3割程度だが、ウェイトが大きければ、より大幅な成長が可能だっただろう。まだまだ潜在需要はある。
 ●この間の市況についてはいかがですか
 昨年4月の原紙値下げ相当分の価格修正以降、目立った動きはなかったが、昨秋頃からパッケージも若干デフレ傾向が見受けられる。現状、生産量と売上が比例しなくなってきており、加工効率を上げることで、売上単価下落を吸収している。 
 生産量が飛躍的に増加する見込みはなく、製紙メーカーも価格を維持したいと考えているだろう。原料単価が下がらないうちは製品単価を下げたくないというのが本音だが、市況如何で柔軟に対応せざるを得ない局面も訪れるかもしれない。
 ●価格メリットという面では、輸入原紙が注目されています
 最近随分と取り上げられているが、当社では以前から採用している。ただ量は決して多くない。価格はそれなりだが、品質保証や納期など様々な問題があり量を増やすのは危険だと認識している。
 基本は中しんやジュートライナで、特殊な原紙では怖くて入れられない。今後も現状維持と考えている。
 ●ヤシカサや茶殻を利用したパッケージやディスプレイ兼用輸送箱など、マイクロフルートの特色を活かした独自色の強い製品を発売しています。開発の方向性は
 従来は、贈答用パッケージをメインに製造していたこともあり見栄え重視だったが、今後はエコロジーも重要な要素となる。エコロジーを全面に出した商品でないとユーザーもなかなか認知してくれないだろう。
 パッケージメーカーがCO2削減に貢献できることとして軽量化や薄物化が挙げられるが、もうひとつ、当社では食物残渣(ざんさ)を紙の素材として活用する開発を強化している。木材パルプ自体は環境に悪いわけではなく、サステナブルな素材であるが、従来有効活用されずにいたものを利用することで木材パルプ使用量が減ることは、エコロジーの観点からも受け入れられると考えている。
 現在、ヤシカサを利用した「パームヤシックス」、「茶殻入りパッケージ」、「笹入りパッケージ」が3本柱だが、様々なユーザーに使用していただけるよう更にラインアップを増やしていく。エコロジーをユーザーに提供し、ユーザーが一般消費者にエコロジーに貢献している会社であるとアピールしてもらえれば、「WIN・WIN」の関係で、互いに成長できる。
 分り易く言えば、ディスプレイ兼用輸送箱である「バリットボックス」は、欧米でシェルフレディパッケージとしてすでに定着しており、将来的に日本でも普及すると考えている。ユーザーへの提案とともに、「スーパーマーケット・トレードショー2010」にパッケージメーカーで唯一参加するなど、流通業界への認知を図っている。 
 内箱と外箱がワンタッチで剥れる点が特徴であるが、ディスプレイ兼用輸送箱というコンセプトはそのままに、全く新しい形状の開発を進めている。既にサンプルは完成しており、今後の展開には期待している。
 ●現在コルゲータは全国に11台。増設もしくは集約をお考えですか。また手薄な地域での工場新設の計画は
 コルゲータは地域によって不足気味の所もあるが、2直にするなど生産体制の変更で補っていく。工場に関しては、これ以上、増やすメリットは国内では少ないと考えている。リスクも大きく、固定費もかかる。
 現時点では営業所の新設が最優先事項だ。やはりパッケージは地域密着型でないと受注に結びつかない。東北、中部、九州には出張所も含め、あと1、2カ所は必要だと考えている
 ●市場が縮小する中、内装分野の生産能力は過剰気味との声もあります。内装段ボール業界をどう見ていますか
 内装に限らず、段ボール全体で捉えても供給過剰だろう。製紙メーカーは相当の血を流し集約を進めた結果、上位4社が7割強のシェアを占めている。流通も同様だ。次は段ボールの淘汰、集約が進むだろう。
 現在の所、当社では買収などは計画にないが、内装メーカーも企画・販売力がなければ、自然淘汰が進むのではないか。近年、大手外装メーカーも内装分野に領域を拡大しており、小規模メーカーが吸収されることも当然あり得るだろう。
