板紙・段ボールから印刷紙器までを網羅した専門新聞社です

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有限会社
日刊板紙段ボール新聞社

東京都文京区湯島4-6-11
湯島ハイタウンA-509号
TEL.03-5689-0121
FAX.03-5689-0120
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板紙・段ボール産業の総合紙。
紙器・段ボール企業を中心に機械・資材メーカーなどの動向をはじめ、箱を使うユーザーの動きも網羅。各種統計の分析なども充実。

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日​刊​板​紙​段​ボ​ー​ル​新​聞​社​
 

過去のインタビュー【2】

 

過去のインタビュー【2】

過去のインタビュー【2】
 
タナベインターナショナル・張春華社長(2月27日)
2010-02-26
 再建から丸3年を迎える?タナベインターナショナル。昨年は?菅野製作所を傘下に収め、業界再編を視野に入れた「紙工機械のデパート化」を推進している。張春華社長は「菅野との共同開発によって、従来できなかったことも可能となった。段ボール用オートンも近く発表する」とし、グルアの開発にも注力する。開発状況や今度の展開等について、張春華社長と小崎享取締役に聞いた。

 ●現状は
 タナベインターナショナルとなって今年3月で丸3年。再建から一年ほどは現場環境の改革など苦労もあったが、現在では概ね計画通り進んでいる。菅野製作所はまだ半年ほどだが、すでにノウハウは構築しており、タナベより滑り出しは順調だ。
 ●昨年度の売上は
対前年比で、2割減くらいだろう。従業員は2社で約50名、ひとり頭3千万円を目標としているが、一昨年度までは概ね好調だった。昨年度は、円高の影響で落ち込んでいる部分もあるが、タンデムフィーダーの受注や改造等で工場を一日も止めずに稼働できた。
 ●菅野を新たに加えました
 買収劇という見方もあったようだが、タナベの株主であるファンドとして単に利益やリターンを望むのであれば、安い土地や株を購入した方が手早く、より確実だろう。しかし、株主側は日本に必要な企業、大切な宝と判断し、資金を提供して菅野をグループ化した。タナベ製のグルアは、350から3300?まで広範囲に対応するが、実質的な強みは850以上で、それ以下であれば菅野はずば抜けている。
最近では、タンデムフィーダーを使用しているユーザーから要求された紙厚に対し、半分近い薄さまで実現するなど、これまでのタナベだけではできなかったことが可能となっている。
 ●菅野の打抜機が新たに加わりましたが、全体の戦略は
 グルアで解決できない問題は、打抜きの段階で解決しなくてはならず、その重要性は3年間で痛感しており、打抜機を商品ラインナップに加えることは念願であった。
 菅野製の打抜機「オートン」は、潜水艦のパーツも手掛ける世界的メーカーの部品を使用するなど、最高レベルといえる機構を持っており、静かで力強い。最先端のアプリケーションも搭載している。
 最近は台湾製を販売しているイメージもあるようだが、オートンは現在でも造っている。タナベ機と同様に、ニーズによって若干リーズナブルなタイプもあるということだ。
 ●菅野は紙器用の平盤です。段ボール用も開発するのですか
そうだ。今後は、両社の共同開発で、段ボール用のオートンも手掛けていく。
 ●タナベ再建時、ファンドが経営することへの抵抗もありましたが
 多少はあったかも知れない。旧タナベには見学に来た欧米のお客様が到底理解できないような、古き慣習も当初はあった。しかし、それほど多くの修正は要さなかった。残してくれた貴重な技術・ノウハウがあったので、これを大切にしようという旗印には大半が賛同してくれた。現在では同じ方向へ、団結して進んでいる。ファンドは、いつまでもいる訳ではないので、最終的に従業員の自立を推奨している。
 ●ファンドの期限が2014年です。当初は50億円企業を目指すということでしたが
 現段階では、まだ足りない。ニーズは十分あると確信しているので、まったく不可能なことではないだろう。一番の目的は業界再編だが、こちらも並行していく。
 ●「紙工機械のデパート」化には、印刷機も必要です
 目標として、総合紙工機械メーカーを宣言しているが、現実には相手があってのことなので、攻めるスタンスでもなく常に自然体でいる。ただ、業界の元気がなくなってしまう前に、できるだけ早く実現したい。再編は資源の有効活用や、開発の重複防止など、お客様も望んでいることなので、何年かかろうがやらねばならない。
 ●2社が今後、ひとつの会社になる可能性は
 あり得るだろうが、まだ検討中だ。すでに本社工場で両社ともに作業しているので、会社が2つある必要があるのか、メリットとデメリットを比較しながら分析している。ただ、いくら業界再編といってもブランドは永遠にお客様の財産なので、そこを変に扱うつもりはない。タナベと菅野のブランドはどちらも残す。
 ●今春開催する内覧会ですが、目玉は
 今回の内覧会は「タナベと菅野の共同開発」という明確なテーマがあり、両社の特長を併せ持ったグルアを発表する。技術提携の話があった時点で、菅野サイドから提案があり、それが今回実現する。今後も春と秋の年2回、内覧会を開催する予定だ。
 ●海外向けには
 我々の強みはグローバル展開であり、現在では売上の割合を地域別で見ると、日本国内が売上全体の2/3で、海外は1/3だ。欧州がメインだが、中国での導入も進んでおり海外部門全体の1割を占める。今後海外向けの売上比率が増えていくだろう。
中国にもグルアはあるが、弊社製とは価格、性能ともに比べ物にならないレベル差で、中国で開催した内覧会では「見た事もないマシンだ」と招待したユーザーが驚いていた。今後は販売とあわせて、セミナー等を通じて性能をアピールするなど教育、指導にも一層注力する。
タナベの製箱機は、これまで世界中のユーザーから育てていただき改良や改造を重ねてきたマシンで、お客様のニーズやメリットに合った機械構成である。今後もタナベ品質維持と最適地生産の実現のために「Made ?by? Japan」をコンセプトに、世界中のネットワークを活用する。これは菅野においても同様だ。
 
