板紙・段ボールから印刷紙器までを網羅した専門新聞社です

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有限会社
日刊板紙段ボール新聞社

東京都文京区湯島4-6-11
湯島ハイタウンA-509号
TEL.03-5689-0121
FAX.03-5689-0120
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板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。

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日​刊​板​紙​段​ボ​ー​ル​新​聞​社​
 

2020年 段談

 

2020年 段談

2020年 段談
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12月27日付
2021-01-12
 ▼事務所周辺で老舗ホテルが数棟閉館、と少し前に書いたが、知り合いの鮨屋は店舗を中国人に売却した。上野で幅を利かせていた有名焼肉屋(親しい機械屋さんが好きなお店です)は数カ月閉めて改装中、色々だ。コロナの影響、『いきなり需要が消滅する訳じゃない。少し落込んだぐらいで段ボールはまだ恵まれている』こう話した大手経営者がいたが、本当にそうだ。頼まれた製品を作る加工賃商売、普通に考えれば絶対に損はしないはず。それが『どう計算しても紙代に届かない』、中小から見れば赤字の箱が出回ると言うから不思議である。
 ▼『ごく限られた地域の出来事を、さも大きく書く』『取った取られた、やっている事は専業も中小も同じだ』、このように反論された事があった。今は点でも線になりいずれ面になる事もある。しかも中小・専業は原紙部門を持っていない。それも市場原理で済まされたら…。一貫が古紙手当、原紙製造・販売から全部ごちゃ混ぜにして、専業と段ボール製品で勝負するのであれば、専業はどう競争して行けばいいのだろうか。『みんなが集まって知恵を出さなくては』、複数の人から聞いた事がある。一貫は2社しかないが、段メーカーは180数社、ボックスも千数百社ある。知恵を出し合い良き案を話し合おう。その先に提携、同盟のような〝形〟があってもいいのではないだろうか。 (山)
 
12月17日付
2020-12-23
 設備投資は段ボール会社にとどまらず、製造業にとって小さくない決断を要する。規模や方向性によって導入頻度、機械仕様は千差万別だが、中小ボックスにとっては、費用面含めてよりインパクトを持つことは言うに及ばない。そして少しでも長く使用する傾向が強い。だからこそ導入後、メーカーがしっかりとアフター対応を行ってくれるかをより重要視し、その姿をしっかり見ている。当然だ。
 『いくらでも宣伝マンになりますよ。それは導入後も変わらず、しっかり親身になって対応してくれるから。機械性能はもちろんだが、それ以上に〇社に信頼が持てるからです』とはあるボックスメーカー。
 一方で、先日やはりボックス経営者からこんな便りをもらった。『□社は部品を頼んでも連絡がない、修理を依頼しても数カ月先、日程の連絡も来ない。周りに聞くと、ボックスに対して大体そんな対応のようです…』と。メーカーも人手不足や働き方改革の影響も少なくないのだろうと状況を鑑みつつも、やるせない気持ちを吐露した。まさか大手とボックスでは対応が違うのでは?と疑心暗鬼になる気持ちもわかる。
 前者、後者とも誰もが知る段ボール機械メーカー。機械が稼働しなくて製造が滞る、もしくは好機を失うことほど、悔やまれることはない。拠点、設備に限界があるボックスにとって死活問題だ。後者のような声は決して少なくない。 (浮)
 