 当社はE、B段だけでは勝負できないとの判断のもと、マイクロフルートに今後の生き残りを賭けていく方針だ。過去に高い授業料を払ったこともあり、マイクロフルート格差を付けず、E、B段と同価格で販売しても採算がとれる体制を構築している。「マイクロフルートといえばクラウン・パッケージ、クラウン・パッケージといえばマイクロフルート」というレベルまで特化していく。

 
王子板紙・安藤温社長(3月17日)
2010-03-18
 景気後退の影響にとどまらず、活字媒体の変化や輸入紙の伸長も相まって洋紙需要が大きく減退する中、今や板紙・段ボールが王子製紙グループの柱といっても決して過言ではない。安藤温王子板紙社長は、「かつて洋紙で蓄えた資金で事業を再編・充実させてもらった。今は我々が頑張らなければ」と述べ、更なる充実を期する。輸入紙に対する見解と対抗策、工場統廃合の計画や原紙価格の動向等について聞いた。

 ●貴社の現状は
 業界全体では昨年4〜12月が前年比10%程度の減少、当社もほぼ同様です。過去3回の値上げの際に若干シェアを落としたので、多少なりとも戻したいと思いますが、なかなか難しいですね。
 昨年1〜3月の落ち込みは前年比15%以上と非常に厳しいものでしたが、輸出関連の自動車、電気・機械も生産・在庫調整が進み、海外の景気回復も相まって、一時よりは良くなっています。今年の段ボールの需要予測も改善の兆しが見受けられ、期待しています。
 ●今年の予想は 
 薄物化が平米あたり5〜6?進むでしょう。輸入紙も昨年10〜12月の水準、1万5千?前後は想定しておいた方が良いと思います。そうなると前年比微増が妥当なところです。
 ●輸入紙をどのように捉えていますか
 国内原紙に優位性のあることは、段ボールメーカーさんは良く分っておられると思います。
 ●段メーカーは主食ではないにしても、ひとつのアイテムとして捉えている面はあります
 エンドユーザーさんに対する提案や自社のコストダウン対策といった面での選択肢であることは確かです。
 しかし、加工適正や品質の保証、デリバリ等、現状ではリスクの方が価格メリットより大きいのではと思います。
 一貫メーカーは原紙と加工があっての一貫ですから、出来るだけ自社原紙で対抗出来るよう色々と考える事になります。
 ●洋紙では輸入紙が浸透しています
 洋紙は既にコート紙で15%程度が輸入紙。洋紙はコンバータでも大日本印刷、凸版印刷は規模で製紙より大きく、力があることに加え、加工工程も印刷だけで単純なため、日本の抄紙技術をもっても輸入紙と品質差を出しにくく、価格差がクローズアップされがちです。
 一方、段ボールでは加工業界をリードするのがレンゴーや王子で一貫メーカーですから、一定の抑止力になっています。
 長所・短所を良くエンドユーザーさんに説明した上で輸入紙が採用されるなら仕方ありませんが、良いところ取りだけで提案、採用されて国内メーカーがそれと価格条件で競わされるようなことになるのではたまりません。
 エンドユーザーさんは輸入紙を使用すればメリットを享受出来る、また国内メーカーと競わせることが出来ると考えて、段ボールメーカーに使用を働きかけているようです。
 そういう意味では一貫メーカーが主体的に国産の良さをアピールし、また積極的に輸入紙を良く観察し、負けない対策を講じる必要があります。
 将来はアジアのマーケットは一体化が進むでしょうから、日本の市場を守るためには、輸入紙に対し価格を含め、全ての面で強い競争力を持たなければいけないと思っています。
 ●輸入紙は薄物化に対応しています。貴社も今後薄物化を推進していくことになりますか
 ライナは大半の工場で120?まで抄ける体制になっています。中しんは同じく100?まで可能です。
 ただし、加工工程や実際の段ボールとしての使用では確認作業が必要ですから、お客様との間で用途確認や切り替え時のテストなど手順を踏みながら進める必要があります。
 ●対抗するための方向性は
 まずは輸入紙の長所・短所を良く知ることです。そのためには継続的に観察することが重要です。
 外観、品質の安定性や高速貼合の適性は輸入紙と較べ優っているところですから、これにデリバリや保証といった輸入紙がなかなか追いつけない面での磨きをかけ、国産の優位性を高め、同時にコスト競争力も一段と強めることが出来れば十分に対抗出来ると考えています。
