板紙・段ボールから印刷紙器までを網羅した専門新聞社です

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有限会社
日刊板紙段ボール新聞社

東京都文京区湯島4-6-11
湯島ハイタウンA-509号
TEL.03-5689-0121
FAX.03-5689-0120
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板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。

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日​刊​板​紙​段​ボ​ー​ル​新​聞​社​
 

2022年 段談

 

2022年 段談

2022年 段談
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12月27日付
2023-01-13
 ▼友達が亡くなって3年近くになる。彼はその年の新年早々から具合が悪く、正月の挨拶もそんな感じだった。2月に医者へ行き『(旅行がある)5月頃には良くなっている』など、それほど自身の持つ病を気に掛けていなかった。それから、あれよという間に病状は悪化。『旅行は無理みたい』からいつの間にか話は出なくなった。『父がメールを打てない』と娘さんから連絡があって僅か2週間。人間なんて、分からないものだ。
 ▼顧問になって7カ月。『社長交代』は重い病があるわけでは無いが、65歳を区切りに決めていた。デジタルなど色々と取材方法や媒体も変わってきた中で今後を託す意味もあり交代した。30年以上続けた社長、重みから解放され『満足感』があると思ったら全く無かった。まだまだ書くつもりもあり『引退』の一文字すら想像していなかったが、思った以上に反響があり驚いた。
 ▼今でも慰労会を開いてくれる奇特な人もいる。最も尊敬する〇さんからもわざわざ電話を頂いた。『業界の地位向上、中小の健全経営を目指し』やって来たが間違い無かった。やり甲斐があり、ありがたい事である。選ぶなら次の職業も〝業界紙〟を選択する。
 ▼さて記者の頭に引っ掛かっているのが、段ボール箱の価格改定だ。年に数回も上昇する商品がある中で『ケース価格を自分で決められないのが段ボール業界』と言われるように、すんなりと値上げ出来ないでいる。いつの値上げでも『そんなに安ければ売らなきゃいい』と思うが事が、山ほどある。年が明けケースで値上げ本番が始まると予想するが、専業最大手トーモクの中橋社長は、1面インタビューにある通り『12月で交渉は終え、遅くても1月末までに完了』と、力強くポジティブに語っていた。その成果を見守りたい。 (山)
 
12月17日付
2022-12-23
 ▼〝やります〟と耳にし、期待もしていた12月1日が過ぎた。11月も終わりの事『今は…。1日以降を確認しなければ』とある関係者は話していたが、大手は積極的に動いているだろうか。なお驚いた事に(記者が勝手に)11月25日付け日経シート市況は、12円上昇、C5で81~82円になっていた。
 ▼11月下旬、各地のボックスや中小へシート価格を中心に値動きを聞いた。11月初めの『やります』当時から、『どこまで…』と疑るような声もあり、更に11月25日の日経を見た複数の読者からは『何を基準に…』『うちの周り以外は上がったのですか』と記事内容を訝る電話もあった。実際にシートを買っているボックス、中小段メーカーの本音はどうだろうか。
 ▼Z、Y『いつまでも量だけを追う、究極の後出しジャンケンの世界』。A、K『うちの規模だと自ら動くのは危険、上がって様子を見てからになる』。B『業界特有の牛歩がみられる。まだ余裕あるのか』。C『全体的に動きが遅すぎる』。D『一生懸命は△社だけ。しかし△系キャンペーンの影響から、他はいまいち盛り上がりに欠ける』。E、H『見積りを持ってきた段階。上がっても来年□月になる』。J『1社だけ頑張っても…。僅かに残っているシート販売も不調です』。F『隣の県の同業は(シート値上げ見積り等が)遅れている。近くでありながらこの状況』。G『上がった記事には驚いた。シートが上がる前には見積りを配るつもり』。中には『一流新聞が嘘を書いちゃいけない』、『△が日経を手懐けた』まであった。
 ▼聞いたのは各地区20社ほどの中堅以上のボックスや中小段メーカーなど。これで正しい全体像を表すわけではないが、上がった会社は某地区の『12月から□円』『12月1日から僅かに上がり、残りは1月に入ってから』の2社だけだった。上がる事を否定しないしこれでより弾みが付けば良いが、あまり業界景況感に違いがあるのもどうかと思う。(山)
 