12月7日付
2020-12-11
 ▼親しい中堅段メーカー社長が昔から話している事がある。『不動産を持っている、株で儲けがある、など段ボール以外に収入源がある会社は、市況を乱す事が多い』。他で利益を上げられるから、『少しぐらい段ボールを安く売っても、量を増やしてしまおう』と言う訳だ。普通の段ボール会社から見れば『その儲けは別勘定で』と思いたくなるし、こんな会社ばかりではないだろうが、11月初めに耳にしたのは、ある一貫系が10月に月次で過去最高を記録した事例。増やし続ける事で名を馳せるこの会社、取引先など50数社の株を持ち営業外収益が数千万円もあったと言う。『株で儲けて…、段ボールは安く?』、まぁ下衆の勘繰りは止めておこう。
 ▼『幅効率を求めるのか、スピードで勝負か』生産スタイルはその会社によって千差万別。同じ規模で同じ機種を使うボックスがあるが、抜きに関する効率の求め方はやはり異なっている。生産機に対しての考え方はどうだろうか。『多少高くても丈夫で長持ちした方が良いのか、耐用年数は半分でいいからリーズナブルで』か、このさじ加減は難しい。仲の良い中国人から聞く限り同国では後者のよう。その代り更新頻度が上がるので、製作する台数も多くなる。当然『機械の技術的な進化も早い』そうだ。新幸機械が販売する中国機『この価格でこの印刷』と驚きも。印刷に関しては国産機と遜色ない。コロナ禍の中でも見学者は想定以上。『メンテさえしっかりやってくれれば』、この期待に応えられるかが鍵となる。 (山)
 
11月27日付
2020-12-02
 ▼『上層部が知らないはずは無い』、とは某地区の中小段メーカー。ある得意先を、しかもトップ5に入る顧客を一貫系に根こそぎ取られたのだ。その段メーカーからすれば、利益率こそ平均以下だが平米は稼げる仕事、相手に『こんな事があった。今の時期にあり得ない』と申し入れもしたが、ただ聞くだけでその後も何も変わらなかった。『数字さえ上がれば会社からの評価は上がる訳だから、(収益性を無視した販売方法)見て見ぬふり』だと言う。他地区でも似たような事があったが、『前任者がやった事』で済ませてしまうらしい。こんな話、よく耳にする。
 ▼数量を追わず、緩衝材など包装設計力を磨き工業系で勝負するボックスが山形県上山市にある。最近は後継者である常務がデザイン部門を立ち上げ、従来のスタイルに融合させた。デザインの力で中身の販促を狙い、箱の価格が多少高くても『これで果実を届けたい』、農家をそんな気持ちにさせるケースである。単なる輸送箱からの脱却を図ったのだ。従来のBtoBにBtoCをミックスさせた事で価格交渉力も高めた。『仕事が好き』、純粋な気持ちと誇りを持ち、箱の仕様やデザイン力、アイデアでコロナ禍でも業績を伸ばした㈱エスパック。〝価格だけで段ボール製品を見られる事に対しての反骨精神〟がある。こんな会社が段ボール業界で増えれば…。記事は次号に掲載。 (山)
 
11月17日付
2020-11-26
 ▼『(原紙を持たず)公正な競争にならない』、中小など専業段メーカーが腹に据えかねている。『紙だけ上げて、製品の加工賃は全く考えない』(段メーカー社長)、同じような状況が全国あちこちで起きている。ケースでやられた会社は『(原紙が)安く入るのだろう』、それしかあの価格は出せない、と言う。手っ取り早いシート販売もそう。ある地域では下げる必要のないシートまで〇円値引きした。しかも驚く事に、一貫系の営業マンは『他社の分も下さい』まで言ったそうだ。大手食品会社で競合する段メーカーも呆れる。『紙業界のトップなのに恥も外聞もない。取れれば良いのだろう』。
 ▼『馬耳東風、だよね』、中小が何を言っても少しも変わらないと言う。『なんでここまで数量にこだわるのか』という問いに、ある人は『鳴物入で稼働した新工場が計画通り回っていない』と指摘する。目標に対して〇分の一、と囁かれるほどだ。中小の経営者は一貫グループの原紙メーカーに、行き過ぎた出来事を指摘した事もあった。しかし『ただ聞くだけでその後も何も変化はなかった』と諦め顔。最近大手段メーカーの経営者が、一貫系とやりあった。段メーカーは相手のメンツを潰さないように気を利かせて。それをどう受け止めたか知る由もないが、このまま行ったら今、紙を支えている板紙・段ボールまでダメになってしまう。 (山)
 
