板紙・段ボールから印刷紙器までを網羅した専門新聞社です

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有限会社
日刊板紙段ボール新聞社

東京都文京区湯島4-6-11
湯島ハイタウンA-509号
TEL.03-5689-0121
FAX.03-5689-0120
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板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。

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日​刊​板​紙​段​ボ​ー​ル​新​聞​社​
 

2021年 段談

 

2021年 段談

2021年 段談
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2月27日付
2021-03-12
 ▼『商売は価格設定が基本であり最重要課題だ』、こんな話をよく耳にする。段ボールも、と思えば『どこで作っても差が無いのが段ボールの悲しいところ』と言う人もいる。確かに同じA式を一貫で作るより、『ボックスで作った方が丁寧で質も良かった』こう聞くぐらい、差を付ける事はなかなか出来ないのかもしれない。では最新鋭のハイスペックマシンを使って生産すれば、それだけで受注につながるのだろうか。箱自体に大差なくても、最初の電話の対応から配送運転手まで、特に面談する機会の多い営業マンの質は、顧客獲得に大きく影響する。中小はここに力を入れないと。『A社はちょっと高いけど、いいね』こう言ってもらえる会社を目指さなくては。
 ▼『資源の集団回収、中止の動き』『担い手不足、コロナが追い打ち』、一般紙にこんな見出しの記事があった。一番の理由は新型コロナによる対面接触の制限だそうだ。燃やされていたゴミが、環境への意識向上、分別の徹底などから現在は貴重な資源に、そしてリサイクルシステムの確立となった。これは段ボール産業を支える一つの循環型システムである。集めるのを止めれば焼却する事になるが、焼却費用は自治体から出る集団回収の助成金を大きく上回るそうだ。自粛生活が長引けばペットボトル、ECで利用した段ボールも家庭からより出される。『集団回収は一度止めると再開は難しい』こんな声もある。商売柄、中国事情ばかりに目を取られていたが、こちらにも少しは目を向けなければ。
 ▼さて1月の段ボール生産量。昨年11、12月と中小もまぁまぁ良い数字を出し、このまま行けば、と思っていた矢先の緊急事態宣言発令。東京や大阪、愛知など大都市が大きく制限され『早くも影響が出た』とした段メーカーもいる。持つユーザー(業種)によってバラつきもある中、1月の大手段メーカー生産量は一貫系の一部が快調に飛ばし、他も稼働日を考慮すれば中小よりは全然マシ。(山)
 
2月17日付
2021-03-03
 『2強体制にさらなる拍車がかかった。どのように生き残りを図っていくのか。今一度しっかりと考えなければならない』とは、王子コンテナー宇都宮工場新設発表を受けた直後のある大手段メーカー。
 広域展開する大手であっても方向性に違いが生じるのは当然であり、近年、それが先鋭化している。量があっても、否、通販や食品など成長分野の大ロットの仕事ほど、単価は非常にシビアだ。そんな仕事を受けられる所は限られる。一方で規模感があればあるほど、量から質への転換は難しさを伴う。ここ数年内に、複数の大手が転換を図ったことは、ある時期から急激に量を落としたことでも窺いしれる。決して勝負から逃げたわけではないのは、両者の収益が徐々にではあるが改善している点からも明白である。
 さりとも難しい立ち位置であることは変わらない。そもそも大手の定義も様々だが、2強以外の外装メーカーで3%以上のシェアを持つ各社を大手と定義した場合、現在、4グループ程度が該当するだろう。
 2強に追いつけで拡大路線を歩むのか。独自路線で他社との差別化をさらに推進するのか。製紙一貫の力を発揮するのか。はたまた否応無しに再編のキーマンとなるのか…。いずれにしても業界動向と言う意味では、これらグループが今後のキャスティングボードを握っている。 (浮)
 
2月7日付
2021-02-19
 ▼〝高付加価値化〟、段ボールに付加価値をどう付けるか、段ボール会社にとって最重要課題だ。特に大手とは一線を画す中小段メーカーやボックスにとっては、今後の成長を大きく左右する。デザイン、包装設計などそれぞれ得意な分野を取り入れ手探り状態から始め、大きく花を咲かせたメーカーも出ている。それに関連し、大手一貫からボックスまでデジタル印刷機の話をよく聞くようになった。美粧から汎用品まで需要を掘り起こしている。
 ▼いくらきれいな印刷を一枚から刷れても、版が不要でも、価格設定は段ボール会社の従来からの営業が行う。『段ボールを売る感覚でやったら…』『脱段ボールを理解できるか、人が一番の問題』多くの経営者がこう話す。高付加価値を作り出したボックスでも『(他社と一緒の)段ボール箱の価格設定が嫌だから』、『自分でしか作れない物を自分で値決めしたい』と聞いた。ある一貫は段ボールの営業マンに『1人、ひとつデジタルの仕事を取って来い』、こう指示したようだ。高額な投資をしているのだから、ちゃんとした利益を稼がねば。
 ▼それにしても昨年秋から『頼みもしないのに、シートの売込みが続く』(中堅ボックス)、量的に厳しさのある西日本の方が目立つ。原紙だって表向きは変化ないものの、『3大メーカーから新規参入まで、昨年までの一枚岩では無くなりつつある』と見る段メーカーは複数にのぼる。板紙・段ボールともに今一度、引き締めが必要だ。(山)
 