12月7日付
2022-12-19
 ▼『変わりますから』、一貫メーカー△から11月初めに心強い言葉を聞いた。その数日前、ボックスから『レンゴーが強気で…』『営業本部の指示、12月1日貫徹らしい』とメールがあった。シートが『ようやく…』前に進みそうである。それまでは全く動かなかったシート値上げ、専業系には悲壮感が漂っていた。今年後半の協力金、『〇月までは』と期待を込めたいところだが…。シートが上がらずに協力金が無ければ、専業系は大赤字に転落してしまう。
 ▼その『シート値上げ、各社動いている』と信じたいのだが、メールやラインでやり取りする段メーカーやボックスから聞くと、東北から南九州まで、〝やる気に温度〟の違いがある。やっていると聞いている会社名にしても『いや、動いていない』まであるのだから分からない。周りを見る余裕はもう無いはずだし、段ボール箱の価格転嫁をどうしてもやり遂げねば未来も何もないだろう。一段とギアを上げなければ。
 ▼10月の大手生産量を見て、量が増えた減ったはあるものの1社だけが異様だった。対前年比117%をあげた一貫△の子会社である。ある人が『あれだけキャンペーンを張ったのだから当然でしょう』と言ったが、親会社から怒られながらよく稼いだものだ。念願の5千万平米達成でも社員はヘトヘト、あるのは『上層部の自己満足』だけか。子会社の子会社E社(千葉県)も△系傘下になるまでの3倍の量、貢献した訳である。もはや孫会社とは言えない数量である。 (山)
 
11月27日付
2022-12-05
 10月の大手段メーカー生産量をみると、大多数が良くて100程度なところ、やはり一貫系A社が前年比117%と、突出した数字をはじき出した。月産目標生産量もグループ会社と合わせて達成したようだ。
 無論、目標を設定しそれを目指して取り組むことは極々当然だ。製造業であれば、その生産量(出荷量)、残る利益が大きな指標となるはず。同社は中期計画の目標である生産量を、随分と早い時期から、需要期である今年10月にターゲットを絞り、前後数カ月にわたり在庫倉庫を工場周辺に借りたり、従業員のシフト調整を行ったりと、周到に準備してきたという。『そもそも目標達成とはそういうものなのか』との疑問の声も少なくないが、今後のモチベーションにつながるなら、それもまた有りなのか。
 しかし、今さらながら、タイミングがあまりにも悪すぎた。平時でも規模を考慮すれば反響は大きかったと想像するが、今は値上げ時。『もう滅茶苦茶な価格』『競合先で、仕事を止められた』と、近隣段メーカーの声はより大きくなる。自由競争は大いに尊重すべきであるし、他にも値上げ進捗に影響を与える理由は多々あるとはいえ、逆行する動きは同社にとってもマイナスにはならないのか。『値上げに向けてマインドは完全に切り替わっている』とは聞くが、11月以降の動きに注視したい。 (浮)
 
11月17日付
2022-11-22
 ▼段ボールの大手営業幹部から前線に立つ営業マンの心理についてこんな声を聞いた。まず〝進展しない状況〟に対しては、『同業が動かない』との言い分を聞くそうだ。『値上げの強行はいつでもできるが、取引を維持しながら値上げをするには〝同業〟の動きを見ながらやらざるを得ない』からであり、同業のせいにして遅れても『本社はそのユーザーは切れ、との判断は出さない』。だから『同業が、同業が』の声が溢れる訳だ。押し切れないことが、周りの中小から見れば『大手が動かない』につながり、大手にしても『うちは動いているという気持ちだけが上層部に伝わっているのかも知れない』と言う。肝心なのは、『同業では無く得意先に対して誠心誠意お願いする姿勢』であり、『大手も中小でも大切な事』なのだ。
 ▼『原紙値上げ、すんなり受け入れられますか』、何人かの中小経営者に聞いてみた。『引き延ばし、抵抗する』意見はあるが、次のような見方も印象深かった。『燃料費、人件費、副資材など諸々が今までにない上がり方をしています。原紙値上げのタイミングでしか製品修正が出来ない段ボール業界において、原紙値上げはネガティブな事では決してないと思います。ただし〝全体が同じ方向に向かって動く〟という条件の下の話です。そうでなければ当然〝15円は無謀〟〝すんなり受け入れられない〟と言う事になります』。ここで重要なのは材料が上がったら、転嫁は皆の仕事であると言う事。それを出来ないでいる段ボール業界がおかしいのである。(山)
 