11月7日付
2020-11-18
 ▼何かと話題にあがる大手段メーカーの新工場。少し前までは千葉県船橋で稼働した一貫系だったが、旬はトーモクの長男格トーシンパッケージ本社工場(埼玉県加須市)である。『〇〇平米やるそうだ』など、巷では作る生産量に目は行きがちだが、昨年トーモクは営業本部長を生産・技術系の役員に変えた。〝業界に蔓延する悪しき体質〟を変える狙いがある。普段から『価格では無い。ここで箱を作って欲しくなる、そんな工場を作る』としているのがトーモクグループの基本方針だ。
 ▼トーシンパッケージは昭和46年に日清紙工として稼働した段ボール工場。平成16年にトーモクが買収したものの築50年、老朽化が進んでいた。周辺は住宅も増え騒音問題が発生、当時の貼合量も2倍程度まで増加、手狭にもなっていた。計画は数年前から立ち上がり、現本社にほど近く従業員の通勤に適し、加須インターから数キロの場所を選んだ。近隣住民に配慮し、トーモク独自の自動化技術などを取り入れ、来春の営業運転を目指すもよう。
 ▼『段ボールはローテクでも作る技術はハイテク、技術力向上は業界のためにもなる』『原紙が無い分、段ボールに特化しその強味を出さなければ』、普段トーモクを取材し感じている事である。新工場もこの思想から生産性を追求、従業員が働き易い、もっと言えば地球環境に優しい段ボール工場となる。コルゲータは更新、製箱も貼合とのバランスを考慮、近隣工場からある程度移管しスタートを切る。〝出来る事を着実に進めて行く〟のがいかにもトーモクらしい。 (山)
 
10月27日付
2020-11-09
 ▼『大手と中小の差は開くばかりだね』と段メーカー関係者が話していた。岐阜県で製紙系子会社が別工場の更新に伴い中古コルゲータを据え付ける予定だからだ。側で聞いていた仲間の一人が『でも作るのはグループ会社のケース』、それよりも『愛知で噂に上がる一貫系のリニューアルの方がインパクトは大』とする。なんでも現工場の裏手に新棟を建てコルゲータも新しくするらしい。コロナ禍の中、中小の仕事は減少したまま、特に中部圏で工業系主力の会社は厳しさが目立つ。その地域で数年後に2台のマシンが動き出すかもしれない。段ボールは観光・飲食のように半分以上の仕事が消えた訳では無いが、少しずつ進んで行く〝危機〟はかえって見逃されやすいと言うから注意が必要だ。
 ▼『これでは紙が下がったと誤解されてしまう』普段は冷静な社長が珍しく怒っていた。大手食品メーカー向けのケースで、一貫系段メーカー□がユーザーの要請を飲み、それ相応の値下げに応じたのだ。もう一方の一貫は担当幹部が断り、他社の追従もない、と言う。それにしても紙を上げておいて加工部門を自ら簡単に壊すとは『最近の混迷振りは見ていられない』とし、□の兄弟会社のシート販売も雲行きは怪しい。ボックスが勘違いする事だってあり得るのだから。
 ▼9月の段ボール生産量、稼働日が一日多い中で大手も冴えず、半数以上が前年割れだった。しかも中小は輪をかけて悪い。『前を見れば段原紙はガチガチ状態、後ろは大手の新工場に拡販体制』、防戦一方となっている中小だが、一番きついのは仕事量より『大手の情けない姿勢』、これでは戦う気持ちも萎んでしまう。 (山)
 