 輸入紙に対しては用心し過ぎるという位の問題意識を持ってのぞむことが必要と考えています。杞憂に終われば良いのですが、対応が遅れた時に臍を噛むのは自分です。洋紙の経験も生かさなければなりません。
 ●工場の統廃合は将来的な計画にありますか
 マーケットとの兼ね合いで判断しなければなりません。昨年の稼働率は80%程度です。採算ラインを考慮し各社が自制することで秩序が保たれています。
 今後、輸入紙と競合し収益が圧縮されることがあれば、現在の稼働率でも成り立たない事態に陥る可能性はあります。その時に価格競争をしては何も残りません。需要に見合った生産体制が必要です。1社1工場では存続自体が検討対象になるでしょうし、当社のように工場、マシンを多く持っている会社はその中で生産体制を見直すことが必要になるでしょう。また数社で共同で生産体制を見直すといったことも出て来るのではとも思います。
 ●価格面の見通しについては
 昨年末あたりから輸出古紙価格は総じて強含みで、好調な中国経済から今後もこの傾向は変わらないと見ています。
 エネルギーや薬品関係も国際的に買いが強く、上げ基調で製紙メーカーのコストは上がって来ており、段ボールメーカーさんから価格は下がらないのかという声も聞きますが、価格は維持しなければという強い動機になっていると感じています。
 ●国内古紙価格の上方修正も近いのでは
 段ボール古紙は国内価格と輸出価格の差がほとんどありません。新聞古紙、雑誌古紙に至っては、完全に逆転し、輸出価格の方が高い状態です。
 昨年4月以降、輸出価格に拘わらず、段ボール古紙は?15円を維持しています。新聞古紙?13円、雑誌古紙?11円とのバランスからみても高いと言えます。
 王子製紙では、新聞古紙を上げないために、パルプの増配を計画しています。パルプは新聞古紙よりコスト高ですが、古紙価格を上げるよりは良いとの判断です。新聞古紙の使用量を減らし、浮いた分は白板などに使用したいと考えています。 
 雑誌古紙も従来ジュートライナや中しんで、一部使用していましたが、現在は全て段ボール古紙に切り替えて、浮いた分を白板に使用しています。
 ●板紙と段ボールを比較した場合、利益が板紙の方に偏り過ぎているという見方もあります
 利益が板紙に偏り過ぎているとの声があるとの指摘ですが、板紙は過去大変な過当競争で苦労し、業界再編、数度の価格改定の実現により、今の安定した収益体質を作って来ました。それでも08年上期の経常は当社で1%台です。
 その後の値上げと価格の維持で収益が確保出来ているのですから、それが段ボールのそれと較べ、多過ぎると言われても正直戸惑ってしまう面もあります。
 段ボールも大変なのはわかりますが、お客様から適正な利益をいただく事にもっとエネルギーを集中出来ないものでしょうか。
 ●王子製紙グループの柱は板紙と段ボールになりつつあります
 洋紙の需要減には景気後退だけでなく、広告宣伝媒体の変化や活字離れ等構造変化要因も大きく、国内では板紙とその加工(段ボール、紙器)や機能材、家庭紙をより充実させる方向に進むでしょう。
 かつて洋紙事業で蓄えた資金で板紙や段ボール事業を再編、充実させてもらっているのですから、今は我々が頑張らなければと思っています。
 
サントリーHD・前川惠士包材開発部長(3月7日)
2010-03-08
 サントリーホールホールディングスは、包装資材の環境対応を推進している。前川惠士サントリービジネスエキスパートSCM本部包材開発部部長は段ボールについて「極端な低坪量化は難しいが、新技術採用で強度アップを図り軽量化を進める」とする。輸入紙に関しては「上手く利用することで、環境にも貢献できる」と評価した。前川部長に話を聞いた。

 ●段ボールの環境対応について、いかがですか
 当社グループ全体では2012年に、ライフサイクルアセスメント(LCA)ベースで07年比20%CO2排出量を削減する目標を掲げている。包装資材は全CO2排出量に占める割合が35%と最も高く、積極的な取り組みが求められる。