11月7日付
2022-11-16
 ▼『仕事をするのが嫌になる』と段メーカーが言った。『利益は〇〇金の戻しだけ。一生懸命に売り続けても、原紙代で全てが決まる』のだから、気持ちも分かる。その〇〇金、△月から□月までは〇円戻って来たようだが、◎月からは…思案どころ。流通もそう出せる訳が無く、販売先を精査しているようで、『あそこは幾ら?』から『出ない会社もあるそうだ』など噂が飛び交っている。もっとも原紙だけが上がり製品が遅れに遅れるのであれば、製紙は段ボール側の理屈をより考慮しなければ。
 ▼一貫の値上げ姿勢、行動を耳にする度に『加工会社は、紙を消費する事だけを考えればそれでいい』こんな言葉を思い出す。紙から段ボール、製品までを一緒くたにした加工賃で考えられたら、専業やボックスは成り立たない。大きな会社ほど、値上げ効果があるのに、何故、やらないのだろうか。人間だって動脈だけでは生きられない。毛細血管が張り巡らされるから元気でいられる。全国隅々まで物が届く、中小企業あってこその段ボール産業である事を忘れてはならない。
 ▼9月の生産量は一貫△(105)や一貫□系段メーカー(106)が大きく伸ばした。しかも前年が悪かった訳では無い。これを見た中小は『よその国』『専業潰し』と言った。最近のある理事会での発言『痛み無くして得るもの無し(数量を犠牲にしても値上げ優先)』。上がこんなに良い事を話しているのだから、営業部隊も現在の行動力を〝製品値上げ〟に振り向けるべきである。 (山)
 
10月27日付
2022-11-10
 ▼日本パッケージングコンテストの受賞発表時期になると思い出すことがある。段ボールケースの独自形状、デザイン開発力に優れたメーカーに、『すごいですね。次々と新しい製品を出して、ユーザーも興味を示しますよね』と話した所、『もちろん興味を持って話を聞いてくれるが、それが即採用となるケースは少ない。むしろ従来通りでという結果が多いくらい』との答えだ。同社に限ったことではないが、高評価であってもコストや物流面等々を勘案し、さらには長年の慣習がハードルとなって必ずしもスムーズに普及するわけではない。まして特定ユーザーの要求でなく、自社先行でのオリジナル開発ならば尚更であろう。
 では、先行型の開発が無駄なのかと言えば、断じてそんなことはない。その会社の総合的な開発力、改善対応力は、ユーザーにとっても取引相手として魅力的なのだ。大手エンドユーザーは、『採用の有無は別にしても、どんどん提案してほしいし、そんな会社と積極的に付き合いたい』とする。結果的にユーザーが従来通りの仕様を選択するにしても、1つの提案の会社より、10の提案を持つ会社が強い(無論、その提案内容の質も問われるだろうが)。そして新規開発は、外部環境の変化など、いずれかの段階で花開くこともある。現在のような値上げ交渉時もそんな機会のひとつだろう。『段ボールはどこにお願いしても同じ』ではない大きな理由のひとつがやはり開発・提案力なのだ。
 ▼10月も半ば過ぎ、製品値上げ、シートは各社アナウンスもその後、膠着状態、ケースはさらに鈍いとの声。原紙は日経市況で、多くの人が指摘するように、『〝模範的〟な理由』付きで動いたが、今は原紙の上がりはある程度、想定できる環境にある。やはり製品が動いてこそ。もう年末、早期決着に残された時間は短い。 (浮)
 
10月17日付
2022-10-28
 ▼10月に入り段ボールシートはシングル11円~13円位で動き出したが、未だにこんな話を耳にする。前回の値上げで『遅い』『動かない』など責められ続けた一貫□系段メーカー、今回は『ちゃんとやります』と宣言し、いち早くボックスメーカーへシート改定の文書を提出した。それはいいのだが中身が丸で無い。中には、ボックスが『〇月からなら認めようか』と切り出したところ、逆に『それでいいのですか?』と驚かれたと言う。酷い話になると一貫△系大手が『10月1日からシート価格で協力するから、増やして欲しい』まである。この会社、あれだけ伸ばしておきながら…。まだやっていたのか、これで目標の〝555〟のうち利益を稼げたら凄い。
 ▼質中心にシフトした専業・中小との考え方には大きな差があり、『紙を上げておきながら…』と話題にあがる。特に新マシン稼働や新工場周辺など等、量を欲しがる地域で、この声は大きく強くなりそう。さて値上げについて『新聞紙上で具体的な数字が出ないとユーザーも納得しない』、こう話す人が何人もいた。ダイナパックの前向きな動きが9月20日にあり、22日にはトーモクも内容(シートS12円以上、ケース20%以上)を公表した。同社も『ダイナパックと全く同じ意見』と言う。専業大手が前向きに製品値上げを捉えている。この気持ち、勢いで最後までやり抜こう。 (山)
 
