有限会社
日刊板紙段ボール新聞社
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板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。
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世界的不況の影響を受けて多くが苦戦する中、?クラウン・パッケージは、主力のマイクロフルート(F段・G段)の生産量を伸ばしている。佐光恵藏社長は要因として「100年に1度の経済危機は、100年に1度の大チャンス」とのスタンスで臨み、新たな市場、顧客の開拓に成功した点を挙げる。今後も段ボール業界を取り巻く環境は厳しさを増すと予想されるが「マイクロフルートに生き残りを賭ける」と一層の強化を図る。佐光社長に昨年来の取り組みを振り返ってもらうとともに、商品開発や設備投資の方向性、内装業界の将来について聞いた。
●世界的不況といわれた、この1年を振り返りいかがですか
当社も御多分にもれず、08年10月以降、受注量は急激に落ち込んだ。対抗策として「例え受注量が10%減少しても利益を出せる体質に」との号令のもと、体質改善に着手した。リストラは行っていないが、自然退社に対する補充はパート・アルバイトを含めて控えるなどスリム化を図った。
加えて、不況以前から活動していた全社製造統括部が、難局を乗り越える大きな力となった。全社製造部門の監査及び問題抽出が主な役割だが、若手社員の意見を取り入れている点が特長だ。
従来、入社3、4年の仕事に慣れて技術も身に付く時期に、仕事内容や対人関係を理由に辞職することが少なくなかったが、飛躍的に改善した。結果として、製造時間短縮やロス削減など生産効率が向上し、固定費も削減できた。
また、30代の事業所長が最たる例だが、若手社員を積極的に現場リーダーへと抜擢している。若手に一任することで、コミュニケーションが円滑になった。無論、若ければ良いわけではないが、固定概念がなく既存の悪習を払拭し、どんどん改革を進める推進力がある。ベテラン社員にも良い刺激となっており、全体の底上げにつながっている。
●営業面ではどのような対応を
100年に1度といわれる経済危機の中で、開口一番社員に伝えたのは、「100年に1度の経済危機は、100年に1度の大チャンス」ということ。通常、商品が売れている時はパッケージの見直しはあまり行われない。販売が不振の時こそ、打開策として大幅な見直しを検討するものだ。
当社の場合、マイクロフルートを切り口に、マーケットの創造と新規顧客の開拓を強力に推し進めたことで、昨年はマイクロフルートの生産量が前年比20%程増加した。E、B段が苦戦する中、全体でも前年並みに収まっており、なんとか成功したとみている。現状、マイクロフルートの生産比率は3割程度だが、ウェイトが大きければ、より大幅な成長が可能だっただろう。まだまだ潜在需要はある。
●この間の市況についてはいかがですか
昨年4月の原紙値下げ相当分の価格修正以降、目立った動きはなかったが、昨秋頃からパッケージも若干デフレ傾向が見受けられる。現状、生産量と売上が比例しなくなってきており、加工効率を上げることで、売上単価下落を吸収している。
生産量が飛躍的に増加する見込みはなく、製紙メーカーも価格を維持したいと考えているだろう。原料単価が下がらないうちは製品単価を下げたくないというのが本音だが、市況如何で柔軟に対応せざるを得ない局面も訪れるかもしれない。
●価格メリットという面では、輸入原紙が注目されています
最近随分と取り上げられているが、当社では以前から採用している。ただ量は決して多くない。価格はそれなりだが、品質保証や納期など様々な問題があり量を増やすのは危険だと認識している。
基本は中しんやジュートライナで、特殊な原紙では怖くて入れられない。今後も現状維持と考えている。
●ヤシカサや茶殻を利用したパッケージやディスプレイ兼用輸送箱など、マイクロフルートの特色を活かした独自色の強い製品を発売しています。開発の方向性は