 35%のうち段ボールのCO2排出量は7%程度。リサイクル率が高いこともあって、缶やペットボトルといった容器と比べ割合は低いが、全体目標を達成する上で改善は必要だ。
 ●具体的にはどのような取り組みを
 段ボールは長い歴史を持つ成熟した包装材で、大幅な改善は難しい面もあるだろう。従来から、「軽薄短小」をコンセプトに原紙の低坪量化を推進しているが、限界に近づいている。流通段階での荷崩れなどのリスクを考慮すると、これ以上極端な低坪量化は難しい。
 現在は新技術によって、強度アップを図りつつ、低坪量化する方向で取り組んでいる。昨年12月から280??ペットボトル等で、段ボールケースの角を面取し強度を確保した上で、更なる低坪量化を図っている。面取り部分のシート使用量削減と原紙の薄物化によって従来比で約15%の軽量化を達成した。
 ●AFからCFへの変更も
 昨年から採用している。CF導入も一定強度を保持しつつ、中しん使用量削減や輸送効率向上などが可能なことから、今後も導入を計画している。
 ただ、全てのサプライヤが積極的に推進しているわけではないのが実状だろう。あくまでもサプライヤと「WIN・WIN」の関係で取り組むことが基本となるので、各サプライヤの提案を重視したい。
 ●昨年、九州地区でペットボトルの包装を段ボールから樹脂フィルムによるシュリンク包装に変更しました
 43万ケースで採用した。九州工場で製造する2?ミネラルウォーターの約25%にあたる。LCAベースで従来の段ボールと比べCO2排出量を半減できるとあって、非常に大きなインパクトがある。
 当初は流通段階でのフィルム破損や、積載制限への戸惑いなど課題もあったが、流通と協力し改善を進めており、概ね高い評価をいただいている。今年の夏頃には関東地区など東日本でも導入する予定で、現在準備を進めている。
 ●今月から国内最軽量の2?ペットボトル(36?)を導入します。製品保護のために段ボールを厚くする必要があるのでは
 確かに以前はそういうこともあったが、今回技術革新によって、ペットボトルの強度を保持したまま薄物化に成功した。ペットボトルと段ボールの薄物化は両立が可能だ。
 ●輸入紙はコストメリットに加え、原紙の薄物にも十分対応すると言われています
 一昨年導入したばかりで、現時点ではごく少量であるが、早い時期に一定量まで増やす計画だ。
 バージンパルプの含有量が多いことに加え、国産よりも薄い原紙の生産に対応する設備を導入したメーカーもある。臭いや異物混入などお客様にご迷惑をかけないかという観点でも現在評価検討している段階だ。上手く利用することで、環境にも貢献できると認識しており、積極的に対応していきたい。
 ●地産地消の方が輸送時のCO2排出量などを考慮すると、環境負荷が低い気もしますが
 輸入紙と国産を比較した場合の明確なLCAを算出する計算式がまだ整っておらず何とも言えない。
 ただ、総合的な判断として、地産地消でコスト競争力もあるならばその方向で収れんしていくであろうが古紙が輸出され段ボールとして帰ってくる等、現在必ずしもそうではない流れも生じており、輸入紙も幅広く評価をおこなう必要がある。
 ●単純なコスト削減策には当たらないかもしれませんが、08年に開始した貴社をはじめとした飲料・食品大手6社による原紙共同購入の現状については
 重要なスキームとして十分に機能を果たしている。今後は範囲を拡大できればと考えている。
 ●安価なPB商品が台頭しています。迎え撃つNB商品も包装材を含め「環境対応=コスト削減」が、より求められるのでは
 NBはただ単にコスト削減だけを追い求めているのではなく、同時に魅力あるパッケージであることも重要だ。先に触れた最軽量の2?ペットボトルも単純な軽量化ではなく、顧客へのデザインによるアピールはもちろん、ユニバーサル・デザインの観点から持ちやすい形状を採用するなど、マーケティング面も重視している。 
 環境対応は設備投資が必要な場合も多い。仮に現在は割に合わないとしても、環境にとって大きな意味があるならば今やらなければならないという長期的な判断も必要だろう。
 