駿興製紙・兼子裕章社長(2月7日)
2010-02-05
 薄物ジュートライナの先駆け的存在である駿興製紙?(静岡市清水区)。大手古紙問屋・兼子グループの一員で、良質な古紙を調達し易い環境と、長年のノウハウを活かし事業を展開している。昨年来、大手段ボールメーカーを中心とした薄物化推進の動きについて、兼子裕章社長は「短期的にはマイナスだが、長期的にはユーザーへの認知拡大なども期待できる」と分析。今後は更なる薄物化を図るとともに、製袋分野の開拓を目指す意向だ。兼子社長に話を聞いた。

●薄物ジュートライナの先駆け的存在です
 元々、内装ライナ130〜140?が中心。長年に渡りノウハウを構築しており、取り組みやすかった。加えて原料も調達しやすい環境にある。
 将来的に、内装ライナも先細りである。そこで、外装ジュートライナレベルに規格を変更するかたちで製造したのが、「ラップライナー」だった。文字通り、ラップアラウンド用を想定し開発した。現在、ラップアラウンド用途はほとんどないが、環境性やコスト効率の観点から、薄物が注目されている中で、使用いただいている。
 ●強度は問題ないですか
 JIS規格に120?のジュートライナはないが、「比破裂強さ」など規格に沿って対応しており問題ない。「破裂強さ」を考えると、当然厚い方が強いが、「比破裂強さ」は薄いものが若干強い。
 当社では120〜160?まで10?刻みでラインナップしており、仮に120?では薄いとなれば、140?を提案するなど柔軟に対応できる。コンバータも最終的には、ユーザーに対して説明が必要で、単に薄くということでは受け入れてもらえない。
 ●コストメリットは
 基本的に安く販売したいわけではないが、単純に考えて160?から120?に変更すると、ライナ幅が4分の3になるのと同様だ。中しん価格にもよるが、そういう意味では大きい。
 ●印刷適性は
 薄さは、直接関係ないが、当社のマシンは、ヤンキードライヤ方式で、非常に光沢があり、印刷適性の高い紙が製造できる。その辺を評価していただいている。
 ●主な用途は
 一番多いのは美粧段ボール関係の裏ライナが多い。あとは菓子類や家庭用紙の外装箱など中身自体が軽量の場合、逆に缶や瓶など中身の強度が高い分野で採用が進んでいる。
 ●内装ライナも含めた生産量及び得意先の数は
 月2千?程度で、年間2万5千?。短期的には、量的拡大は考えていない。より利益を追求したい。
 関東地区を中心に顧客は40〜50社程度。美粧系や独立系段メーカーが多い。また、系列でも工場立地などによっては購入いただいている。
 ●大手古紙問屋の?兼子グループの一員です  
 兼子は良質な古紙を提供する問屋として評価が高く、グループ内にあることはメリットだ。現在もそうだが、上物にはタイト感があるので、その調達が比較的容易な点はメリットとなる。近隣にあり、補充など迅速な対応が可能だ。ただ、グループだが、財布は違うので、価格で大きなメリットがあるわけではない。
 ●昨年来、大手段ボールメーカーが、薄物化を進めています
