有限会社
日刊板紙段ボール新聞社
東京都文京区湯島4-6-11
湯島ハイタウンA-509号
TEL.03-5689-0121
FAX.03-5689-0120
----------------------------
板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。
----------------------------
昨年は、古紙輸出量が大幅に増加した。09年1〜10月時点で420万?と、既に過去最高を更新している。特に、中国の内需拡大に伴い白板の原料となる新聞古紙、雑誌古紙の引きが強く、価格も年後半以降、強含みで推移する。栗原紙材?の栗原正雄社長(全国製紙原料商工組合連合会理事長)に、昨年を振り返ってもらうとともに、今年の古紙動向について聞いた。(インタビューは昨年12月)
●昨年(09年)の古紙動向を振り返って、いかがですか
まず一昨年末、世界同時不況の影響による需要減と、古紙の最大発生月が重なり、問屋サイドの在庫が70万?、メーカーサイドは98万?と、限界在庫まで達した。古紙再生促進センターでも、緊急備蓄を実施。なんとか乗り越え、古紙のゴミ化を防ぐことができた。09年1月以降は、古紙の発生が急激に減少。国内製紙メーカーは操短し、在庫を絞った。
一方、国際マーケットは中国の復調もあり、徐々に回復に向かった。結局、年間を通して輸出は旺盛に推移し、09年は1〜10月で420万?。年間では480〜490万?程度になるだろう。国内の古紙回収量が約10%ダウンしたにも拘らず、前年比で、130〜140万?増加した。
●需給バランス等を考慮すると、夏以降、輸出量は減少するとの見通しもありましたが
古紙回収量と消費量の差を輸出すれば、需給はバランスするが、夏以降もその差以上に輸出された。この間、メーカー在庫は08年12月と比べ18万?減の約80万?、問屋在庫は同50万?減の20万?、合計すると70万?程度は減少した。この多くが輸出超過分に当たる。
●輸出の勢いが止まらなかった要因は
昨夏以降、新聞、雑誌古紙の輸出価格が国内価格を上回ったことが大きい。昨年12月時点で、新聞古紙は国内?1万3千円に対し、輸出価格(関東製紙原料直納商工組合、以下同)は?1万3130円、雑誌古紙は国内1万1千円に対し、輸出1万2130円。関東商組の価格は、トレーラーの横持ち運賃が遠距離を含むため、最も安いわけで、実際にはもっと差があるだろう。
中国は内需が伸びている。内需が増えると、白板の需要が伸びる。生活用品、食品用の包装などなんでもそうだ。その原料が新聞古紙と雑誌古紙。日本の国内価格よりも高いポジションであっても購入した要因だ。
●段ボール古紙に関しては
段ボール古紙は、国際マーケットに拘らず、国内価格(09年2月から?15円)を維持しており、比較的タイト感は少ない。段ボール古紙の場合、輸出入に伴う段ボールは入超で、その分が輸出されることになる。09年1〜8月では、製品の輸入に伴う段ボールが132万?、輸出が43万?。差し引き89万?。おそらく1〜12月では130万?程度入超だろう。よって輸出価格が国内価格よりも安価でも、輸出されている。
中国は、製品輸出は伸びていなくても、内需がけん引し、段ボール原紙自体の生産は伸びている。前年比20%弱程度は伸びているのではないか。ただ、白板の増加率の方が遥かに高い。
●新聞古紙、雑誌古紙の国内価格と輸出価格は、一昨年秋以前と同じ状況に戻った
そうだ。まだ価格差はあまり広がってはいないが、今後、輸出価格は更に強含みで推移するだろう。
ナインドラゴンは今年、200万?近く段ボール原紙用マシンを新設し、総生産量が1千万?を超えるが、同時に一部マシンを段ボール原紙から白板用や上質紙用へと変更する予定だ。白板、上質紙とも80万?、計160万?程度生産する。リーマン&マンも同様に段ボール原紙マシンを白板へと変更する。そうなると、ますます新聞、雑誌の需要は増加する。
新聞古紙は、不況の影響で発生量が前年比85%程度に落ち込んでいる。そうなると新聞古紙の需給が一番タイトということになる。現に段ボール古紙よりも新聞古紙は国内価格が?当たり2千円安いのに、問屋の仕入れ価格は新聞古紙の方が、2千円高いという逆転現象が起きている。これは需給がタイトな証拠だ。新聞古紙、雑誌古紙は、段ボール古紙と異なり、基本的に貿易に伴う輸入がない。消費以上に輸出すると、当然不足してしまう。
●国内の新聞古紙価格が動く可能性は
製紙メーカーも一部を除き、まだ在庫を持っているので、すぐにというわけではないが、春以降はその可能性はある。1月、2月は古紙発生量が減少する時期だが、新聞販売は極端には減らず、古紙の消費量は落ちない。輸出も増えるので、在庫はタイトになっていく。
●雑誌古紙は
前述したように現状、輸出価格の方が国内価格より1割以上高いわけでこちらもタイト感は増すだろう。加えて輸出の方が、品質基準が甘いことも追い風となっている。
これが段ボール古紙にも影響するだろう。現状、段ボール原紙の原料として、安い雑誌古紙を2〜3割程度は使用しているはずだ。よって今後、雑誌が安価に手に入らなくなれば、コスト高になる。
●段ボール古紙国内価格?15円は
まだ動かないだろうが、製紙メーカーの古紙消費計画は、段ボール古紙が1〜3月は105%、新聞古紙は104%、雑誌古紙は109%。今後、新聞古紙、雑誌古紙の動きに、段ボール古紙も連動する可能性はある。また、為替の変動にも注視すべきだ。