タナベインターナショナル・張春華社長(2月27日)
2010-02-26
 再建から丸3年を迎える?タナベインターナショナル。昨年は?菅野製作所を傘下に収め、業界再編を視野に入れた「紙工機械のデパート化」を推進している。張春華社長は「菅野との共同開発によって、従来できなかったことも可能となった。段ボール用オートンも近く発表する」とし、グルアの開発にも注力する。開発状況や今度の展開等について、張春華社長と小崎享取締役に聞いた。

 ●現状は
 タナベインターナショナルとなって今年3月で丸3年。再建から一年ほどは現場環境の改革など苦労もあったが、現在では概ね計画通り進んでいる。菅野製作所はまだ半年ほどだが、すでにノウハウは構築しており、タナベより滑り出しは順調だ。
 ●昨年度の売上は
対前年比で、2割減くらいだろう。従業員は2社で約50名、ひとり頭3千万円を目標としているが、一昨年度までは概ね好調だった。昨年度は、円高の影響で落ち込んでいる部分もあるが、タンデムフィーダーの受注や改造等で工場を一日も止めずに稼働できた。
 ●菅野を新たに加えました
 買収劇という見方もあったようだが、タナベの株主であるファンドとして単に利益やリターンを望むのであれば、安い土地や株を購入した方が手早く、より確実だろう。しかし、株主側は日本に必要な企業、大切な宝と判断し、資金を提供して菅野をグループ化した。タナベ製のグルアは、350から3300?まで広範囲に対応するが、実質的な強みは850以上で、それ以下であれば菅野はずば抜けている。
最近では、タンデムフィーダーを使用しているユーザーから要求された紙厚に対し、半分近い薄さまで実現するなど、これまでのタナベだけではできなかったことが可能となっている。
 ●菅野の打抜機が新たに加わりましたが、全体の戦略は
 グルアで解決できない問題は、打抜きの段階で解決しなくてはならず、その重要性は3年間で痛感しており、打抜機を商品ラインナップに加えることは念願であった。
 菅野製の打抜機「オートン」は、潜水艦のパーツも手掛ける世界的メーカーの部品を使用するなど、最高レベルといえる機構を持っており、静かで力強い。最先端のアプリケーションも搭載している。
 最近は台湾製を販売しているイメージもあるようだが、オートンは現在でも造っている。タナベ機と同様に、ニーズによって若干リーズナブルなタイプもあるということだ。
 ●菅野は紙器用の平盤です。段ボール用も開発するのですか
そうだ。今後は、両社の共同開発で、段ボール用のオートンも手掛けていく。
 ●タナベ再建時、ファンドが経営することへの抵抗もありましたが
 多少はあったかも知れない。旧タナベには見学に来た欧米のお客様が到底理解できないような、古き慣習も当初はあった。しかし、それほど多くの修正は要さなかった。残してくれた貴重な技術・ノウハウがあったので、これを大切にしようという旗印には大半が賛同してくれた。現在では同じ方向へ、団結して進んでいる。ファンドは、いつまでもいる訳ではないので、最終的に従業員の自立を推奨している。
 ●ファンドの期限が2014年です。当初は50億円企業を目指すということでしたが
 現段階では、まだ足りない。ニーズは十分あると確信しているので、まったく不可能なことではないだろう。一番の目的は業界再編だが、こちらも並行していく。
 ●「紙工機械のデパート」化には、印刷機も必要です
 目標として、総合紙工機械メーカーを宣言しているが、現実には相手があってのことなので、攻めるスタンスでもなく常に自然体でいる。ただ、業界の元気がなくなってしまう前に、できるだけ早く実現したい。再編は資源の有効活用や、開発の重複防止など、お客様も望んでいることなので、何年かかろうがやらねばならない。
 ●2社が今後、ひとつの会社になる可能性は
 あり得るだろうが、まだ検討中だ。すでに本社工場で両社ともに作業しているので、会社が2つある必要があるのか、メリットとデメリットを比較しながら分析している。ただ、いくら業界再編といってもブランドは永遠にお客様の財産なので、そこを変に扱うつもりはない。タナベと菅野のブランドはどちらも残す。
