板紙・段ボールから印刷紙器までを網羅した専門新聞社です

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有限会社
日刊板紙段ボール新聞社

東京都文京区湯島4-6-11
湯島ハイタウンA-509号
TEL.03-5689-0121
FAX.03-5689-0120
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板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。

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日​刊​板​紙​段​ボ​ー​ル​新​聞​社​
 

2021年 段談

 

2021年 段談

2021年 段談
3
 
6月7日付
2021-06-18
 ▼親しい段メーカーを訪問時、社長が『段ボール産業、そう悪くは無いよ』と言った。交通系・観光や飲食を始め激変する産業が多々ある中、『コロナ禍の1年、大きな儲けは無いが、大きく沈みもしていない』、常に『水面スレスレ、低空飛行だけど安定している』、と言う訳だ。ただし『コロナの影響も多少はあるのだろうか、仲間意識が希薄になってきた』点が気になると言う。大手に限らず中小同士でもそうだが、自分さえ、自分の周りさえ良ければ的な、微妙な空気を感じているのだろう。
 ▼最近よく耳にするのが、一貫Aの『同じグループ会社の行動に無関心』、『紙と製品、動きがバラバラ』。これらはまだしも、枯れても日本を代表する製紙会社、なのに『リーダーたる姿勢、矜恃が全く感じられない』こんな声もある。新聞・印刷用紙主流の時代は〝段ボールはガミ〟と軽く見ていただろうが、板紙と段ボールはグループの稼ぎ頭、その傾向はより顕著だ。業界全体が良くなれば儲けは人一倍大きいはず、『もう少し』『邪魔だけは』と思う人は何人もいるし、渋沢栄一翁の経済思想『みんなが豊かに』が霞む。
 ▼『段ボール原紙、段ボール需要が好調』こんな見出しが経済紙にも載るこの頃。確かに4月の大手段メーカー生産量を見ると、一貫子会社の108、107が並び、8社全て100を超えた。中小も似たような数字をあげているが、『昨年が悪かっただけ。一昨年と比べれば良くてトントンだ』。戻って来たのは喜ばしいものの〝量に頼り過ぎても〟と思うし、改善すべき事柄はまだまだある。インク等副資材がじわり上がってきた。気を引き締め地道に一歩ずつ前に。 (山)
 
5月27日付
2021-06-07
 『まさか段ボールのテレビCMが流れる日が来るとは』。業界関係者が一様に驚いただろうネット販売専門会社のそれ。毎朝天気予報を汐留から伝えてくれる人気タレントを起用、頻繁に目にする。
 地方ボックスを最終的に買収し、ネット販売を急激に拡大。あえてテレビでPRする戦略からも窺えるが、個人や小規模事業者の需要が大半のようだが、販売量は優に月数百万平米には達する模様。自社製箱能力を大きく上回る量であり、他の段ボールメーカーに広く委託しているはずで、これをお読みのメーカーでも取引がある所はあるだろう。各地域のメーカーとの連携は、いわゆるシェアリングエコノミーとも通ずる動きで、歪な力関係などが生じないならば、有効な手段であるし、それに目を付けた点も流石だ。印刷で同様の展開を図る会社と資本提携を締結したことも、拡大路線を後押したはずで、CM放映開始も合点がいく。ましてネット広告では既に多大な投資を行っていると想像する。
 段ボールに限らず製造業の立ち位置、サービス産業との距離感は、急激に変化している。自社製造を大切にしながらネットでの有効な展開を同社よりもはるか前に始めているところはあるし、大胆な業態変革を目指し動き始めたところもある。サイトを覗いて『こんな値段!』と唸る気持ちもなくはないが、新風の刺激も必要かもしれない。 (浮)
 