 短期的にはマイナスだが、長期的にみればプラスに働くだろう。薄物に対応するために、マシンを改造されただろうが、生産効率が落ちる。そういう観点では、当社の方は、同じ120?を製造するにしても有利だ。小ロットへの対応力も高い。
 また、我々だけだと製品の認知にも限界がある。段ボールメーカーには知っていただいているが、ユーザーにも広く認知していただける。当社に対しても、従来取引がなかったお客様からの引合いもいただいている。今後それが量に結びついてくれればと期待している。
 ただ、価格面では、当社の顧客にも売り込みが来るだろうから、顧客の選択肢が増えると言う意味では危機感はある。価格交渉の際に引合いにされることは考えられる。
 薄物が一般的になれば、価格面は弱くなってしまう。現状、特別な紙から普通の紙に成りつつある。今後は、その傾向は更に顕著になるだろう。
 ●輸入原紙も注目されています
 円高の影響もあり、価格面は、輸入紙と比べ国産紙は弱い。加えて薄物化にも対応するなら怖さはある。戦略的に、コンバータではなく、ユーザーへの提案を進めているとのことだが、そうなれば価格面が大きくものを言うだろう。
 ●ここ10年で原紙業界は再編が進みました
 これまでは同じ製紙メーカーといっても当社は違うと楽観視していたところもあったが、大手が120?のライナの製造を開始したことで危機感はある。
 業界自体は難しい局面ではあると思う。今後も薄物化は進展する。そういう意味で貼合量は同様であっても原紙使用量は減少する。景気が回復しても、原紙が厚くなることはないだろう。
 ●他社との提携などはお考えですか。薄物のノウハウを欲しいというメーカーも少なくないと思いますが
 現状、具体的には考えていない。兼子グループで、当社の意向だけで動くことはない。ただ、「協力しましょう」という提案があれば、柔軟に対応していくつもりだ。
 ●今後の方針は
 更なる薄物化と段ボール分野以外の開拓だ。薄いものでも品質や価格は保つ方向性で考えている。強度を保ち、薄くする。そうすれば、コンバータも営業しやすいし、ユーザーも購入しやすいだろう。
 新規分野では、製袋分野を強化する。現在120?の製袋用クラフト紙を製造しているが、まずは100?の実用化を急ぎたい。それが軌道に乗ったら、段ボールにも拡充できればと考えている。
 ●製袋市場は、まだまだ開拓の余地が
 あると思う。クラフト紙も環境性の面から、古紙使用率が高ければ、他社と差別化できる。品質は、ライナよりもクラフトの方が厳しい。品質向上のための設備投資も計画している。現状は量ベースで5〜6%なので、2割から3割、できれば4割程度に持っていきたい。                         
 
栗原紙材・栗原正雄社長(10年1月27日)
2010-01-21

 昨年は、古紙輸出量が大幅に増加した。09年1〜10月時点で420万?と、既に過去最高を更新している。特に、中国の内需拡大に伴い白板の原料となる新聞古紙、雑誌古紙の引きが強く、価格も年後半以降、強含みで推移する。栗原紙材?の栗原正雄社長(全国製紙原料商工組合連合会理事長)に、昨年を振り返ってもらうとともに、今年の古紙動向について聞いた。(インタビューは昨年12月)