従来は、贈答用パッケージをメインに製造していたこともあり見栄え重視だったが、今後はエコロジーも重要な要素となる。エコロジーを全面に出した商品でないとユーザーもなかなか認知してくれないだろう。
パッケージメーカーがCO2削減に貢献できることとして軽量化や薄物化が挙げられるが、もうひとつ、当社では食物残渣(ざんさ)を紙の素材として活用する開発を強化している。木材パルプ自体は環境に悪いわけではなく、サステナブルな素材であるが、従来有効活用されずにいたものを利用することで木材パルプ使用量が減ることは、エコロジーの観点からも受け入れられると考えている。
現在、ヤシカサを利用した「パームヤシックス」、「茶殻入りパッケージ」、「笹入りパッケージ」が3本柱だが、様々なユーザーに使用していただけるよう更にラインアップを増やしていく。エコロジーをユーザーに提供し、ユーザーが一般消費者にエコロジーに貢献している会社であるとアピールしてもらえれば、「WIN・WIN」の関係で、互いに成長できる。
分り易く言えば、ディスプレイ兼用輸送箱である「バリットボックス」は、欧米でシェルフレディパッケージとしてすでに定着しており、将来的に日本でも普及すると考えている。ユーザーへの提案とともに、「スーパーマーケット・トレードショー2010」にパッケージメーカーで唯一参加するなど、流通業界への認知を図っている。
内箱と外箱がワンタッチで剥れる点が特徴であるが、ディスプレイ兼用輸送箱というコンセプトはそのままに、全く新しい形状の開発を進めている。既にサンプルは完成しており、今後の展開には期待している。
●現在コルゲータは全国に11台。増設もしくは集約をお考えですか。また手薄な地域での工場新設の計画は
コルゲータは地域によって不足気味の所もあるが、2直にするなど生産体制の変更で補っていく。工場に関しては、これ以上、増やすメリットは国内では少ないと考えている。リスクも大きく、固定費もかかる。
現時点では営業所の新設が最優先事項だ。やはりパッケージは地域密着型でないと受注に結びつかない。東北、中部、九州には出張所も含め、あと1、2カ所は必要だと考えている
●市場が縮小する中、内装分野の生産能力は過剰気味との声もあります。内装段ボール業界をどう見ていますか
内装に限らず、段ボール全体で捉えても供給過剰だろう。製紙メーカーは相当の血を流し集約を進めた結果、上位4社が7割強のシェアを占めている。流通も同様だ。次は段ボールの淘汰、集約が進むだろう。
現在の所、当社では買収などは計画にないが、内装メーカーも企画・販売力がなければ、自然淘汰が進むのではないか。近年、大手外装メーカーも内装分野に領域を拡大しており、小規模メーカーが吸収されることも当然あり得るだろう。
当社はE、B段だけでは勝負できないとの判断のもと、マイクロフルートに今後の生き残りを賭けていく方針だ。過去に高い授業料を払ったこともあり、マイクロフルート格差を付けず、E、B段と同価格で販売しても採算がとれる体制を構築している。「マイクロフルートといえばクラウン・パッケージ、クラウン・パッケージといえばマイクロフルート」というレベルまで特化していく。
昨年は、古紙輸出量が大幅に増加した。09年1〜10月時点で420万?と、既に過去最高を更新している。特に、中国の内需拡大に伴い白板の原料となる新聞古紙、雑誌古紙の引きが強く、価格も年後半以降、強含みで推移する。栗原紙材?の栗原正雄社長(全国製紙原料商工組合連合会理事長)に、昨年を振り返ってもらうとともに、今年の古紙動向について聞いた。(インタビューは昨年12月)
●昨年(09年)の古紙動向を振り返って、いかがですか
まず一昨年末、世界同時不況の影響による需要減と、古紙の最大発生月が重なり、問屋サイドの在庫が70万?、メーカーサイドは98万?と、限界在庫まで達した。古紙再生促進センターでも、緊急備蓄を実施。なんとか乗り越え、古紙のゴミ化を防ぐことができた。09年1月以降は、古紙の発生が急激に減少。国内製紙メーカーは操短し、在庫を絞った。