5月17日付
2021-05-28
 ▼加速するデジタル化と技術、通勤電車内では液晶画面に流れる広告、駅構内でもポスターはデジタル広告に変わっている。新聞に折り込まれた大売出しのチラシ、そのチラシに付いていたクーポン券は今やスマホに届く。印刷業界は段ボールに比べ、変化の度合いや進歩が一歩も二歩も先を行く感がある。『在宅、リモートでの仕事により、デジタルに馴染が薄かった人達も接触する機会が増えた』、段ボール業界でもこんな声を度々聞く。それでも記者にはほど遠く、スマートウオッチを買おうか迷った時期もあったが、時計でしか使わないのだから止めにした。
 ▼段ボール工場でも徐々に使われ出したデジタル、面白そうなのがフレキソグルアの進化系とも捉えられるハイブリッドタイプ。完全なデジタル機では無く、一部ユニット置き換え、一部工程にデジタルユニット追加など等、進め方は色々あるようで、機械関係者から『やってみる価値はある』と聞いた。記者には想像もつかないけれど、現在のFFGの能力を損なわずデジタルの特徴を活かせるのであれば、案外使える機械になるのかも。
 ▼さて、手元に1枚の資料がある。【内閣府と引越事業者の協定】で『官民の連携を強化し災害対応をより適切かつ迅速に』と書かれてあり、4月13日に内閣府と引越大手企業4社が協定を結んだ。災害時に被災者を第一に考え協力し合う体制はどんどん進めるべきだが、協定内容を見ると『避難所における段ボールベッド等の組立て業務』、『(充足できない事態が想定される場合)保有資材等を活用した緊急簡易ベッドの供給業務』とある。段ボールベッド?、引越に使う段ボールで作り強度は?など気になった。過去、地震・水害・台風、あらゆる災害時に真っ先に駆けつけ段ボールベッドを提供、その様子は度々テレビで映し出されている。ベッドにしても組み立てやすく改良を重ねる。全面的に応援してきた段ボール会社、供給に不安はない。 (山)
 
5月7日付
2021-05-21
 ▼ISOWAさんが出した100周年記念誌『世界の段ボールビトを幸せに』、4月27日号で(浮)が紹介したが、読めば読むほど〝ISOWAらしさ〟が息づいている。磯輪社長が20年かけて取り組んできた〝風土改革〟、企業文化の土台とも言うべき土壌作りから始め、精神的な支柱となる理念をトップ自ら、幹部、社員に根付かせてきた。鍛冶屋、機械屋体質だった会社をガラリと変えるのだから当初は反対、抵抗も多々あった。手探り状態からここまで成し遂げた苦労は遠目に見てきた記者でも想像がつく。しかも『根付き始めた風土、更に磨きをかけたい』とは次期経営者の光さん、理念までしっかり受け継がれている事が素晴らしい。
 ▼同社を訪れ、社員の生き生き、楽しそうに働く姿に毎回、驚かされる。事務所内、工場内、どこでもそうなのだ。昔、ある大手段メーカー経営者から『会社は自己実現の舞台』『自分の志を仕事の中で実現しなさい』こう言われた事があるが、ISOWAさんの社内を見ていると、その言葉が頭に浮かぶ。一時、和気藹々とする様子を『仲良しクラブになっても』と思ったのも事実だが、今となっては大きな間違いだった。
 ▼仕事、働く事で家族を幸せにし、本人も喜びを感じる。もちろん顧客や取引先全てに対して同様である。機械を使う側の声を丁寧に拾い上げ、小さな改良、サービスの差別化にまで拘っている。その積み重ねが「アイビス」を始めとする新鋭機械の開発に結び付く。トップ主導で〝やりなさい〟から物事を考えるのとは大きく異なりひとり一人が自ら考え行動する、そこがISOWAの強さであろう。 (山)
 
4月27日付
2021-05-10
 ▼『ユーザーも狡い』とは食品会社と取り引きある段メーカー。年度替わりだからか再見積もりする事になった時、資材担当者が『□段ボールと△ダンはこの価格にしましたよ』と言ったらしい。念のため△に直接確かめたら、価格をのんだのは□だけで△は突っぱねていた。段メーカーは『揺さぶりにしても危なくてしょうがない』と笑っていた。はっきり社名を聞いた訳では無いがだいたい想像はつく。スーパーにも並ぶそのメーカーの商品、一度手に取って見たが、買わずに戻した。
 ▼『あ~、あそこか』、これもその地域では想像がつく中堅ボックス。ずい分前に取引きが切れている段メーカーA社に電話を掛けてきた。『〇〇平米に増やすから、どう』『配送もこっちで』など色々と条件を出し再開して欲しさ見え見えだったよう。今は中小の段メーカーBからシートを購入しているものの、そこから買い出した経緯も曰く付きだけに、A社長はその場で断った。幾度となく同じ事が繰り返されるが、それでも最後はどこかからシートが入る。もっともこのボックスが『儲かっている』、との話は聞いた事が無い。安く仕入れられれば箱だって安く…。
 ▼3月の大手段メーカー8社の生産量。前年比で2日稼働日が多いようだが総じて芳しくは無い。それでも一貫系□社113%、その長男格△社も111を稼いだ。ただ親会社は101ちょっとと抑え気味。専業3社も冴えない。周りで聞く中小段メーカーは持ち直してきた会社もあるが、105前後の会社が多いよう。 (山)
 