1月27日付
2021-02-10
 ▼新年早々の大きなニュース。王子コンテナー宇都宮工場が王子マテリア日光工場敷地内に新工場を建て移転する。森紙業千葉事業所に次ぐ大規模工場で生産能力は1100万平米、現宇都宮が本紙推定で600強だから2倍近くの規模になる。投資額は百億円、土地代を含まないとするならば貼合機(噂では400㍍)や製箱機など新設備が気になるところだ。稼働は22年10月を予定する。
 ▼王子の発表によれば、『段ボール需要は今後も増加が見込まれる』とある。先にあがった別の一貫(茨城)や専業大手(同)の新工場が延期等になっているが、隣県でダークホースのコンテナーが浮上した。同県にある関東パックもコンテナー現・宇都宮工場へ移るそうだから、グループの能力はより高まる訳だ。
 ▼『S&Bならいいか位の感覚でしょう』とは中小段メーカーで、大手にも『この投資が業界全体の価値向上につながるのであれば』と冷静に見る向きもある。一方『森千葉の稼働に伴い周辺で広がった拡販体制。同じ事が繰り返されるのでは』とする経営者もいた。
 ▼まずは、原紙・段ボール一体型工場となる事で一貫の本領発揮と行きたいところ。コストが下がったならば次に蓄え、国内段ボール発展への投資に役立てて頂きたい。『原紙を潰す感覚、段ボールより紙を売りたい会社』、段ボール側に根強くあるこんな声を、この辺で払拭してみたらどうだろうか。
 ▼ちなみに製紙系段メーカーDの中部圏での貼合機設置計画は白紙のよう。 (山)
 
1月17日付
2021-02-01
 ▼ある顧客に対して中小段メーカーA社が提示したケース単価には驚かされた。最低加工賃でやったとしても、今の原紙代からは出てこない価格なのだ。そのコンペに参加したB社は、『A社は中小の中では特異な事例』としたうえで、『(利幅も無く)切れても構わない、と前期同様の値段を出したがそれを1割以上、下回っていた』、『平米至上主義もここまで来ると…、原価計算できないのだろうか』と呆れる。品質クレームが全く無く、メーター不足時に稼げる仕事ではあるが、この他にも他社が手放す安い仕事に食いつくそう。大手とは一線を画し量を減らしても収益性を高める中小の中で、こんな会社も。先行きが心配になる。
 ▼常識ある中小やボックスからは『何もせずダメだ、ダメだばかりでは生き残れない』、こんな声を聞いた。一貫やその系列が紙を含めて武器にするならば、『その逆張り』や『手間の掛かる仕事』、『大手とは違う価値作り』等など。地域を超えて仕事の融通や仲間作り、同業とのアライアンス、これを進める企業も増えていると言う。ここ最近も『地方でも上手に仕事している会社は何社もある』と聞いた。設備投資にしても一旦、滞ってしまえば、取り返すのは極めて困難になる。『段ボールは安いけれど、設備にはお金が掛かる』、だからこそ、作った製品を自ら安く売る行為だけは止めて頂きたい。
 ▼そんな中で今月、興亜紙業が岡部梱包材料の段ボール事業を引き継いだ。岡部梱包材料は段ボール事業を切り離し倉庫事業で今後を切り開く。岡部梱包材料が得意としていた小ロット・短納期を、そっくり継承できる興亜紙業に白羽の矢が立ち営業譲渡となった訳だ。A式、C式から抜き、貼りなどあらゆるケースに対応できる強み、工場が近隣地区で創業年の歴史がある興亜紙業の信用力が従来からの顧客の引き継ぎにつながった。『価格だけが安い段ボールは他にもある』(興亜紙業平岡社長)が、それでも残るのは、『価格以外のサービス』(木村工場長)だ。本来、中小段メーカーの強さや成長はこうでなければ。 (山)
 
1月7日付
2021-01-19
 ▼地方のボックス顧問と電話で長話した。ここは地場でしっかり根を張る老舗企業、記者が40年以上前に購読料の集金で通った思い出深い会社でもある。経営内容は悪くなかったが後継者難からオーナーが手放し現在は某傘下にあるが、従業員にすれば資本は変わったが『働く場が継続して安定、かつ強力なバックも出来たのだから何よりだった』らしい。現在いくつものM&A会社が段ボール業界にも出入りしているが、付き合いのあるコンサルタントがこんな事を言っていた。『以前は売る方が100だとしたら買う側は50だったが、最近は買いたい要望も増えている』。
 ▼『製紙会社や流通は段メーカーを、段メーカーはボックスを吸収・傘下に収めたいみたいだ』と中小段メーカーが話していた。段メーカーを買いたい当事者から直接聞いた事もある。自分の商品(原紙、シート)の安定した売り先確保からなのだろう。昨年秋には埼玉・北西部の老舗メーカー寄居印刷紙器が大王パッケージに買収されたが、同社は九州北部でもボックスの上村紙工を吸収した。レンゴーも傘下に収めていた会社の再編を急ぐ。動きの無かった2020年ではあったが、いくつかの案件が浮上するなど後半になって慌ただしかった。今年はどうか…。何れにしてもオーナー会社が大手にどんどん取り込まれていく様相は、業界紙記者として辛いものがある。 (山)
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