 ●今春開催する内覧会ですが、目玉は
 今回の内覧会は「タナベと菅野の共同開発」という明確なテーマがあり、両社の特長を併せ持ったグルアを発表する。技術提携の話があった時点で、菅野サイドから提案があり、それが今回実現する。今後も春と秋の年2回、内覧会を開催する予定だ。
 ●海外向けには
 我々の強みはグローバル展開であり、現在では売上の割合を地域別で見ると、日本国内が売上全体の2/3で、海外は1/3だ。欧州がメインだが、中国での導入も進んでおり海外部門全体の1割を占める。今後海外向けの売上比率が増えていくだろう。
中国にもグルアはあるが、弊社製とは価格、性能ともに比べ物にならないレベル差で、中国で開催した内覧会では「見た事もないマシンだ」と招待したユーザーが驚いていた。今後は販売とあわせて、セミナー等を通じて性能をアピールするなど教育、指導にも一層注力する。
タナベの製箱機は、これまで世界中のユーザーから育てていただき改良や改造を重ねてきたマシンで、お客様のニーズやメリットに合った機械構成である。今後もタナベ品質維持と最適地生産の実現のために「Made ?by? Japan」をコンセプトに、世界中のネットワークを活用する。これは菅野においても同様だ。
 
駿興製紙・兼子裕章社長(2月7日)
2010-02-05
 薄物ジュートライナの先駆け的存在である駿興製紙?(静岡市清水区)。大手古紙問屋・兼子グループの一員で、良質な古紙を調達し易い環境と、長年のノウハウを活かし事業を展開している。昨年来、大手段ボールメーカーを中心とした薄物化推進の動きについて、兼子裕章社長は「短期的にはマイナスだが、長期的にはユーザーへの認知拡大なども期待できる」と分析。今後は更なる薄物化を図るとともに、製袋分野の開拓を目指す意向だ。兼子社長に話を聞いた。

●薄物ジュートライナの先駆け的存在です
 元々、内装ライナ130〜140?が中心。長年に渡りノウハウを構築しており、取り組みやすかった。加えて原料も調達しやすい環境にある。
 将来的に、内装ライナも先細りである。そこで、外装ジュートライナレベルに規格を変更するかたちで製造したのが、「ラップライナー」だった。文字通り、ラップアラウンド用を想定し開発した。現在、ラップアラウンド用途はほとんどないが、環境性やコスト効率の観点から、薄物が注目されている中で、使用いただいている。
 ●強度は問題ないですか
 JIS規格に120?のジュートライナはないが、「比破裂強さ」など規格に沿って対応しており問題ない。「破裂強さ」を考えると、当然厚い方が強いが、「比破裂強さ」は薄いものが若干強い。
 当社では120〜160?まで10?刻みでラインナップしており、仮に120?では薄いとなれば、140?を提案するなど柔軟に対応できる。コンバータも最終的には、ユーザーに対して説明が必要で、単に薄くということでは受け入れてもらえない。
 ●コストメリットは
 基本的に安く販売したいわけではないが、単純に考えて160?から120?に変更すると、ライナ幅が4分の3になるのと同様だ。中しん価格にもよるが、そういう意味では大きい。
 ●印刷適性は
 薄さは、直接関係ないが、当社のマシンは、ヤンキードライヤ方式で、非常に光沢があり、印刷適性の高い紙が製造できる。その辺を評価していただいている。
 ●主な用途は
 一番多いのは美粧段ボール関係の裏ライナが多い。あとは菓子類や家庭用紙の外装箱など中身自体が軽量の場合、逆に缶や瓶など中身の強度が高い分野で採用が進んでいる。
 ●内装ライナも含めた生産量及び得意先の数は
 月2千?程度で、年間2万5千?。短期的には、量的拡大は考えていない。より利益を追求したい。
 関東地区を中心に顧客は40〜50社程度。美粧系や独立系段メーカーが多い。また、系列でも工場立地などによっては購入いただいている。
 ●大手古紙問屋の?兼子グループの一員です  
 兼子は良質な古紙を提供する問屋として評価が高く、グループ内にあることはメリットだ。現在もそうだが、上物にはタイト感があるので、その調達が比較的容易な点はメリットとなる。近隣にあり、補充など迅速な対応が可能だ。ただ、グループだが、財布は違うので、価格で大きなメリットがあるわけではない。