10月7日付
2022-10-21
 ▼『一貫メーカーを突き進むだろう』とは、大王製紙が今度の原紙再値上げについて一番に手を挙げた事を指す。複数の段メーカーと話してもみんな同じように言う。『最初に打ち出すのも、その表れ』も多かった。大王製紙はグループに名前を冠した大きな段ボール子会社を有するが、一貫は王子とレンゴーの2社で大王は〝製紙系〟と書いていた。これから一貫メーカーは、3社にちゃんと改めよう。
 ▼平成17年に森紙業が独立系段メーカーから王子製紙に買収され一貫化した。どちらかと言えば製紙会社に入るよりそのままの方が、ボックスにとってはありがたかったかも知れない。昔、上層部に『この価格(シート)ですか』と聞いたら『それが、うちの適正価格』で済まされた。コルゲータは小回りを利かせる一方、全国の工場で2ライン化を進め、独自のキャンペーンを張ってシートを拡販、あそこまで会社を大きくした。ここから買う事で〝調整弁〟、〝抑止力〟言い方は色々あろうが、ボックスには無くてはならない会社だった。
 ▼これと似ている、と思ったのが製紙版の大王製紙。失礼な言い方だが以前の原紙価格はちょっと安め(個人的に思っており違ったら謝ります)、段ボール子会社は各々好きな会社から原紙を手当てする。その方が競争力はつくらしい。専業段メーカーにしたら、ボックスの森紙業版、みたいな感じに思っていた。一貫メーカーになると、内製化(当てはめる原紙が増える)はどんどん進み、森が〝森らしさ〟を失ったように、大王の特徴であった〝大王らしさ〟が薄くなっていくのだろうか。これはこれで、業界紙的にはつまらない。 (山)
 
9月27日付
2022-10-11
 ▼9月も半ばが過ぎた。多くの製紙メーカーが9月1日から打ち出した原紙値上げだが、買う側である段メーカーからも熱い話は伝わってこない。後からの王子が10月1日なのでそれに併せるのか。製紙会社に隣を見ている余裕は無いはずだが…。それでも製紙サイドは『間違いなく上がる』とし、一貫も会社によってはボックスへシートでシングル○、ダブル○円を提示、動き出した感じではあるが、地域によってはまだまだ口先だけもありそう。
 ▼上げ幅㌔15円を打ち出したが、その15円の根拠が段メーカーからすると理詰めされていない。『会社、工場によってコストも違うはずだ』『洋紙の赤字を段原紙に』とし、一部示している製紙メーカーにしても『見方にズレがありそう』と言う。超大手ユーザー向けでは前回上げた原紙分が『遅れて今頃に転嫁』、『しかも価格は低目』と聞くだけに、絶えず『誰が得意先か』の声が付きまとう。
 ▼こうした状況下で、ダイナパックの齊藤社長が『製品値上げのムーブメント(流れ)を作りたい』と声をあげた。10月1日からシートで12円以上、ケースで20%以上の上げ幅を9月20日に公表した。専業大手各社が額や幅を明記せずに値上げ表明したことが、製品値上げの足かせになる事を恐れた。世界情勢などから原紙が15円上がる事を前提とし、『段ボール工場でも原紙以外に燃料や運賃、諸々の経費が上昇している』、たとえ不満があっても自助努力で、段ボール側も上がったコストを転嫁する事が大切だ。本来は一貫メーカーが表に立ってやるべきだが、板紙・段ボール産業がよくなるためにあえて額、幅を公表し『トリガーを引く』。原紙と連携して両産業共に良くならなければならず、このままでは『工場がまわせなくなることもあり得る』。最大手ではないダイナパックが走るが、『量が減っても収益、業績が向上すればそれでいい』と言い切る。先頭を切る新生ダイナパックを応援したい。 (山)
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