  ●昨年(09年)の古紙動向を振り返って、いかがですか
 まず一昨年末、世界同時不況の影響による需要減と、古紙の最大発生月が重なり、問屋サイドの在庫が70万?、メーカーサイドは98万?と、限界在庫まで達した。古紙再生促進センターでも、緊急備蓄を実施。なんとか乗り越え、古紙のゴミ化を防ぐことができた。09年1月以降は、古紙の発生が急激に減少。国内製紙メーカーは操短し、在庫を絞った。
 一方、国際マーケットは中国の復調もあり、徐々に回復に向かった。結局、年間を通して輸出は旺盛に推移し、09年は1〜10月で420万?。年間では480〜490万?程度になるだろう。国内の古紙回収量が約10%ダウンしたにも拘らず、前年比で、130〜140万?増加した。
 ●需給バランス等を考慮すると、夏以降、輸出量は減少するとの見通しもありましたが
 古紙回収量と消費量の差を輸出すれば、需給はバランスするが、夏以降もその差以上に輸出された。この間、メーカー在庫は08年12月と比べ18万?減の約80万?、問屋在庫は同50万?減の20万?、合計すると70万?程度は減少した。この多くが輸出超過分に当たる。
 ●輸出の勢いが止まらなかった要因は
 昨夏以降、新聞、雑誌古紙の輸出価格が国内価格を上回ったことが大きい。昨年12月時点で、新聞古紙は国内?1万3千円に対し、輸出価格(関東製紙原料直納商工組合、以下同)は?1万3130円、雑誌古紙は国内1万1千円に対し、輸出1万2130円。関東商組の価格は、トレーラーの横持ち運賃が遠距離を含むため、最も安いわけで、実際にはもっと差があるだろう。
 中国は内需が伸びている。内需が増えると、白板の需要が伸びる。生活用品、食品用の包装などなんでもそうだ。その原料が新聞古紙と雑誌古紙。日本の国内価格よりも高いポジションであっても購入した要因だ。
 ●段ボール古紙に関しては
 段ボール古紙は、国際マーケットに拘らず、国内価格(09年2月から?15円)を維持しており、比較的タイト感は少ない。段ボール古紙の場合、輸出入に伴う段ボールは入超で、その分が輸出されることになる。09年1〜8月では、製品の輸入に伴う段ボールが132万?、輸出が43万?。差し引き89万?。おそらく1〜12月では130万?程度入超だろう。よって輸出価格が国内価格よりも安価でも、輸出されている。
 中国は、製品輸出は伸びていなくても、内需がけん引し、段ボール原紙自体の生産は伸びている。前年比20%弱程度は伸びているのではないか。ただ、白板の増加率の方が遥かに高い。
 ●新聞古紙、雑誌古紙の国内価格と輸出価格は、一昨年秋以前と同じ状況に戻った
 そうだ。まだ価格差はあまり広がってはいないが、今後、輸出価格は更に強含みで推移するだろう。
 ナインドラゴンは今年、200万?近く段ボール原紙用マシンを新設し、総生産量が1千万?を超えるが、同時に一部マシンを段ボール原紙から白板用や上質紙用へと変更する予定だ。白板、上質紙とも80万?、計160万?程度生産する。リーマン&マンも同様に段ボール原紙マシンを白板へと変更する。そうなると、ますます新聞、雑誌の需要は増加する。
 新聞古紙は、不況の影響で発生量が前年比85%程度に落ち込んでいる。そうなると新聞古紙の需給が一番タイトということになる。現に段ボール古紙よりも新聞古紙は国内価格が?当たり2千円安いのに、問屋の仕入れ価格は新聞古紙の方が、2千円高いという逆転現象が起きている。これは需給がタイトな証拠だ。新聞古紙、雑誌古紙は、段ボール古紙と異なり、基本的に貿易に伴う輸入がない。消費以上に輸出すると、当然不足してしまう。
 ●国内の新聞古紙価格が動く可能性は
 製紙メーカーも一部を除き、まだ在庫を持っているので、すぐにというわけではないが、春以降はその可能性はある。1月、2月は古紙発生量が減少する時期だが、新聞販売は極端には減らず、古紙の消費量は落ちない。輸出も増えるので、在庫はタイトになっていく。   
 ●雑誌古紙は
 前述したように現状、輸出価格の方が国内価格より1割以上高いわけでこちらもタイト感は増すだろう。加えて輸出の方が、品質基準が甘いことも追い風となっている。
 これが段ボール古紙にも影響するだろう。現状、段ボール原紙の原料として、安い雑誌古紙を2〜3割程度は使用しているはずだ。よって今後、雑誌が安価に手に入らなくなれば、コスト高になる。
 ●段ボール古紙国内価格?15円は
 まだ動かないだろうが、製紙メーカーの古紙消費計画は、段ボール古紙が1〜3月は105%、新聞古紙は104%、雑誌古紙は109%。今後、新聞古紙、雑誌古紙の動きに、段ボール古紙も連動する可能性はある。また、為替の変動にも注視すべきだ。

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