 ●昨年来、大手段ボールメーカーが、薄物化を進めています
 短期的にはマイナスだが、長期的にみればプラスに働くだろう。薄物に対応するために、マシンを改造されただろうが、生産効率が落ちる。そういう観点では、当社の方は、同じ120?を製造するにしても有利だ。小ロットへの対応力も高い。
 また、我々だけだと製品の認知にも限界がある。段ボールメーカーには知っていただいているが、ユーザーにも広く認知していただける。当社に対しても、従来取引がなかったお客様からの引合いもいただいている。今後それが量に結びついてくれればと期待している。
 ただ、価格面では、当社の顧客にも売り込みが来るだろうから、顧客の選択肢が増えると言う意味では危機感はある。価格交渉の際に引合いにされることは考えられる。
 薄物が一般的になれば、価格面は弱くなってしまう。現状、特別な紙から普通の紙に成りつつある。今後は、その傾向は更に顕著になるだろう。
 ●輸入原紙も注目されています
 円高の影響もあり、価格面は、輸入紙と比べ国産紙は弱い。加えて薄物化にも対応するなら怖さはある。戦略的に、コンバータではなく、ユーザーへの提案を進めているとのことだが、そうなれば価格面が大きくものを言うだろう。
 ●ここ10年で原紙業界は再編が進みました
 これまでは同じ製紙メーカーといっても当社は違うと楽観視していたところもあったが、大手が120?のライナの製造を開始したことで危機感はある。
 業界自体は難しい局面ではあると思う。今後も薄物化は進展する。そういう意味で貼合量は同様であっても原紙使用量は減少する。景気が回復しても、原紙が厚くなることはないだろう。
 ●他社との提携などはお考えですか。薄物のノウハウを欲しいというメーカーも少なくないと思いますが
 現状、具体的には考えていない。兼子グループで、当社の意向だけで動くことはない。ただ、「協力しましょう」という提案があれば、柔軟に対応していくつもりだ。
 ●今後の方針は
 更なる薄物化と段ボール分野以外の開拓だ。薄いものでも品質や価格は保つ方向性で考えている。強度を保ち、薄くする。そうすれば、コンバータも営業しやすいし、ユーザーも購入しやすいだろう。
 新規分野では、製袋分野を強化する。現在120?の製袋用クラフト紙を製造しているが、まずは100?の実用化を急ぎたい。それが軌道に乗ったら、段ボールにも拡充できればと考えている。
 ●製袋市場は、まだまだ開拓の余地が
 あると思う。クラフト紙も環境性の面から、古紙使用率が高ければ、他社と差別化できる。品質は、ライナよりもクラフトの方が厳しい。品質向上のための設備投資も計画している。現状は量ベースで5〜6%なので、2割から3割、できれば4割程度に持っていきたい。                         
 
栗原紙材・栗原正雄社長(10年1月27日)
2010-01-21

 昨年は、古紙輸出量が大幅に増加した。09年1〜10月時点で420万?と、既に過去最高を更新している。特に、中国の内需拡大に伴い白板の原料となる新聞古紙、雑誌古紙の引きが強く、価格も年後半以降、強含みで推移する。栗原紙材?の栗原正雄社長(全国製紙原料商工組合連合会理事長)に、昨年を振り返ってもらうとともに、今年の古紙動向について聞いた。(インタビューは昨年12月)


  ●昨年(09年)の古紙動向を振り返って、いかがですか
 まず一昨年末、世界同時不況の影響による需要減と、古紙の最大発生月が重なり、問屋サイドの在庫が70万?、メーカーサイドは98万?と、限界在庫まで達した。古紙再生促進センターでも、緊急備蓄を実施。なんとか乗り越え、古紙のゴミ化を防ぐことができた。09年1月以降は、古紙の発生が急激に減少。国内製紙メーカーは操短し、在庫を絞った。
 一方、国際マーケットは中国の復調もあり、徐々に回復に向かった。結局、年間を通して輸出は旺盛に推移し、09年は1〜10月で420万?。年間では480〜490万?程度になるだろう。国内の古紙回収量が約10%ダウンしたにも拘らず、前年比で、130〜140万?増加した。