4月17日付
2021-04-26
 ▼ここ数年、注目集める古紙価格。経済紙にも大きく取り上げられる。これについて業界外の人から質問されて、キチンと返事を出来ずに困る事がある。例えば、輸出価格と国内価格の差だが、国内が高くて輸出の方が安い時、はたまた逆もある。更に輸出段原紙に使う古紙と国内向け段原紙の古紙価格の違い、古紙の品質に差が無いだけに説明は難しい。中国やその他諸々の状況など含め自分の頭では分かっていても、聞かれたユーザーに納得いく説明が出来るとなると自信が無い。最後は『今のリサイクル、古紙回収システムの維持には最低18円は必要なんです』で、誤魔化してしまう事もある。製紙側の理屈は身内には分かっても、ユーザー側にはちょっと伝わりにくいのかも?
 ▼増え続ける段原紙の輸出、昨年は前年を大きく上回り過去最高を記録した。国内原紙価格維持のための調整弁にしてもその伸びに衰えは無い。一方で、中国企業が建設中の段ボール原紙工場は『生産能力が日本の一年間分に匹敵する』。2025年に稼働するようだが、想像もつかない超強大な能力には驚きがある。この他に中国・東南アジアを中心に段原紙マシンがいくつも立ち上がる。EC普及を背景に各国で伸びる段ボール需要向けなのだろうが、それにしても増える㌧数と増加平米が気になるところだ。バランスが崩れれば価格中心の勝負になる。外国勢の最新抄紙機に比べ、老朽化の進んだ日本のペーパーマシンは見劣りする。海外グループ企業には出せるにしても、どこまで競争力があるのだろうか。レンゴー始め大改造が進んでいるが、もう少し利益を出して設備投資に回し対抗しなければ。 (山)
 
4月7日付
2021-04-19
 ▼最初の緊急事態宣言から1年、首都圏の2度目の宣言も解除され、先行きが気になるが、ワクチン接種が進み、気の緩みではなく、気の休まりが得られる状況になれば、消費動向も変化するはず。ある社長は『状況が良化すれば、今期は経済の活性化が期待できる。急激な量産に向けて不備がないようにと備えている。設備メーカーの動きをみても、これは当社だけの考えではないようだ』という。分野による浮沈はあったが、全体量は最低限の落ち込みで済んだ昨年からの回復を期待したい。
 ▼一方で廃業やグループ入りの話も多く聞こえてくる。業界再編の動きはコロナで一時停止していたに過ぎないと感じさせられる。そして『(大手一貫の)原紙2枚分相当のケース価格と勝負する世界』という状況は変わっていない。ある経営者は怒りを通り越して『新規で取るにも、もう少し利益を考慮した下げ方をすれば良いのに。あんなに一気に下げて大丈夫なのか。意思統一できているのか逆に心配になる」とも。まずはそんな価格を是正してほしいが、段メーカーと原紙メーカー、中小段メーカー同士、地域トップの段メーカーとボックスとの連携等、大手一貫とは異なる動きが顕在化することでの変化を見てみたい。
 ▼輸出原紙の価格帯が一段上になってきた。元来、波が激しい国際市況、まして勝負するのは惜しげもなく巨大投資するプレーヤー。今後、より優劣が明確になる可能性は高い。輸出市場をけん引するAは、既に数千㌧規模の能力増を見据えているようだ。 (浮)
 