一方、国際マーケットは中国の復調もあり、徐々に回復に向かった。結局、年間を通して輸出は旺盛に推移し、09年は1〜10月で420万?。年間では480〜490万?程度になるだろう。国内の古紙回収量が約10%ダウンしたにも拘らず、前年比で、130〜140万?増加した。
●需給バランス等を考慮すると、夏以降、輸出量は減少するとの見通しもありましたが
古紙回収量と消費量の差を輸出すれば、需給はバランスするが、夏以降もその差以上に輸出された。この間、メーカー在庫は08年12月と比べ18万?減の約80万?、問屋在庫は同50万?減の20万?、合計すると70万?程度は減少した。この多くが輸出超過分に当たる。
●輸出の勢いが止まらなかった要因は
昨夏以降、新聞、雑誌古紙の輸出価格が国内価格を上回ったことが大きい。昨年12月時点で、新聞古紙は国内?1万3千円に対し、輸出価格(関東製紙原料直納商工組合、以下同)は?1万3130円、雑誌古紙は国内1万1千円に対し、輸出1万2130円。関東商組の価格は、トレーラーの横持ち運賃が遠距離を含むため、最も安いわけで、実際にはもっと差があるだろう。
中国は内需が伸びている。内需が増えると、白板の需要が伸びる。生活用品、食品用の包装などなんでもそうだ。その原料が新聞古紙と雑誌古紙。日本の国内価格よりも高いポジションであっても購入した要因だ。
●段ボール古紙に関しては
段ボール古紙は、国際マーケットに拘らず、国内価格(09年2月から?15円)を維持しており、比較的タイト感は少ない。段ボール古紙の場合、輸出入に伴う段ボールは入超で、その分が輸出されることになる。09年1〜8月では、製品の輸入に伴う段ボールが132万?、輸出が43万?。差し引き89万?。おそらく1〜12月では130万?程度入超だろう。よって輸出価格が国内価格よりも安価でも、輸出されている。
中国は、製品輸出は伸びていなくても、内需がけん引し、段ボール原紙自体の生産は伸びている。前年比20%弱程度は伸びているのではないか。ただ、白板の増加率の方が遥かに高い。
●新聞古紙、雑誌古紙の国内価格と輸出価格は、一昨年秋以前と同じ状況に戻った
そうだ。まだ価格差はあまり広がってはいないが、今後、輸出価格は更に強含みで推移するだろう。
ナインドラゴンは今年、200万?近く段ボール原紙用マシンを新設し、総生産量が1千万?を超えるが、同時に一部マシンを段ボール原紙から白板用や上質紙用へと変更する予定だ。白板、上質紙とも80万?、計160万?程度生産する。リーマン&マンも同様に段ボール原紙マシンを白板へと変更する。そうなると、ますます新聞、雑誌の需要は増加する。
新聞古紙は、不況の影響で発生量が前年比85%程度に落ち込んでいる。そうなると新聞古紙の需給が一番タイトということになる。現に段ボール古紙よりも新聞古紙は国内価格が?当たり2千円安いのに、問屋の仕入れ価格は新聞古紙の方が、2千円高いという逆転現象が起きている。これは需給がタイトな証拠だ。新聞古紙、雑誌古紙は、段ボール古紙と異なり、基本的に貿易に伴う輸入がない。消費以上に輸出すると、当然不足してしまう。
●国内の新聞古紙価格が動く可能性は
製紙メーカーも一部を除き、まだ在庫を持っているので、すぐにというわけではないが、春以降はその可能性はある。1月、2月は古紙発生量が減少する時期だが、新聞販売は極端には減らず、古紙の消費量は落ちない。輸出も増えるので、在庫はタイトになっていく。
●雑誌古紙は
前述したように現状、輸出価格の方が国内価格より1割以上高いわけでこちらもタイト感は増すだろう。加えて輸出の方が、品質基準が甘いことも追い風となっている。
これが段ボール古紙にも影響するだろう。現状、段ボール原紙の原料として、安い雑誌古紙を2〜3割程度は使用しているはずだ。よって今後、雑誌が安価に手に入らなくなれば、コスト高になる。
●段ボール古紙国内価格?15円は
まだ動かないだろうが、製紙メーカーの古紙消費計画は、段ボール古紙が1〜3月は105%、新聞古紙は104%、雑誌古紙は109%。今後、新聞古紙、雑誌古紙の動きに、段ボール古紙も連動する可能性はある。また、為替の変動にも注視すべきだ。