10月17日付
2020-10-28
 ▼中国の段ボール企業に勤める友人(台湾人)から『日本から段原紙を買いたい』と連絡があった。製紙からの一貫である山鷹や玖龍が幅を利かせる国だけに、大手に対抗しようと単体では競争力に欠ける中小が集まって同盟を結び、その日本・台湾担当であるDからの話だ。大きな国だけにこんな集団がいくつもあるらしい。自国の輸入業者に頼めば買えるが『直買いにこそメリットが』とし『日本の製品は品質も高く、価格もまだまだ魅力があります』と言う。
 ▼『古紙から原紙、古紙パルプへ』、国策も絡まり今年に入っても段原紙購買意欲は強いまま、この1年で今回以外にも同じような話は何件かあった。国内原紙メーカーにはいくらでもこんな話が持ち込まれているはずだ。輸出を増やしたい会社にとっては喜ばしい限り、たとえ日本国内の需要に翳りがあろうと、需給引き締めに一定の効果があるのだから。引きの強さは、段メーカーへの牽制球にもなる。
 ▼思い起こせば、昔は日本でも段メーカーやボックスで、バイイングパワーを求め大きな集まり、塊があった。熱い時代だったように記憶する。中国がその真っ只中だとしたら、これから本格的な淘汰が始まるのだろうか。『国内段メーカー、今一度、何らかの形でまとまっても』と思うのは、一貫グループがここまで強くなった中では夢物語か、はたまた記者が歳を取っただけなのか。 (山)
 
10月7日付
2020-10-20
 ▼数量の伸びない中小段メーカー、『工業系のまとまった仕事が落ち込み、そろそろ下限かと思っていれば、下げ止まらず』『猛暑の影響で頼みの青果物までダメ』『回復の見通しは立たない。大きな切っ掛けがないと』など等、東北から九州まで全国どこからでもこんな声が聞えて来る。普段は根っからポジティブな経営者が弱気な一面を見せるほど、取り巻く環境は芳しくない。しかもボックスになるとそれに輪をかけ悪い会社も。
 ▼幸い、悪い中でも段原紙、製品ともに市況は保たれている。大手ユーザー関係ではコロナの影響から面談しての営業が出来ずプラスに働く面も。一方、紙側の中には『原紙の価格維持、この姿勢が製品も支えている』、以前からこんな見方がある。一理あるにしても、ある段メーカーは『もう何年も前から量で稼げない時代。オーナー系はそれを実行しているだけ』とし、『壊すとすれば一貫系』と付け加えた。
 ▼『Hの紙を使いたい』こう某地区の段メーカーが流通に提案したそうだ。返事は『そうですか』とは言ったものの、いつまで経っても進展せず。押して見れば『尻込みしている』らしい。思いの外、強い紙系流通の抵抗にあい『□のOEMで息をついている』なんて噂まで飛び交う始末。それでもテストした段メーカーに言わせれば、『中しんの品質は良い』そうだし、価格だって…。 (山)
 
9月27日付
2020-10-12
 大手一貫2強が段原紙、段ボール双方で、過半数のシェアを握る、圧倒的なアドバンテージを背景にした戦略によって、少なくとも段原紙の価格維持は現状、成功している。
 もちろん、専業原紙メーカーにしても、近年稀に見る高水準まで上がっているわけで、同様の状況を理想としているに決まっているが、そこがなかなか難しい。大手一貫の段原紙のグループ購入比率を高める動き、これは国内だけに限らず、海外にも及ぶようだ。東南アジア子会社への輸出を増やしたことで、影響を受けたのは大手専業原紙メーカーとか。
 コロナによる受注減、そうでなくとも紙の部門で伸びる余地があるのは段原紙だけ。悩ましいが、拡販もある程度は、やむなしといったところか。特に規模感のある専業段メーカーの事業所に対しては、2強以外による熾烈な陣取り合戦も見られ始めた。さらにこれだけイス取りゲーム的な展開になれば、新規参入メーカーにしてもやはり、それなりの提案をしなければなかなか勝負にはならないはず。直販メリットもわかるものの、では流通口銭を引いた一般的な価格と比べて、同社の実勢は…。
 この段原紙サイドでの動きがどの程度広がり、段ボール製品に影響を与えるのか。早いもので今年度も半期を迎えるわけだが、段原紙の価格調整の行方は。いずれにしても段ボール製品に影響があってはならない。(浮)
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