3月27日付
2021-04-08
 ▼『段ボール会社はダメになりませんね』、たまに電話があるケース購入関係者から聞かれた。この人にすれば原紙価格が上がったままで、しかも100%製品に転嫁できなかったのに、現在でも『余裕がありそう』に見えるからである。確かに、原紙は2度の値上げで円上がり、市況は高値で貼りついたまま。それも数年続いており、不思議に思うのも理解できるが…。
 ▼こう書くと『調整はあるのか』『いくらなのか』『増えているのか』など等、突っ込まれそうだけど、〝個別交渉〟〝企業の実力〟〝今までの取引きと今後〟で、条件だって変わってくる。『昔みたいな〝戻し〟は絶対にありませんよ』と伝えたが、そんな事よりも『段メーカーがコストを下げるために、受注・生産から出荷まで絶えず地道な努力を続けてきた』、その成果である事を少しは頭に入れて欲しい。しかもユーザー業界の利益率とは違い、水面を少しばかり浮上した程度なのが、段ボールの現状だ。
 ▼2月(稼働日は前年と同じ)の大手段メーカー8社の生産量を見ると、98が最低で前年割れは2社あった。最高は一貫△系の〇社で107、同じグループの□社も106を稼いだ。1月まで別の一貫系が伸ばしていたのと入れ替わる格好だ。中小段メーカーでもバラつきがあるが、総じて大手の数字よりは見劣りする。良い季節に入った、これからに期待したい。 (山)
 
3月17日付
2021-03-30
 ▼『〇〇紙器が廃業みたい』、『□□パッケージは買収された』年明け早々から週に何度も、こんなメールや電話が入る。2月時点で10件を超えているのだから昨年よりも確実に増え、『そのペースの速さには驚き』(中小段メーカー)だそう。ほとんどが小さな箱屋さんであるにしても、中には昔、購読料の集金で通い、当時の先輩記者から『ここは印刷機も全部現金で支払う』と羽振りの良さを聞いていた会社もあるのだから、時代の変化を感じる。
 ▼数年前に破綻したあるボックス、先代社長の時代から親しくさせて頂いていた。いつだったか昼を食べながら『山さん、この印刷機が動かなくなったらどうしよう』『新台は買えないからな』と話していたのが頭にあるが、その数年後ダメになった。コロナの影響、『段ボールは他産業から比べれば少ない』とは言え、廃業や閉鎖の多さはかつて経験が無い。
 ▼今年に入って業績が大幅に上がっている中小段メーカー『人、物、金、そして情報。戦略的に使う』とはそこの社長。持っている資産をフルに活用する会社は強い。今は規模の大小もあまり関係ない。自社の強みをどう活かし、特徴が薄いならばどう濃くするかではないだろうか。現状のままダラダラ続けていればジリ貧は目に見えている。最近『V字』ならぬ『K字』を目にするが、頭を使って生き残らねば。 (山)
 
3月7日付
2021-03-22
 ▼『デジタル関連事業を加速』(一貫A)、『千葉に続き関東に1000万平米級の大型工場』(一貫B)、『子会社も主力工場級に』(専業大手)。段ボールにおけるトップ3の動きだ。中堅はもちろん、他の大手も寄せ付けない勢いで差を広げる。『そのうち広域ユーザーはこの3社以外に手を出せなくなる』と言うのは、食品会社と取り引きある経営者。一貫は紙を含めて武器にする事も出来るし、専業大手は生産・製造技術が極めて高いからである。そうならば、仕入れの狭まるユーザーが1番困るはず。しかし誰も『ケース価格決定の主導権が段ボール側に移る』とは思っていない。
 ▼ここが段ボール業界最大の問題なのだろう。もっと言えば、地道にコツコツ積み上げた加工賃を、1回の交渉でそれも1社が台無しにする事もあるのだから、何をか言わんやだ。『(段ボール会社は)社数が多いから価格も乱れる』との見方も一部にあるが、たとえ2、3社になったとしても、グループ間での取り合う姿など現状を見ていると、残った会社で不毛の競争をしているような気がする。中小の中にもほんの僅かだが『どうやったらあの値段に』など、未だに量に走る段メーカーがある。『安値拡販型、付加価値追求型、どちらが正しかったかこの1年を見ていれば分かります』、親しい社長から言われたが、早くそうなって欲しいものだ。 (山)
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