 ●需給バランス等を考慮すると、夏以降、輸出量は減少するとの見通しもありましたが
 古紙回収量と消費量の差を輸出すれば、需給はバランスするが、夏以降もその差以上に輸出された。この間、メーカー在庫は08年12月と比べ18万?減の約80万?、問屋在庫は同50万?減の20万?、合計すると70万?程度は減少した。この多くが輸出超過分に当たる。
 ●輸出の勢いが止まらなかった要因は
 昨夏以降、新聞、雑誌古紙の輸出価格が国内価格を上回ったことが大きい。昨年12月時点で、新聞古紙は国内?1万3千円に対し、輸出価格(関東製紙原料直納商工組合、以下同)は?1万3130円、雑誌古紙は国内1万1千円に対し、輸出1万2130円。関東商組の価格は、トレーラーの横持ち運賃が遠距離を含むため、最も安いわけで、実際にはもっと差があるだろう。
 中国は内需が伸びている。内需が増えると、白板の需要が伸びる。生活用品、食品用の包装などなんでもそうだ。その原料が新聞古紙と雑誌古紙。日本の国内価格よりも高いポジションであっても購入した要因だ。
 ●段ボール古紙に関しては
 段ボール古紙は、国際マーケットに拘らず、国内価格(09年2月から?15円)を維持しており、比較的タイト感は少ない。段ボール古紙の場合、輸出入に伴う段ボールは入超で、その分が輸出されることになる。09年1〜8月では、製品の輸入に伴う段ボールが132万?、輸出が43万?。差し引き89万?。おそらく1〜12月では130万?程度入超だろう。よって輸出価格が国内価格よりも安価でも、輸出されている。
 中国は、製品輸出は伸びていなくても、内需がけん引し、段ボール原紙自体の生産は伸びている。前年比20%弱程度は伸びているのではないか。ただ、白板の増加率の方が遥かに高い。
 ●新聞古紙、雑誌古紙の国内価格と輸出価格は、一昨年秋以前と同じ状況に戻った
 そうだ。まだ価格差はあまり広がってはいないが、今後、輸出価格は更に強含みで推移するだろう。
 ナインドラゴンは今年、200万?近く段ボール原紙用マシンを新設し、総生産量が1千万?を超えるが、同時に一部マシンを段ボール原紙から白板用や上質紙用へと変更する予定だ。白板、上質紙とも80万?、計160万?程度生産する。リーマン&マンも同様に段ボール原紙マシンを白板へと変更する。そうなると、ますます新聞、雑誌の需要は増加する。
 新聞古紙は、不況の影響で発生量が前年比85%程度に落ち込んでいる。そうなると新聞古紙の需給が一番タイトということになる。現に段ボール古紙よりも新聞古紙は国内価格が?当たり2千円安いのに、問屋の仕入れ価格は新聞古紙の方が、2千円高いという逆転現象が起きている。これは需給がタイトな証拠だ。新聞古紙、雑誌古紙は、段ボール古紙と異なり、基本的に貿易に伴う輸入がない。消費以上に輸出すると、当然不足してしまう。
 ●国内の新聞古紙価格が動く可能性は
 製紙メーカーも一部を除き、まだ在庫を持っているので、すぐにというわけではないが、春以降はその可能性はある。1月、2月は古紙発生量が減少する時期だが、新聞販売は極端には減らず、古紙の消費量は落ちない。輸出も増えるので、在庫はタイトになっていく。   
 ●雑誌古紙は
 前述したように現状、輸出価格の方が国内価格より1割以上高いわけでこちらもタイト感は増すだろう。加えて輸出の方が、品質基準が甘いことも追い風となっている。
 これが段ボール古紙にも影響するだろう。現状、段ボール原紙の原料として、安い雑誌古紙を2〜3割程度は使用しているはずだ。よって今後、雑誌が安価に手に入らなくなれば、コスト高になる。
 ●段ボール古紙国内価格?15円は
 まだ動かないだろうが、製紙メーカーの古紙消費計画は、段ボール古紙が1〜3月は105%、新聞古紙は104%、雑誌古紙は109%。今後、新聞古紙、雑誌古紙の動きに、段ボール古紙も連動する可能性はある。また、為替の変動にも注視すべきだ。

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